僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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愛しい人と過ごす黒龍

「おおっ龍牙久しぶりだな!!ンだよお前ヒーローの協力要請とかで長らく留守にしやがって!!」

「こっちだって色々と事情があるんだよ、師匠の名前を出されたら行かない訳には行かないからな」

 

久しく会うような気分になるクラスメイトの面々、実際には週間程度でしか会っていないだけなのに随分と長らく会っていなかったような気分になるから不思議な物である。これも自分が入院していたからだろうか、気を付けないといけない。

 

「やっぱ龍牙の能力って便利なんだな捜査だと、ファットももっと前に知り合って一緒に仕事したかったって言ってたしよ!!」

「そう言われて光栄だな。んじゃ悪いが俺は部屋に行かせて貰うぜ、ちょいと疲れてる」

「おうっ確り休めよ!!」

 

話もそこそこに打ち切ると部屋へと向かって行く体調自体は問題は無いが名目的にはそう言うポーズを取っておいた方が良い。それなりの期間をプロの活動に協力し続けていた、という事になっているのだから。荷物を担ぎ直して部屋へと鍵を開ける、少しばかり身体を引きずってみるとそこには―――

 

「お帰り龍牙君♪」

「―――ただいま葉隠さん」

「んもう名前で言ってるのにさ」

「もうこれで慣れちゃってるからさ」

 

自分の部屋の合鍵を持っている恋人、葉隠が待ちかねたと言わんばかりの笑顔を使って待っていた。少しばかり自分の言葉に不満げにしつつも手に持った荷物を預かるように持ちながら空いたスペースに置いていく。

 

「大変だったみたいだね、龍牙君ずっと公欠だったもんね」

「色々と面倒な仕事でねぇ……だけど俺が最適解だっていう判断も頷けたよ。お陰で随分扱き使われたさ」

「ありゃ~でも龍牙君がやらなきゃいけない事だったの?まだインターンなのに」

「まあ俺でなくても居たんだろうけどさ、向こうが師匠からの紹介って事で俺を選んだんだよ。それなら俺が行かないっていう選択肢はその段階で消え去るのさ」

「本当に龍牙君ってばオルカさんスーパーリスペクトだよねぇ~」

「俺にとってオールマイトを越えるヒーローだからね」

 

荷物を置いた彼女は龍牙を座らせると直ぐにお茶を淹れ始めた。もうこの部屋の事は自分の部屋のように熟知しているのか新茶の場所から自分が良く使う道具の場所まで把握されてしまっている。

 

「あっそうだ、龍牙君が居ない間お掃除とかやっといたよ。いろいろ触ったりしないようにはしてたけど」

「なんだかやらせちゃって悪いな、何か埋め合わせするよ」

「良いよそんな事、将来の練習だと思ってたから」

 

頬を染めながら答える彼女の言葉に龍牙は何も言わず照れたように瞳を閉じるだけ、正式な物ではないが二人は実質的な婚約をしているに等しい者同士。何れ持つ事になる黒鏡家、その当主とその妻になる事を互いが了承している。後は年を重ねるのを待つのみ、早く来ないかと心待ちにしている彼女は愛しの彼が帰ってくるまでの部屋の掃除をする時も何処か新妻気分になって鼻歌を歌いながら掃除などをしていた、未来の光景を今に投影させながら。

 

「後以外だったのが龍牙君ってなんか変なのってないんだね」

「いやそれどういう意味それ」

「なんか峰田君とか上鳴君とかが持ってそうな嫌らしいなの」

「あ~……そう言う系っというか探したの?」

 

えへへっ♪と舌を出しながら謝罪する姿に肩を竦めた、年頃の男子高校生といえばそう言う系の雑誌やらゲームなどを何処か隠してあったりするのが定番だったりするのだが……龍牙の場合はそれらが一切ない。唯一あるのがかなり前にMt.レディこと龍牙が優さんと呼ぶ岳山 優に貰った彼女が出ている写真集だが、それも別に恥ずかしがる事も無く普通に本棚に収められている。それ以外にそれらしいものは一切無い。

 

「別に興味ないからなぁ……峰田とかに押し付けられそうになる事もあるけど、邪魔だから受け流したりその場にいた上鳴に渡したり」

「うんうんっ龍牙君が誠実で誠に私は満足です」

「そりゃどうも、後お茶もどうも」

 

出てきたお茶を啜りながらも目の前に座り込む葉隠の笑顔が沁み込んでくる。矢張り彼女の笑顔を見ていると落ち着くのか気分が落ち着いてくる、怪我こそ完治しているが矢張り精神的な面はまだ落ち着き切っていなかったのか、こうして二人っきりでいるとそれが浮き彫りになってくる。エビルブラッドが自分の成長と共にあった、自分の強さがあれを育て上げたという事がかなり深い傷跡になっていたらしい。

 

「あっそうだ、龍牙君今日が何の日か知ってる?」

「んっ~?」

 

ご機嫌そうにハミングしながらごそごそと身を捩らせながらも笑っている彼女に龍牙はワザと首を傾げて見せた。既に分かっている事だが、此処は頼りになる上に自分を助けてくれると明言してくれたお姉さんのお言葉に従って女性に華を持たせる事にした。そんな龍牙に答えを教えてあげると何処かお姉さんぶるようにしながらも取り出されたそれを差し出した。

 

「えへへへっ……実は完成したのはつい昨日で、結構ぎりぎりだったんだよね」

「これは凄い……」

 

鮮やかなピンク色でコーティングされたチョコレート、その上には星やハートがケーキのように飾られている。鮮やかで美しい、それでいて可愛らしい。

 

「女子皆で砂藤君に教えてもらって後は皆で頑張ったの、それで私は龍牙君への思いとか一杯詰め込んだらこんな感じになっちゃった」

「いやでもこれは……なんか食べるのがもったいなくなるレベルの出来だね」

「え~それはそれで嬉しいけど食べてよ~味も自信ありなんだから」

 

ちょっと勿体ないとも思ったが作った張本人が言うのだから頂くとしよう。少し大きめのチョコレートだが、それを頂く。甘さは控えでもなく甘すぎる訳でもなく程よくそこにイチゴの酸味と甘み、丹念に仕上げられた飾りの部分も一切手が抜かれておらず計算されつくした結果で成り立っている味わいが広がっている。思わず瞳を閉じてその味わいに酔う。

 

「……最高においしいよ、こんなおいしいのは初めてだよ」

「やったぁっ!」

 

無邪気に喜んで声を上げる彼女、そんな姿に笑みを浮かべながらも味わいと共にそこにある温かさに感謝する。自分は自分をいざという時に助けてくれる大人に感謝していたがそれ以上に感謝すべき存在が居た。自分の隣に立って共に歩んで支え合って行ける人、彼女にこそ最大級の感謝を送るべきなのかもしれない。

 

「いや本当に凄いよ、これはホワイトデーでのお返しのハードルが凄い事になるな」

「そんな気持ちだけでいいよ~」

 

そんな風に茶化す葉隠だが内心ではどんな贈り物をしてくれるのか、という事に何処か期待していた。これは送った少女ならば必ず抱いてしまう事だろう、そんな彼女に対して龍牙は近づきながら顎を軽く指で持ち上げながら瞳を見つめる。

 

「あれ、俺が透ちゃんに向けてる気持ちが―――凄く大きいって事、気付かなかった?」

「そ、そう言われちゃったら期待しちゃうよ私……?」

「フフフッそうしてくれると俺は嬉しいかな、乗せられてくれると逆に俺は張り切っちゃうから」

「えへへっそれじゃあ期待しちゃうね♪」

 

そのまま二人は気付けば互いの身体を固く抱き合っていた、そのまま残る時間は互いの感じながら―――二人っきりの時間を過ごし続けた。

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