僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

311 / 327
授業での一幕の黒龍

それは龍牙が退院してからの授業、B組どの合同授業において起こってしまった事だった。B組との合同授業、それは対人戦闘訓練でありA組とB組から完全にランダムに組まれた者同士が戦いあうというものだった。以前の授業では九州の一件で参加できなかった合同授業、その再開と言わんばかりの事に龍牙はそれなりに張り切っていた。そしてその相手は―――B組一の問題児、ミリオに雄英の闇とまで言われる物間 寧人であった。

 

「まさか君とこうして戦う事になるなんてぇ!!九州の一件で随分と持ち上げられているけどさ、あれは結局の所ビルドとミルコのお陰で勝てたって事を確りと理解してるかい!?ああごめんごめん、だけど事実は確りとさせておきたい主義でねぇ!!」

「……良く喋るなぁ、それとそれ俺からミルコ姉さんと戦兎兄さんに伝えとく。後俺が勝てたのは踏陰の力もあったからだぞ、そこを見逃がすのは失礼だぞ」

 

持ち前の腹黒&超嫌味を全開にしながら龍牙へと向けて高笑いをするのだが、肝心の龍牙は全くそれを気にするつもりはなかった。自分の勝利にはビルドとミルコの一撃が深くかかわっているのは紛れもない事実である、寧ろ足りない部分を指摘する、それに全く苦にしない所か補足し訂正を求める龍牙は何処か相性が悪いのか口を窄める。

 

「兎に角今日、A組最強と名高い君は僕に屈するのさ!!」

「誰が言ったんだよそれ、最強とか興味ないから嬉しくないな。後お前、ンな事言うと爆豪に爆破されるぞ」

 

事実、爆豪は自分を差し置いて龍牙を最強と宣う物間に対して殺意と怒りの間の感情を溢れ出しながら睨みつけている姿があった。思わず周囲が距離を取る程の威圧感を溢れ出させるそれに流石の物間もまずいと思ったのか今度こそ黙った。

 

「1度口から出た言葉は消えない、自分の言った言葉には責任がある。俺が父さんから教わった言葉だ、お前にとっては大した事は無いその一言は誰かを傷付けて心を抉る事を理解した方が良いな、以前俺の見た目について言うった事もな」

「……まだ根に持ってるなんて意外とみみっちいな」

「記憶力には自信があってな、良くも悪くもインパクトの塊のお前の事は忘れられない」

 

そんな会話から戦闘訓練が行われる事になった、物間は事前に手を打っていたのかその手段を活用して龍牙へと迫っていった。彼の個性はコピー、触れた相手の個性を一定数体内に保存し5分間の間使い放題になるという個性。それでクラスメイトの個性を借りる事で龍牙へと追い迫っていくのだが―――

 

「はっはぁっ頭部への旋回とツインインパクトは如何だい!?」

「利いたな、少しな」

「っ化け物かっ……!?」

 

個性を使った戦いを組み立てていく物間、複数の個性をフル活用した作戦は機能していた。龍牙の機動力を殺す為に足場の柔らかくし、自分は空気を固めた足場の上から一方的な攻撃、有無を言わせない大拳の連続攻撃、そして急所への的確な連打と一見すれば龍牙を追い詰めていた。クラスメイトもそう思った、だがそうはならなかった。それらを全て受けながらも未だ尚、龍牙は健在だった。

 

「師匠に叩きこまれてるんだ色々と、特に俺は衝撃には強いぞ」

「―――っ……」

 

思わず言葉を失う程だった。的確に人体の急所を突けば倒せないまでも有力なダメージを与える事が出来ると確信していたのに全く応えていないのは想定外にも程があった。ギャングオルカが師である事は承知していた、それに様々な訓練を与えられている事も有名な話だったが……物間の予想を遥かに超える程に龍牙の受けてきたそれは壮絶過ぎたらしい。

 

「はっなら君自身の力を味わせるだけさ!!」

「成程」

 

そう、物間は龍牙の個性をコピーする事に既に成功している。圧倒的な出力を誇る龍牙の個性を。それをまだ残っている友の個性を組み合わせれば絶対に勝てると踏んだのだろう、そして龍牙のそれを発動させた時だった―――物間の全身を膨大な量の黒炎が包み込んでしまった。

 

「ぐっ……何だ、これはっ……!!?」

 

作戦の内だった龍牙の個性のコピー、手始めにその凄さを確認する為に発動させた物間だったが―――一度蓋を開けた瞬間に溢れ出したのは途轍もない個性の力の嵐だった。身体の中を龍牙暴れ回っているかのような感覚と共に炎を抑える事も操る事も出来ないまま垂れ流す事しか出来なくなっていた。別の個性に切り替える事で強制的に炎を止めようともするが全くそれも出来ない。相澤が個性を抹消する事で物間を抑えつけて訓練は中止となった。

 

「お兄ちゃん今のって……如何して起こったんだろう」

「物間、お前の個性ってどういった感じにコピーするんだ?」

「……触れた相手の個性の性質を、コピーするのさ……」

 

余りの事に疲労困憊となっている物間は途切れ途切れながらに質問に素直に答えた。完全なコピーではなく性質をコピーする、それが物間の個性。例えばファットカムの個性、脂肪吸着という個性をコピーする。己の脂肪で攻撃や相手自体を吸着する個性だが……やせ型の物間がそれをコピーしても吸着する脂肪が無いので意味を成さない。

 

「あ~……成程な、じゃあお前ドラグブラッカーの力だけをコピーしたって事か。それじゃあそうなるわ」

「どういう、事かな……」

 

余りにも単純な話である。ドラグブラッカーは龍牙の個性の根幹であると同時にもう一人の彼自身、ドラグブラッカーは龍牙と共にあるからこそ個性を自在に扱う事が出来る。そんな彼の黒龍の性質をコピー、幼い龍牙が無意識な程に身体がリミッターを掛けてしまう程の超出力の個性、それをそれだけをコピーしたら扱い切れないのは当然の帰結。

 

「10年間、身体と個性を鍛え続けて来たから俺の今がある。それを一瞬でコピーされてたまるかってんだ」

「―――何処までも君は規格外だ、全くもって―――とんだモンスターが居たもんだ」

「口が減らないお前もな」

 

そんな龍牙に呼び出しがかかる、それは―――龍牙の新しいコスチュームの到着を知らせる物だった。




随分以前に物間が龍牙の個性をコピーしたらどうなるのですか、という事を聞かれたので遅くなりましたがそのお答えです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。