僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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墜ちる黒龍

「っそがぁぁぁぁ!!!」

 

BOTLLE BURN!!

VOLKENIC KNUCKLE!!

 

マグマが如き光と熱量を纏いながら放たれる拳の一撃、それは確かにエビルブラッドの胸部を捉えながら抉るように腕を振り切った。間違いなくクリティカルヒットした―――筈なのに全く応えていない。同時に腕に伝わってくる異常なまでの硬さの衝撃、まるで金属バットで生身の腕を殴られたかのよう。

 

「知ってるかな、炭素原子というのは結合次第で鉛筆の芯からダイヤモンドまで硬さを変えるのさ。故に炭素繊維を混ぜ込んだコスチュームの需要は高いのさ」

「―――っ……身体を炭素化しやがったのか……!?」

「その通り、100点を上げよう」

 

個性:炭素硬化。炭素原子の結合度合を変化させ、硬度を変える個性。それによって装甲の強度を引き上げて攻防一体の状態へと持って行った。最強の攻勢防御とも言うべき強度にまで持って行った結果龍牙の腕に逆にダメージを受けてしまった。そしてエビルブラッドは腕を広げると竜巻のような暴風を龍牙へと差し向けながら、腕から先程受けたマグマを放出するようにして火力を倍増させて飛ばした。

 

『あの野郎マグマの竜巻とか冗談は個性だけにしやがれ!!』

「全くだ!!」

 

GLACIAL KNUCKLE!!

 

素早くナックルに装填されていたボトルを入れ替えて絶対零度の氷結の拳を竜巻へと向けた。マグマの竜巻と拮抗する一撃、だがそれは徐々にマグマを凍て付かせていき遂には完璧に氷結させながらもエビルブラッドへと向かうがそれすらエビルブラッドは易々と受け止めながら逆に明後日に放ち、山の一部を凍て付かせてしまった。

 

『おい今度は氷を吸収したぞ!?』

「さっきはマグマで今度は氷……まさか、熱そのものを吸収してんのか!?」

「正解、マグマに関してはそれで殴られただけだからねぇ。流石にマグマの質量そのものは難しいけど単純な冷気なら簡単さ」

 

個性:熱量操作及び疾風。風を操る個性と熱量そのものを吸収し自在に放出し操る事を可能にする個性を同時に発動させて攻撃のダメージを最低限に、威力を倍増させてきたエビルブラッドに対して寒気すら出てきた。自分ですらダメージを受けかねないバ火力を発揮するエレメントドラゴンナックルすら通用しない……。

 

「さあこの窮地を如何する―――ヒーロー、君はどうする、何を選択して何を選ぶ!?」

「―――っ……」

 

エビルブラッド、個性:オール・フォー・ワン。嘗て日本を支配した悪の帝王、それの分身が自らの個性によって龍牙のドラゴンと戦兎のハザードトリガーを複製する事で変身した姿。そしてその性能は龍牙がヴェノムと融合したビヨンド・ザ・リュウガとほぼ互角、それだけではなく多くの個性を抱えておりそれらを自在に操る。攻撃、防御、移動と隙が完璧なまでに存在しない異常な敵。付け入る隙間が全くない、つまり―――あれを倒すには純粋な力と技、速度で圧倒するしかない事になる。つくづくオールマイトはどうやってあれを倒したのか疑問に思う。

 

「っ―――!!」

『おい、おい龍牙!?』

「……ガハァッ……!」

 

思わず、頭部装甲を消しながら口から込み上げた物を吐き出した。それは血の塊だった、目の前の地面を血で染めながらそれを見て龍牙は身体が震えた。己の自慢はタフネス差ではないのかと。

 

『龍牙、お前の長所はそのタフさだ。誇れ、お前は唯一無二の物を手にしていると言っても過言ではない。故にそれを伸ばす、覚悟しておけ』

 

その訓練を積んできた、10年以上も続けてきたそれは師も認める程。後に倒れたと言っても1週間連続の戦闘も可能にした程だったのに……それ程までにあれの攻撃はやばいという事なのだろうか、此処までボロボロになったのは葉隠と挑んだオールマイトとのテスト、師との訓練以来だろうか……。

 

「ヴェノム、頼みがある……」

『何だ!?傷なら今治したぞ!?』

「違う―――逃げろ、この事実をみんなに伝えろ」

『なっお前……!?』

 

瞬間、龍が叫ぶ。その咆哮から引き剥がされるが如くヴェノムが強制的に龍牙から分離させられてしまう。

 

「ほうっ2対1にすれば勝てるとでも思ったのかい?」

 

だがそれを嘲笑うようにエビルブラッドは急接近しながら迫った、瞬時に迫ったそれは豪熱を纏った拳をヴェノムへと叩きこもうとするがそれをグレイシャルナックルで受け止める龍牙が守る。

 

「ヴェノム、此処から離れて応援を呼べ!!!奴の個性なのか此処からじゃ通信が繋がらねぇ!!援軍を呼んでくれ!!俺が持ちこたえている間に!!!」

「お前、無茶だ!!俺が一緒だったからこそ持ちこたえられたようなもんだぞ!!」

「ぅぅぅぅぅっ……があああああああああああ!!!!」

 

裂帛の叫びと共に振り抜いた拳が再度、胸部を捉えながら今度は殴り飛ばした。肩で息をしながらも龍牙がヴェノムに遠くを指差しながら一刻でも早く此処から離れるように促す。此処のまま戦ったとしても間違いなく泥沼化し確実に自分達は殺される、だったら一方でも逃げて増援を頼み一方が時間を稼ぐしか手段は無い。そうでなくても片方は確実に助かる事が出来る筈。

 

「行けっ相棒、お前の務めを果たせ……」

「お前っ……」

「トップヒーローの応援を期待する……行けっ!!!」

「―――っ……!!」

 

もうヴェノムは何も言わず、駆け出して行く。黒糸と自らの身体能力をフル活用しながら山を越えて森を掻き分けていく。同時に通信ができるエリアを必死に探しながら一刻でも早く龍牙の元に戻る為に。そんなヴェノムの邪魔をさせないと言わんばかりにその場に残りながら吹き飛ばしたエビルブラッドへと殴り掛かり、組み付いた龍牙。

 

「行かせるかよっ……お前は此処で俺が始末する!!」

「出来るのかね、ヴェノムの助力があって君はあの程度だった。それがなくなって今、君に何が出来るのかな!?」

「がっ……!?」

 

一撃が突き刺さった、黒炎の装甲を揺るがし破壊するような一撃が。龍牙は吹き飛ばされながら数回地面をバウンドしながら倒れこんでしまう。黒炎が直ぐに身体を覆うがそれ以上に受けたダメージの方が深刻であった。黒炎の下は黒龍の鱗だらけ、たった一撃を受けただけでそれである。ヴェノムがいない今、龍牙のダメージは加速度的に増し続けている。

 

「―――っ……あるさ、お前に負けない……!!」

 

それでも立ち上がり、龍牙は戦いの意志を見せる。ブラックドラグランザーもとぐろを巻くように龍牙を守りながら威嚇の唸り声を上げながら黒炎を蓄える、そして龍牙が腕部に龍頭を出現させ黒炎を放つと共に炎を放つ。だがそれは再び熱を吸収させれてしまい無へと帰る。同時に頭部の黒炎が壊れるように崩れ去り、瞳が露出するが……まだ立ち上がる。

 

「ヒーローは、絶対に負けないんだっ……!!!」

「―――そうだ、その瞳だ。オールマイトと全く同じ、その目だ」

 

絶望的な状況にもかかわらず決して諦めようとしない瞳、力強いのに優しさに溢れている瞳。それを見るとエビルブラッドは笑いだす、それを求めていたかのように。仮面で隠れているのにも拘らず満面の笑みを作って笑いだす。再度、激しい戦いが起きていく、限界などとっくに超越しているであろう龍牙の死闘。倒すのではなく、負けない事に特化したそれは龍牙を生き延びさせるだけではなくエビルブラッドを長時間足止めしていく。

 

「そう、それを待っていたんだよ。ああっそうだ、それでこそ僕が戦う次世代のヒーローだ……そして―――これは手向けだ」

 

MAX HAZARD ON!!

GATAGATA GOTTON! ZUTTAN ZUTAN! GATAGATA GOTTON! ZUTTAN ZUTAN!

 

伸ばされた指はトリガーのボタンを押した。それは禁断の引き金を開放する扉を開くもの、それが溢れ出された力は過剰なまでにエビルブラッドを包み込みながら―――龍牙を貫いた。反応する事も出来ないまま貫いたそれに龍牙は―――身体中から力が抜けて行った。意識は遠のき、視界が闇に閉ざされていく。

 

「如何やらここが限界のようだね、では―――さらば黒鏡 龍牙君」

 

その後、その場にヴェノムがプロヒーロー達を率いて到着した。龍牙は戦いながらも蛇腔病院から離れ敵が異変を察知しないように配慮していたがために到着が遅れてしまったが確かな増援を伴って到着した。エンデヴァーを始めとしたトップヒーロー達が到着したそこには―――

 

「龍牙ぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

 

黒龍の骸の中で、か細い心音を今にも止めてしまいそうな龍牙が血に塗れながら横たわっていた。

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