僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
新たな力を身に纏いながら雄々しく、猛々しく、そして誇らしげに黒龍は叫んだ。その身に宿す力を開放させながら一気に飛び出していく。対する悪魔はそれを笑いながら迎え撃った。
「さあまずは以前の君を超えられる証明を見せてくれ」
腕が瞬時に肥大化する。『空気を押し出す』+『筋骨発条化』+『瞬発力×4』+『膂力増強×3』。それによって行われる人間空気砲、嘗ては身を抉らんとする程であったが今はどうなる事だろうかと問いに答えを示すかの如く、激咆を飛ばしながらそれへと突撃する。何の躊躇も無く空気の砲弾へと飛び込むと内部から空気がはじけ飛びそこから瞳を爛々と輝かせるリュウガが迫る。
「―――ッ」
「ほうっ」
その際、龍牙の右腕が自らの如く異形化していた。腕の先が変形し巨大な斧のように変じていた、それは一気に振り下ろされる。対するエビルブラッドは即座に新たな個性を発動させる、自らの鎧が漆黒へと染まり防御を試みる―――が瞬時に振り下ろされた斧は眞空の刃を纏いながら硬化したはずの腕をあっさりと両断すると地面へと突き刺さり深々と地割れを引き起こし、周囲の木々を飲み込んだ。
「ドラゴン・トマホークッ!!」
「っ―――!!」
ほんの僅かに揺らいだ感情、それをその場から斧を蹴るようにしながら後退する姿から感じ取る。自分の牙は明確に相手を傷付け危機感を与えた、過去の自分のを超えたと明確な実感を得た瞬間に龍牙は更にそれを加速させる。
「ダイヤ並に硬い筈なんだけどねぇ……」
「貴様にダイヤは似合わん!!スピネルでも嵌めてろ!!」
「言うなっ!!」
腕が無数に分裂、一本一本が蛇の頭を持ちながらそこから雨のように雷を迸らせながら迫りくる。瞬時に龍牙の身体も変貌、肩と腰部から砲塔が付きだすとそこから火球状の黒炎が発射されていき頭を焼き尽くしていく。単純に能力が向上されただけではなくスターク製のコスチュームが龍牙の思考とリンクして即座にそれを反映させていく、その様は正しく同じ存在の戦いと言えるだろう。
「成程……如何やら短期間で随分と仕上げたようだね、その腕や即座展開可能な砲門を見ると恐らくナノマシン……アメリカからの手でも借りたかな」
「さてどうかな……戯言抜かしてる暇があるなら来たらどうだ、さっさと腕を再生させてな」
「フフフフッ……いうねぇ」
切断された腕、そこからオイル混じりの血が流れだしていたが直後に新たな筋線維と共に金属までもが生えていき新たな腕を再構築した。矢張りと言うべきか再生系の個性も完備している、当然だと言わんばかりの
「さて―――ここからが本当の全力だ、君はどうするかね―――?」
「決まってんだろ、俺も全力で行くだけだ―――シャナ、全リミッター解除」
『認証コード入力を』
刹那、時が静止する。止まった時の中で唯一動くのは悪魔と黒龍のみ、悪魔は敵対する黒龍が姿勢を正すように背を伸ばしながら何か只ならぬ雰囲気を纏っている事に気付いた。そしてそれは唐突に訪れた、その背中から2対の翼が現れると張り詰められたワイヤーのように真っ直ぐと伸び切るとゆっくりと重力の鎖から解き放たれたかのように浮き上がった。空に聳える太陽を背に受けながら、その光を一身に受けながら龍牙は天を見上げながら呪文をそっと唱える。
「認証コード入力―――Plus Ultra RYUGA」
『コード認証、全リミッター解除』
全ての制限が一斉に解除されていく中に龍牙の中にあった黄金の光が体内から溢れ出していく、黒龍が手にしていたそれを一気に飲みこみ飲み干すとそれは一気に全身へと浸透していく。生き抜く力、サバイブ。自らの向こう側への力をさらに引き上げてくれようじゃないか――――!!!
「さあ行くぞ―――更に向こう側のその先へ、世界を追い越せ、超越しろ―――ビヨンド・ザ・リュウガァッ!!!!」
瞬間、世界の色は数度失われ変貌した。無色、赤、黒へと変貌した後に再び色を取り戻した。だが戻っていない物もあった、そこにあったのは全く別の領域へと足を踏み入れてしまった龍牙の姿がそこにあった。膨大な黄金の光の嵐の中に身を置きながら瞳を輝かせながら顕現した龍の王がそこにあった。
「その力を―――制御できるとは、驚きだ……」
その時になって初めてエビルブラッドの顔色が曇った。オリジナルが仕込んだ龍牙の成長と進化を加速させた物、それは唯一無二の一点物で自分ですら持ち得ず複製も無い。何故そんな事をオリジナルはしたのかは全くの謎だった、単純な興味本位?それとも黒龍を奪った事への贖罪?何も分からない中でそこに立っている存在は光を突き破って姿と露わにした。
―――剣のように鋭角化しながら伸びた翼はマントのように靡く、黒かったボディは失っていた赤を取り戻し黒と赤、そして金色が混じった神々しさすら感じさせる。胸にはドラグブラッカーの頭が今にも飛び出しそうな程の存在感を放っている。そして―――それらを身に纏う龍牙は唯々真っ直ぐと討つべき敵を見つめながらその手を握りしめる。あれこそが真の最終形態、いやあれもまだ成長の過程にしか過ぎない唯の通過点なのだろうか、唯その力は今の自分と肩を並べる事は確実だろう。間違いなく自分を討ち取る為だけにあれを発動させている。
「いいね、それでこそ本気の出し甲斐があるって物さっ―――!!!」
それに対抗するように、いや対抗する為だけに個性を発動させていく。
「『筋骨発条化』+『瞬発力×6』+『膂力増強×9』+『増殖』+『肥大化』+『体力増強×5』+『性能強化』+『バグストッパー』+『筋力倍化』+『炭素硬化』+『修復』+『重力操作』+『龍騎』+『黒炎』―――!!」
肉体増強、装甲追加、異形化、悍ましい程の個性を発動させていく。一体どこまで高めれば気が済むのかと言わんばかりに力を高め続けていく、それが対抗心なのかそれとも意地なのか……それはエビルブラッドにすら分からなくなっていく。そこにあるのは最早悪魔を越えた何かだった、神ですら屠る事が出来るかもわからない悪魔が顕現したというのに幻想の王は何も臆する事も無くそれを見つめ続けている。
「此処からが―――」
「正真正銘の―――」
「「FINAL ROUND!!!」」