僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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互いを思う清純と黒龍。

「ねぇねぇ龍牙君、これなんて如何かな!?」

「いいんじゃないかな、でもなんかちょっと暗くない。もっと明るい色の方が似合うんじゃない?」

「ちっちっちっ分かって無いなぁ龍牙君、黒は女を美しくするって魔法の言葉があるんだよ」

「へぇっ確かにセクシーさが増してる感じだね、でもちょっと背伸びしすぎてる感もあるよ」

「えっ嘘!?」

 

約束の休日、共に出掛ける事にした龍牙と葉隠の姿は女性向けの衣服店へとあった。丁度春へと向けた新作セールを行っていたので意気揚々と入っていく彼女に手を引かれて入店する龍牙。思い思いの服を選びながらも試着室で試しては感想を聞いたりを繰り返す。普通の男性ならばもううんざりするレベルの試着を繰り返してしまっている葉隠に文句を何一つも言わない所かうんざりした顔一つせず寧ろ誠心誠意それに付き合いながら自分ながらの意見も確りと述べてくれる彼に彼女も満足気であった。

 

「う~んこれも良いけど、さ、流石に予算オーバー……幾つか削らないと……」

「ああそれなら俺が払ってあげるよ」

「えっ良いの!?」

「折角俺が選んだ服を好きな人が気に入ってくれたりもしたんだからね、彼氏としては甲斐性を見せないと」

「わ~い有難う龍牙君、でもこれ結構いい値段しちゃうから削らないと……」

「大丈夫大丈夫」

「ああでも、あ~待ってよぉ~!?」

 

プレゼントしてくれるという事に嬉しくなりながらも流石に値段が大変な事になるだろうから幾らか削ろうとする自分をごり押しで突破するかのようにレジへと到達するとあっという間に会計まで突き進んでしまう。なんだかんだで葉隠はあくまで試着で留めようと思っていた一流ブランドの物まであるので値段はえらい事になる……だから今からでも願い出なければ……

 

「合計で18万4710円になります」

「たっか!!?やっやっぱり返さないと?!」

「全然大丈夫だよ、カードでお願いします。一括で」

 

と全く平気そうな顔をしながらカードを差し出しながら直ぐに会計を済ませてしまう龍牙、クレジットカードによる決済ではなく即座に口座から引き落とされるデビットカード。だが全く問題も無く決済が終了してしまった事に葉隠は目を丸くした。

 

「サービスで配送も可能ですが如何致しますか?」

「そうしちゃう?」

「アッハイお願いします」

「それじゃあここへ」

「畏まりました」

 

と店員は一瞬、名前と住所を見てギョッとするがそこはプロの店員、声には出さず一流の対応のままだった。が、こっそりとサイン色紙に龍牙のサインを強請ったりはしたりはした。尚龍牙は快く書いた。そして買った物の手配を終わらせると二人は店を出た。

 

「あ、あの龍牙君……今のお金、絶対返すから……だって、約20万円……」

「気にしなくていいから、戦兎兄さんの研究協力の報酬とか色んな事でお金はあるから」

「でもなんか悪いから絶対埋め合わせはするからね、いやさせてください」

「期待させて貰うよ、でも無理はしなくていいからね」

 

何やら恋人の凄さを思わぬところで見た葉隠だが、その後は比較的にまともなデートであった事は確かだろう。

 

「ねぇねぇ龍牙君見て見て!!この兎さんカワイイよ、ほらほらほら!!」

「ホントだね、そうかウサギってかわいい動物だったね」

「絶対ミルコさんの事思ったよね」

「そりゃね」

 

途中途中、様々な事がありながらもその日一日を楽しく過ごせたことは間違いなかっただろう。そして間もなく日も沈み始めようとする夕暮れ時、二人は海浜公園へと足を踏み入れた。そこは以前まで不法投棄が頻繁にされていた公園だが、誰かがそれらのゴミを全て撤去したお陰で人気のデートスポットへと変貌している。そこへとやってきた二人は海へと沈もうとしている夕日を共に見ていた。

 

「今日は本当に色々遊んだね、えへへへっこのぬいぐるみも有難うね♪」

「喜んでくれたのは良いけどそれでよかったの?」

 

そんな風に利く龍牙の視線の先には葉隠の胸に抱かれているゲームセンターで取ったぬいぐるみ。デフォルメされているドラゴンライダーが、即ち自分の姿があった。以前自分のぬいぐるみ云々の話があったがまさかこんな風になっていようとは……しかもビヨンド・ザ・リュウガではなく、初期のリュウガである。デフォルメされているとはいえ厳つくなっているそれを愛おしそうに抱きしめている美少女の姿は何処かミスマッチな気がする。

 

「うんっ私はこれが良かったの、私と龍牙君のスタートは此処からだった。私はこの龍牙君を怖いなんて思った事なんてなかったから、愛おしいよ」

「……恥ずかしげもなしにそういう事言うのは卑怯だなぁ」

「えへへっ私は龍牙君の前だとちょっとずるくなるだもん♪」

 

顔を反らしながら頬を欠く彼を見つつも益々ご機嫌になった彼女は更にぎゅっと抱きしめる。彼女にとっては龍牙の姿など大した問題ではないが矢張り、この最初の姿は別格の意味を持っている。出会いの始まり、今の自分にとって尊い様々な出来事のオリジン。誰が何というと自分はリュウガ()が大好きなのだと胸を張って言えるだろう。

 

「俺の人生で一番の幸せは透ちゃんとの出会いだな、でなきゃ俺は今の俺を好きになる事も出来なかっただろうさ。カッコいいって言葉で俺は救われたからね」

「私は思った事を言っただけだよ龍牙君、そしてこれからもそれは変わらないよ」

 

その時の笑顔は、夕焼けの光に照らされていた笑顔を生涯忘れる事なんて出来ない程に美しく輝く可憐な物だった。その光景を心に、魂へと刻み込みながら龍牙はそっと彼女を抱き寄せる。

 

「有難う、それ以外に言葉が見つからない程に―――そして月並みな言葉だけど大好きだよ」

「ううんそんなの関係無いよ、龍牙君の思いが籠ってるもん。私も大好きだよ」

 

見つめ合う二人は自然と距離を縮めながらキスをする、それと共に日は沈みきるが直後に黒龍が天へと昇って行く。その背には龍牙と透を乗せながら―――。




ちょ、ちょっとあれかな……でも今の私だとこれが限界なんだ……でもカワイイヤッターと信じている!!
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