僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
一日を使った基礎学、故かその二人の果し合いの許可は出された。そもそもがこの日が体育祭で行われたトーナメントのガチバトルの延長に近い形だからかもしれない。場所はグラウンドβ故に完全な市街地演習という事になるがそんな事は今そこに立っている二人には全く意味はなさずに唯々互いに静かに闘志をぶつけ合い続けている。それを大型モニター越しに見つめているA組の生徒達も不思議と緊張してしまい、言葉が出せずにいた。
「な、なんかすげぇ緊張すんなぁ……」
「あの二人の激突って体育祭以来だもんなぁ……あん時は爆豪が勝ったけど今回は如何なんだ……!?」
「分からない、分からないよ」
二人の事を良く知っている緑谷ですらその答えに明確な回答を見出す事が出来ずにいる。ギャングオルカを師として並々ならぬ鍛錬と経験を積み続けた果てに成長し天へと昇り続ける絶対的な黒龍。死線を超える度に自らの瀕死すら糧にして前へ前へと転身し続ける不撓不屈の英雄龍、龍牙。対するは唯我独尊成れどそれに相応しい才覚と力を秘めながら、一度は龍牙を下し頂点を勝ち取る事をした爆炎を従える爆豪。
爆豪とは焦凍と同じくエンデヴァーの事務所にインターンを出向き様々な事を経験したことで自分の全ての能力の底上げに成功し、何倍にも強くなっている。そんな爆豪はきっと龍牙にも負けない位の実力を秘めている、だが今の龍牙には新しいコスチュームがある。それを加味すると実力の差は一体どの程度にまで拮抗するのかは全く分からない、今回はコスチューム使用のMAXバトル。どちらに軍配が上がるのか全く予想が付かない。
「龍牙君は負けない、私はそう思うよ」
そんな中で彼の勝利を信じて疑う事も無く見つめ続けている葉隠が言葉を発すると視線が一気に其方へと向く。確かに活躍などを見るとそちらの方が勝つのではないだろうかと思えるかもしれない、だが実際は終わるまで解らないが葉隠は信じて疑わない、いや疑う事すらしない。
「アンタやっぱり龍牙となんかあんじゃないの?」
「フフフッ如何だろうね……その内話してあげるね―――きっとそれは遠くないよ」
鋭い瞳を作りながら龍牙は迷う事無くレバーを回していく。ベルトを通じて龍牙の周囲を取り囲むように黒炎のサークルが生み出される、それらと同調するかのようにコスチュームも一気に黒い炎を巻き上げながら龍牙を飲み込んでいくが彼はそれを無視するかのように叫ぶ。
「―――変身!!!」
黒炎が龍牙へと収束して鎧を形成する、それを見た爆豪は自然を口角を持ち上げた。姿かたちこそ
「始めるか―――ヴィラン野郎ォォォォオオオ!!!!」
「それも聞き飽きたな―――ダイナマイト野郎ォォォオオオ!!!!」
両者がほぼ同時に駆け出して行く、真正面へと。互いに逃げる事も無いのが突進し続けていく、そのまま両者の一撃が始まるのかと思った直後に互いがスレ違い―――
「「ォォォオオオオッッ!!!!」」
全く同じタイミングで反転、全身をねじりながらの渾身の一撃が身体に突き刺さる。龍牙には爆破が、爆豪には黒炎が襲いかかり互いに身体を浮かせながら吹き飛んだ。たった一撃にも拘らず周囲にビルやガラスにひびを入れる程の衝撃が襲いながらもビルへと激突しながらも真っ直ぐと自らの相手を見つめ続けている姿は最早何処か狂戦士染みているがそれは強ち間違ってはいない。
『―――ゴアアアアアァァァァァッッッ!!!!』
突っ込んだビルを切り裂くかのように翼を広げながら躍り出た黒龍は高らかに咆哮を上げる、広げられた悪魔の如き黒い2対の翼は翼下に入った者の命を容赦なく奪う。その凶悪な風貌も相まって地獄の悪魔を思わせるかのようだったが、それを怖じ気付く事も無く同じようにビルから飛び出してながら飛び蹴りを浴びせる爆豪は唯々笑っていた。
「そうだ、テメェはそうでなきゃ意味がねぇんだ。そうでなきゃぶっ殺し甲斐がねぇってもんだよなぁ!!」
「殺せるもんなら殺してみろ、この黒龍を、この俺を―――ドラゴンライダーを殺し得る存在だと証明して見せろぉ!!!」
瞬間、身体を貫かん速度の貫手が爆豪を捉えた―――いやそこにあったのは彼の姿の残像でしかなかった。真下から無数の爆発の柱が龍牙へと向けて放たれて続けた。それから身を護るかのように翼が大きく伸びるように身体を覆うような盾へと変じて爆発を受け止めていく。
「ハァッ、さっさと本気を出しやがれ、その上でテメェをぶっ潰してやる!!!」
「お望みとあらば―――見せてやる、黒龍の真の力を、ビヨンド・ザ・リュウガを!!!」
「お前は俺に付いてこれるのか爆豪」
「ハッ抜かせヴィラン野郎がぁ、テメェが俺を追えッ!」
「やってみろ!!」
翼をさらに広げた龍牙は市街地の中を慣性を無視するかのような超スピードのジグザグ飛行を開始するが、爆豪は爆速ターボでそれを追いかけていく。二人の表情を埋め尽くすのは―――好敵手に対する不敵な笑み。既に異常な戦闘を垣間見せ皆を圧倒する中でただ一人の少女、葉隠は嬉しそうに呟いた。
「楽しそう、龍牙君」