僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
蛇腔病院内、龍牙とヴェノムが調べ上げた霊安室の奥の奥へと進んでいくヒーロー達。作戦は進んでいるが矢張りと言うべきか脳無が出現し妨害を行ってくる。だがそれらを蹴散らしながら最も前へと進んでいくのは新生ラビルド、ビルドとミルコであった。元々幼馴染という事で互いの事は自分の事と同じ位に分かる上に互いの装備もシナジーがあり似ている上に異常なパワーを発揮する。例え相手がハイエンド脳無だとしても負ける事はない。
自在に四肢が伸びその勢いを利用した一撃と兎の跳躍力と瞬間的にダイヤ以上の硬度にまで硬化する戦兎製のコスチュームを纏ったミルコにとってはハイエンドは十二分に対処しきれる敵程度でしかない。だがそれでも時間を取られ先になかなか進む事が出来ない。
「くそっ龍牙のパチモン共が!!腹立つんだクソがぁ!!」
「全くだっ!!くそ早く奥に行くぞ!!」
奥にはあのオール・フォー・ワンと繋がっていたドクター、殻木 球大確保を邪魔されるが如くに起動したハイエンド。この先にいる何かを守るかのような行動、ならばさっさと突破してこの先に踏み込むだけ。そんな時ビルドのモニターにある項目が映し出された、それはリンクされた龍牙のビルドドライバーに関する事―――全てのリミッターが解除された事を意味する警告があった。
「龍牙あいつ……遂に使ったか、おいミルコ!!俺達の弟も踏ん張ってんだ、俺達がのんびりしてる訳には行けねぇよなぁ!!」
「当然だよなぁ!!あいつにはぜってえぇ俺達の結婚式に出席させて惚気まくってやる!!」
「よし一気に突破する!!」
「おうよ!!」
互いは全く同時に跳躍した、そして二人は全く同時にドライバーに手を掛けて必殺技を発動させた。
「「ラビルドォ……フィニィィィィィィィィシュッッッ!!!!」」
一気に跳躍したミルコ、そして足を延ばしまるでスリングショットの如く加速しながら突撃するビルド。その両者はエネルギーを開放させながら一気に飛び込んでいく、それらを拒むかのようにハイエンドたちが大挙して身を盾にして受け止めようと試みる。その中核にはハイエンド脳無・モデル龍騎が居り、最大級の炎を吐き出して迎撃を試みるが―――そんな炎が何だと言わんがばかりに文字通り一蹴しながらハイエンドを纏めて貫通して爆発させるとその奥へと飛び込んでいく。
「ドラゴン……ブラスタァァ!!!」
その一撃こそ、本当の戦いの開幕を告げ自らの勝利の豪咆と成すと言わんばかりの黒龍の叫びと共に胸部の龍が口を開くとそこから螺旋状に唸りながら空気その物を燃やし尽くすばかりの熱線が放射された。
「こう、でいいのかなぁっ!!」
対するエビルブラッド、それは右腕を龍頭にしながら龍牙の何倍もあるかのようなサイズにしながらも紅黒い焔を吐き出した。それは黒炎の熱線と激突しながら互いのエネルギーが飽和したのが大爆発を引き起こす。エビルブラッドはその力に満足していた、今ある最適最強の組み合わせだと断言出来る個性の力。その力の大きさと―――それと拮抗するかのような力を出し尽くす龍牙に。爆発の奥から迫ってくる龍牙に悪魔は重力を無視しながら飛び上がると全身から無数の小さな龍を放出した。
『―――ッ!!!』
「子供騙しをっ!!」
それは自らの意思を宿すかのように飛び回りながらその口から炎を吐き出して龍牙を狙うが、バレルロールを行いながらも全方位に黒炎を放出する。黒炎は小龍たちを一瞬で飲み込んでいきながら燃やし尽くしていく。虚を突かれたかのようにエビルブラッドの動くが一瞬だけ止まった、あれも個性の一部だったのだろうか、だったら単なる戯れだと知れと言わんばかりに胸部から再度熱線が飛ぶ。それを右腕を盾にして防ぐが龍頭が消し飛んだ、だが再生を持つ身からすれば自分の身だと幾らでも盾に出来る。
「ドラグブラッカー、行くぞぉ!!」
『『『『ゴアアアアアアアアァァァァァ!!!!』』』』
その叫びに呼応するかのように龍牙の背中から4体の龍が出現する。長い首を伸ばしながら相手を威嚇するように吠えながらも黒炎を放出してエビルブラッドを狙い定める4つ首の龍。それらは一気に首を伸ばしながらエビルブラッドを捉えんと牙を光らせるが空を切る、だがそれでいい。再度の熱線を放出しながら一気に首を戻しながら加速する。
「どちらが悪魔が分かった物じゃないねぇ!!」
「俺は龍だぁ!!」
再度熱線を防ぎながらも接近するエビルブラッド、その手には光を刃にした剣が握られておりそれに対抗するかのようにドラグブラッカーの首が二つ飛び出すとそれが連結し一本の剣となり龍牙の手に収まるとその一撃を受け止めた。黒炎を物質化した刃、自らの鎧のそれと同じそれを握りしめながら悪魔を迎え撃ちながら激しい剣戟戦へと移行する。
「ダァァァァァッッ!!!!」
「ハァァッ!!」
剣がぶつかる度の火花を散らす、互いの鎧へと刃が触れる度に爆発のような炎が上がる。
「やるねぇ龍牙君!!矢張り君はオリジナルが見込んだけの人間だという事か!!」
「ズェアァ!!!」
込められて行く力は刃と共に増して行く、黒炎の勢いが増せば増す程に剣の力は強まっていく。僅かずつではあるが龍牙のそれは悪魔のそれを押し始めている。
「君は世界を、守る正義の味方か、成程君にこそふさわしいな!!」
「俺は世界なんて興味はない!!俺が興味あるのは―――透ちゃんと生きる世界だけだぁ!!」
渾身の力が悪魔の刃を砕く、そしてそれと同時にその身体へと刃が突き刺さる。エビルブラッドの声が漏れる中、刃は内部から身体を焼いて行く。振り切られた刃は体内で爆ぜながら装甲をえぐり取っていく中そこへ残った黒龍の首が伸びて悪魔の首と腹部へと牙を喰い込ませていく。力の限りの力で牙が食い込んでいきそこからも炎が注入され身体は一気に燃え上がっていく。そしてそこへ剣から戻った二つの首が新たに牙を尖らせた。
「―――正義は悪より生まれ出る、なら俺はお前と言う悪から生まれた最高の正義になってあの子と生きているだけだ」
「―――まさか人生最後で惚気を聞く羽目になるとはね」
「堕ちろ、そして―――眠れ」
その日を持って、本当の意味で龍牙は解放を迎えたのかもしれない。全てを終えた時、彼は力の代償と言わんばかりに倒れこんで動けなくなったが―――安心した表情を浮かべていた。