僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
間もなく春休みも終わってしまうだろうという頃の事、インターンへと漕ぎ出していこうという時の事。その時、皆が遠征であるという事が起きたのである。皆が偶然だなぁと思いながらも何かあるのではないかという予感を募らせていく中で皆で出発をしようとした時の事だった―――一人だけ、別の場所に向かおうとする龍牙が居たのである。
「あれっ龍牙もインターンだろ?」
「ああ、だが俺は別件で呼ばれてる」
「へぇっまたお師匠さん関連か?」
「いや今回は違う」
以前もあった龍牙だけが呼び出された別件、龍牙の能力や特殊能力を考えると妥当な事だろうと思う中でそれを否定しながらも瞳を鋭く作っていた。よく見れば既に制服へと化けさせているコスチュームを纏っており雰囲気が異なっていた。鋭い瞳を作りながらこれから戦いに挑むかのような空気を纏いながら空を見上げていた。それを感じ取れたのは常闇、爆豪、焦凍、緑谷―――そして葉隠だけだった。
「龍牙、何があるかは知らんが武運を祈る」
「さっさと終わらせろクソ龍牙」
「気を付けてな」
「龍牙君、よくわからないけど頑張って」
「ああ」
労いの言葉を受ける中、龍牙へと葉隠が抱き付いた。背中に腕を回し身体を完全に密着させながら個性を解除して姿を現しながら龍牙へと抱き付いた。
『きゃあっ♪』
『龍牙、テメェッ!!!』
と女子たちからは黄色い声が、一部男子からは嫉妬に塗れた声が漏れるがそれらは何処か神妙な空気を纏いながら抱き付く葉隠とそれを抱き寄せるようにする龍牙のそれに言葉を失った。一体何があるのだろうか、葉隠は分からない。これから彼が何をするのか、だがこうしなければならないと心で感じ取った。だから―――自分に出来る精一杯のエールを送るんだと。
「気を付けて―――龍牙君」
「ああ、行って来る―――透ちゃん」
強く抱きしめ合うと互いの瞳を見つめ合いながら額を合わせると名残惜しそうに身体を離す、直後にドラグブラッカーの背に乗って空へと昇って行く龍牙を見送る。
「透ちゃん、龍牙ちゃんは何をするの?」
「何か知っとるの?ウチら全然何も聞いてへんけど……」
「ううん全然わからないよ、でも……きっと龍牙君にとって大切な事だよ」
この日、行われるインターンは唯のインターンではない。脳無を生み出す事が出来る施設の破壊、いや超常解放戦線の一斉掃討を行うに当たり一般市民の避難誘導などが彼らに任される事になる。この日、秘密裏に活動を行った諜報員が決死の努力によって得た情報によって決められた作戦。蛇腔病院への殴り込みと超常戦線の主戦力に対する一斉攻撃が行われる。
「俺も骨が折った甲斐があったってもんだ、実際折れたしな」
そんな冗談を飛ばしながらも龍牙はある地点へと向かって行く、彼は超常戦線の掃討作戦には参加しない。彼と言う戦力が何故参加しないのか、それは誘いを受けているからである。絶対に受けなければいけない招待を受けている―――故に自分が集めた情報の全てを仲間に、師に、兄に、姉に、悪友に、友人達に託して自分は彼らの作戦に最悪の悪意の邪魔が入らないように全力を尽くすと決意を固めた。
コスチュームが風にたなびく中で見えてきたそこは作戦が行われる地点から約100キロ離れている荒野、荒涼とした景色が唯々広がり続けている場所に彼は何故訪れたのか―――当然、此処が雌雄を決す戦場となるからである。その中心地で葉巻を灯し紫煙を昇らせている人影を見つけるとそこへと降りながら声を出す。
「よぉっ来てやったぜ―――
「やぁっ待っていたよ―――
待ち兼ねたその瞬間となると嬉しそうな声を出しながら葉巻を地面へと落とし踏み潰しながら火を消し、向き直る。腰には既にハザードトリガーが装備済みのドライバーがセットされている。もう戦う準備は既にできているという事だろう。
「今日という日を心待ちにしていたよ、君との戦いは心が躍る。正しく歓喜の歌の中と言っても良いだろう、ああっ僕は無神論者だが神には感謝しよう―――オールマイトという存在を失って尚、君という好敵手に出会えた運命に」
「オールマイトは消えちゃいねぇよ、あの人の心は夢は―――
「フフフフフフッッッ……良いね、その目は本当に彼のそっくりだ」
淀み切った狂気が溢れていく、邪気を纏う筈の男が漏らすのは無邪気な子供のような笑み。だがそんな事は如何でもいいと言わんばかりに龍牙は己のドライバーをセットする。それを見つめながら忘れるところだったよ、と漏らしながらある地点を指差した、そこへと目を向けるとそこには何やら骸のような者が転がっていた。
「あれが僕が用意した一手さ、ヒーロー達の№2が存分に動けるようにするためにね」
「ホークスを……あれは」
「超常解放戦線、開闢行動遊撃連隊「VIOLET」の行動隊長の1人―――荼毘だった者さ、もう息はないけどね」
「ンだと……!?」
そこにあったのは旧敵連合、現超常解放戦線の幹部である荼毘の死体。エビルブラッドによって命を奪われた者の成れの果てだった、指が鳴らされるとそこから青い炎が噴き出した骸を飲み込み火葬を行って行く。燃え上がっていく身体を見つめながらも悪魔は囁く。
「ホークスの弱点、それは炎さ。彼の羽は燃やされたら駄目になってしまうと思われないかい?その為に態々僕が手を打って上げたのさ、存分に感謝してくれよ」
「―――あの人なら炎なんざ屁でもないだろ、例え弱点だとしても速攻で潰す」
「ハハハっそれは正論」
だが確かにそうかもしれないと思う傍らでヴィランとは言え目の前で人一人を自分達の為に殺したと軽々と言ってのける存在に反吐が出る、これから自分も同じ事をしようとするかもしれないのに―――だがそれでも良いと思っている。
「彼には面白い身の上があるんだけどねぇ……聞くかな、きっと心温まるお話だよ。きっと気に入るさ」
「遠慮する、信憑性もねぇしな」
「冷たいねぇ……」
「これからお前の身体も冷たくなるんだ、熱くなった後に徐々にな」
これから自分の行いはヒーローとして逸脱するかもしれない、相手を殺す事になるかもしれない。だがそれでも前に進まなければこの悪魔を葬り去る事なんて出来ないんだと確信し覚悟を固めている。その為に今自分は此処に立っている、たった一人で全ての因縁に決着をつける為に。自分の運命を狂わせた元凶を、自分が育ててしまった悪魔との因縁を、今この場で断ち切る為に。
「―――変身」
顕現した悪意、悪魔の化身が誕生する中で龍牙は胸元から飛び出したドラゴンと共にナックルを構える。
「決着を付けようぜ、エビルブラッド。いやオール・フォー・ワン、あの日負けた時は違って俺達だけでな」
ドラゴンが叫ぶ、ガシェットモードへとなりながらドライバーに収まりながらも大きく展開変形しながらナックルを受け入れる形態へとチェンジする。そしてそこへ戦兎から渡された新たなボトルと今まで自分が使ってきたボトルを装填したナックルをセットする。
回されていくレバー、それと同時に噴き出していく炎。それは地球から溢れ出すマグマのようだった、それらはまるで暴れ狂う龍たちのように龍牙の周囲で唸り声を上げながら今か今かと隔世の時を待ち続けながらも龍牙から飛び出した黒龍の咆哮によって空へ飛び出していく。空を舞い踊る龍らの宴、奏でられるは龍たちの歌、それは黒龍の号令と共に一斉に龍牙へと飛び掛かるかのように迫り続ける。その中で問われる―――覚悟はあるかと。
「出来てるよ―――変身!!!」
現れたのはリュウガでも無ければビヨンド・ザ・リュウガでもない、その遥か上に立つ者。龍を束ねその力を、龍を身体に宿し龍の王として顕現した黒龍王。威風堂々たる立ち振る舞いとその姿は黒き龍でありながら輝きに満ち溢れる王としての姿をしていた。
「行くぞ―――エビルブラッド」
「来るがいい、リュウガ。君の悉くを滅ぼしてあげよう!!」
「行くぞォォォォォォォッッッッ!!!!!!」
―――to be continued…….