僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
病院にて安静にし続けている龍牙、意識が回復したとはいえその傷が塞がっている訳ではない。なので素直に入院は続行、回復力に優れているのでそこまで時間もかからず退院する事は可能だろう。それまでは素直にベットに身を委ねて眠って体力と怪我の回復に勤しんでいたり持って来て貰ったゲームを遊んだりして時間を潰したりしている。
「よぉっ龍牙、姉ちゃんが見舞いに来てやったぜ」
「俺もいるけどな」
「いらっしゃい、復活早々に俺を再起不能に仕掛けてくれた兄さん姉さん」
「「……本当にすいませんでした」」
そんな所にやって来た戦兎とミルコ、二人はあの後ギャングオルカも纏めてリカバリーガールとスイーツァにお説教を食らった。そこに加わった根津に約5時間程の大説教を受けたので流石にもう突然抱き付いたりしたりも大きな声を上げる事もしない。
「ンでもう怪我は良いのか?」
「回復には向かってますよ、スカウター主治医が腰抜かしてましたよ俺の回復力見て」
「リカバリーガールとかが治癒とか掛けてくれてるのもあるだろうけどそれでも龍牙の体力もあっという間に回復していったもんなぁ……ドラゴンってその辺りも規格外なのか」
「知りません」
実際黒龍たるドラグブラッカーを個性として宿しているのも関係はしている事だろう、生命力が尋常ではない存在として知られ自然の化身や神と同一視される龍。それが起因して龍牙のタフネスさの根幹を成しているのかもしれない、後はギャングオルカの指導も大いにあるだろう。これがあるから根津はあの劇烈指導を止められないのである。
「んで今日来たのは純粋に見舞いってのもあるんだが……こいつを渡しに来たぜ」
「あっドラゴン!!」
懐から飛び出して龍牙の頭の上へと乗ったのは今ではすっかり龍牙の相棒になっているドラゴン、だがそれも何処か変わっており今までは青を基調としていたのに黒と金、そして銀で統一されており何処か高貴でゴージャスな印象を受ける。だが中身は全く変わっていないのかまた頭の上で昼寝を始めてしまった。ある意味安心する光景であるが。
「修理は完璧に終わったぜ、後細々とした部分を全面的な改修とパーツも新しくしたから全体的に4割位パワーアップしてるかな」
「随分変わりましたね……殆ど別物の感覚じゃないですか」
「後此奴もな」
そう言って今度はミルコが取り出したのはエビルブラッドとの戦闘で完全に大破してしまったエレメントドラゴンナックルだった。そちらもカラーリングが変更されたりしている。
「こいつらも全面的な改修をしておいたからな、オミットしてた機能も完全に開放してパワーアップさせてある」
「オミットって……省いてたんですか?」
「正確に言えば渡した段階じゃ龍牙との相性のいいボトルとかがまだまだ情報が不足してて組みこむには危ないと思ったからな―――そいつを使った変身を出来るようにしておいた」
元々ナックルはドラゴンを用いずに使用する変身アイテムだった、だがまだまだ情報が不足していたのもあるしビヨンド・ザ・リュウガのそれを受け止め切れる程ではなかったので純粋な武器として渡した。その代わりと言わんばかりに出力が馬鹿高かった訳だが……。
「お前も知ってると思うけどビルドドライバーはボトルを二本装填して変身する、だけどドラゴンに装填してたお前のボトルは一本にしては得られるパワーがでかかったから制御の為にも一本にしてたわけだ。だけどナックルと併用すれば二本での変身が出来る、ドラゴンにはナックルと連結用の改造もしてある。後これ二本目のボトルな」
そう言って投げ渡してくるのは青いドラゴンのボトル、これを使う事で自分も新しいステージに立つ事が出来る事になる―――そして思う。その姿なら自分が進化の個性を使った形態を受け止める事が出来るのではないのだろうか。
「青いドラゴンボトルってなんだそりゃ、龍牙のドラゴンって元々赤かったって話は聞いたけどよ」
「知らねえよ、俺も龍牙の個性成分を解析したり実験したりしてたらなんか変質して青くなったからな」
「おいおいおい……それ大丈夫なんだろうな」
「そこら辺は大丈夫だ、だけど強いて言うなら俺が持ってるドラゴンボトルよりも出力たけぇ」
戦兎自身も別口で龍の個性を持っているヒーローから成分を採取させて貰って龍のボトルを所持しており、それを用いたベストマッチも存在している。だがそれと比べると出力が高い上に制御が全く効かないじゃじゃ馬ボトル、恐らく龍牙の個性のそれもギャングオルカの長年の鍛錬があったからこそ操れるのだろう。
「そう言えば……ミルコ姉さんが着けてるそれって何ですか?」
「おっ気付いたか!!良いぞ目ざといな!!」
自慢げに胸を張りながらそれを見せ付けてくるミルコ、そこには戦兎のラビットラビットフォームのそれを模したかのようなアーマーが装着されているように見える。その身一つであらゆるヴィランを蹴り砕くミルコとしては酷く珍しい光景でもある。
「こいつは戦兎が俺専用に作った特殊アーマーだぜ、限定的だけどラビラビフォームの機能を搭載してるしくそかてぇのに柔軟性もある」
「硬いのに柔らかい……ってなんか矛盾してません?」
「ダイラタンシーって分かるか?」
「え~っと……溶かした片栗粉を掴んだり力を加えたりすると硬くなるあれですよね」
ミルコのアーマーにはそれを応用した新技術が採用されているとの事。装甲の内部は新開発のヴァリアブルゼリーで満たされており普段は柔らかく動き易く、ミルコの超高機動を一切阻害しない。そして攻撃を受ける又は行った瞬間に硬化し防御力と攻撃力を飛躍的に高める事が出来る。圧倒的な身体能力で跳ね回るミルコはそれらを阻害するアイテムやコスチュームは全て拒絶していたのだが、戦兎はそれを解決する代物をあっという間に完成させてしまった。
「成程、愛しのミルコ姉さんの為に戦兎兄さんが愛情を丹精込めて作った最高のアーマーなんですね」
「そうだ此奴には戦兎の愛が詰まってるからな!!」
「弟に惚気んじゃねぇよ……」
頬を赤らめながらも自慢げ且つ嬉しそうに胸を張るミルコに呆れる戦兎、ホント以前の不仲が嘘のようである。まあそれが結果的に良い方向に繋がったのだから良しとしよう。
「龍牙早く元気になれよ、そして手合わせしようぜ!!」
「おいバカ、お前この前それでオルカに怒られたの忘れたのかよ……今のお前は防御があるから今までより遥かにパワーアップしてんだから龍牙も唯じゃ済まねぇよ」
「だってよぉ……おっ救援要請だと!?おっしゃあ新コスチュームの慣らしだ行って来るぜ!!」
「おい馬鹿窓からか!?ああっもう悪い俺も良く!!」
そう言って慌てて窓から飛び出していったミルコを追いかける為にホークガトリングに変身していく戦兎を見送った。そしてテレビをつけるとそこには現場で暴れていた巨大化個性のヴィランを圧倒して叩きのめしたミルコとそれを援護するビルドの活躍、そしてラビルドの再結成が報道されていたのであった。