僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
何度も、何度も、何度も激突が繰り返される。
「ドラゴン・スマッシャァァァ!!!」
「
互いの一撃が諸に入っていく、それでも互いに立ち上がり続けながら爛々と瞳を輝かせながらも再度向かって行く。地上、空中、それらを蹂躙しながらも激突していく姿に誰もが息を呑んだ。線となって移動しながらそれらがぶつかり合うさまは自分達に真似が出来るようなものではない、他の追随を許さないとはこの事かと思わせる程であった。
「取ったぁっ!!」
「こっちの台詞だぁ!!」
一瞬産まれた大きな隙、そこへ大火力をかまそうとする爆豪だがそれはフェイク。背中から伸びた翼が瞬時に変化して龍の咢ととなると爆豪の手を加えながらも地面へと固定、直後に龍牙の腕が先程のスマッシャー以上に膨れ上がっている。
「ドラゴニック・バスタァァァァッ!!!」
「ぐっ……!!」
マッスルフォームのオールマイトの数倍はある巨大な腕、そこから放たれる超重量級の一撃が爆豪の身体を抉り吹き飛ばそうとするが腕が固定されてしまっている為に衝撃の逃げ場が一切ない、そしてインパクトの瞬間に拳が龍の頭へと変化してそこから特大の黒炎が光線のように吐き出されていく。それをまともに浴びながらも黒炎はフィールドを駆け巡っていき、ビルの一つを飲み込むと大爆発を起こして丸ごと一つを消し去ってしまう。
「なんという威力……これがあのトニー・スタークが作り上げた黒鏡少年の新たなコスチュームの力か……!!」
ヒーロー社会に広まっているコスチュームの全てを一蹴するかのような凄まじさ、それ自体が個性と一体化して増幅させてしまうかのような力。それによって高められている龍牙の力にオールマイトすら驚きを隠せなかった。だがそれを受けて爆豪は大丈夫なのかと思う中、黒炎が消えていくその中から爆豪が現れた。
「テメェッ……あの時の意趣返しのつもりか」
「そんな所だ」
そこには片腕を盾にするようにして耐えていた姿があった、自らの汗を溜め込むような機構になっている手榴弾のようなそれを犠牲にして助かったとも言える。逆に溜め込んだ自分の汗を燃やす燃料にして威力が上がったような気もしなくも無いが……何方にしろ耐えきれたのも事実。そしてその時―――龍牙の巨大になっていた腕が一気に元に戻りながらも爆豪の拘束が解除された。
『―――ッ!!』
また激しい戦いが始まるのかと全員が息を呑む中、現実は予想を裏切りながら両者は共に大の字に倒れこんでしまった。もう既に互いにもうボロボロで戦えないのだろう、胸を撫でおろしながらも相澤は終了を宣言しながらも二人を医務室に運ぶ手筈を付けるのであった。
「やっべぇなこれ、今まで以上にパワー出せっけどスロットル管理が今まで以上にキッツッ……慣れるしかねぇか」
「ンだよ俺をここまでしといてそれか、情けねぇ。俺なら一回目で完璧に扱ってやる」
「ほざきやがれ、お前なんぞに扱いキレる訳ねぇだろ」
「あ"っ?」
「あ"っ?」
倒れこみながら声を荒げながらも未だにぶつかり合いをやめようとしない二人、緊張感が走る中でそれらは直ぐに四散した。互いにもうわかっているのだ、これ以上は流石に無理だと。龍牙は初の実戦運用と爆豪との決着に乗ってしまい普段ならやらないレベルまで自分を消耗させてしまい、爆豪は自分の全てを出し切った上で龍牙の一撃を受けてもう動けない。両者ともに限界なのである。
「おいヴィラン野郎」
「ンだよダイナマイト野郎」
「―――気に入らねぇがテメェはつぇぇ、お前の勝ちだ」
「何だらしくねぇな、何時もの唯我独尊なテメェは何処に行ったんだ。明日は雪か?」
龍牙の言葉を聞きながらも自分で自分を鼻で笑った、確かに自分らしくないかもしれない。何があっても負けを許さない自分にとってそれは紛れもない敗北を認める事なのだがそれに対して全く悔いが無い上に納得がいく。寧ろ敗北して晴れやかな気分すらある、自分が欲しくてしょうがなった者が漸く現れたような気分だった。
「次は負けねぇ、だから―――龍牙、テメェは二度と負けんじゃねえぞ。俺がテメェをぶっ倒すまで負けんじゃねえぞ」
「―――。いいぜ勝己、テメェが望むならそうしてやろうじゃねえか、だけどこの俺を下すのは楽じゃねえぞ。今度はせめてもっと爆破の威力を上げてから挑みやがれってんだ」
「ハッンなこたぁ先刻承知だくそが……おい、今度俺の訓練に付き合え」
「随分と殊勝な心持じゃねえか」
あの爆豪が自分の名前を呼ぶ、そしてあの龍牙が彼の名前を呼ぶ。その光景は未だにモニターで中継されているのでクラス全員が驚きに溢れ、あの緑谷は顎が外れんばかりに、そして目が飛び出さんばかりなもう言葉に表せられないような顔になっていた。爆豪が最も欲していたライバル、それに認定された龍牙はもうそうすると決めたのだろう。
「ならまずはお前のコスでも見直せ、戦兎さんでも紹介するか」
「あの天才に俺に相応しいのを連れればの話だけどな」
「んな事言ってたらとんでもねえもん生み出してお前実験台にされんぞ」
そんな会話をしながらも漸く身体を起こした二人はやって来た担架を担いだロボに身を委ねながらそのまま医務室へと運ばれていく。心地良い気持ちのまま瞳を閉じればこのまま眠ってしまいそうになる中―――爆豪は彼に言った。
「おい龍牙、次は俺が勝つぞ」
「抜かせ、次も俺だ」
そこにあったのは互いの顔を見ずとも相手の顔が分かっている、不敵な顔で笑っている二人の男の姿があった。