僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
友からの招待状
店内を照らす控えな照明、薄暗いとも感じさせないギリギリなラインの灯りは店内のそれを際立てながら同じく僅かに耳を刺激するように流れているジャズの音色が心地良い。そんな灯りと音楽の響きにグラスの中を漂う氷の音を鳴らすとそれを見計らうように琥珀色の酒を口へと運ぶ。芳醇で香りも強いそれを口に運びながらも隣に立った男に口角を持ち上げた。
「よぉっ遅かったな」
「ごめん、途中で4件ヴィラン退治してたから」
「相変わらずだな……俺が言えた義理じゃねぇが師匠に似すぎだな」
そこに居たのは現平和の象徴、最高のヒーロー、二代目オールマイトとも呼ばれるヒーロー・デク。緑谷 出久の姿があり、それを待っていたのは同じく平和の守り人にして漆黒の守護龍とも言われるドラゴンライダー・リュウガ、黒鏡 龍牙だった。
「マスター、こいつにも何か見繕ってやってくれ」
「あんまり強すぎないのでお願いします、僕そこまで強くないので」
「畏まりました」
その要望を受けてお酒初心者でも飲みやすいアルコールがかなり弱い酒が差し出される。それを受け取りながら龍牙のグラスと軽くぶつけて音色を作って口へと運んだ。余り酒は得意ではないが友人との飲むからかおいしく感じられるから不思議な感覚だ、心持ちと言う奴を感じながら言葉を掛ける。
「葉隠さんはいいの龍牙君」
「今じゃ黒鏡さんだがな。向こうも今日は女子会らしい、今日は師匠と爺ちゃんが透龍と隠牙の面倒を見てくれてるよ」
「おじいちゃん見てみて~これお父さんがこの前買って来てくれたおじいちゃんのぬいぐるみ~、何時も一緒に寝てるんだよ~」
「そ、そうか……そうか……!!それじゃあ、これも気に入るかな……?」
「わぁぁぁおとうさんのぬいぐるみさんだ~!!おじいちゃんありがとぉ~!!」
「う、うむ、そうか気に入ったかそうか……!!」
「ひいおじいちゃん御本読んで~」
「良いぞ愛しきひ孫よ、ほぅ龍牙を題材としたものか」
「僕ね~これ大好きなの~」
「そうかそうか、ではこの爺の膝に座るが良い」
「わ~い♪」
「冥界の魔物なんて呼ばれるオルカの師匠がデレッデレでよ、すっかり孫煩悩だ」
「それだけ嬉しいかったんじゃないかな、怖がらない所か抱き着いたぐらいなんでしょ?」
「ああ、水族館のシャチがお気に入りなだけあったからな」
雄英の卒業から数年、もう酒が飲める歳になったりしたがヒーロー活動が忙しかったりそれぞれの事情などがあってゆっくり酒を飲んだりする事も出来なかった。こうして会えたのも偶然時間が取れたからだった、だが久しく会う友達が何にも変わってなさそうで安心する出久。
「ンでそっちは如何なんだよ」
「そっちって、何が?」
「惚けんじゃねえよ、麗日とその後は如何なんだよ」
「ブッ!!?」
思わず含んでいた酒を吹き出しそうになるのを堪える。この店は龍牙が祖父から紹介された店なので客の事情には突っ込んだりしない店なので良かったが、現平和の象徴が噴き出すなんて事したらマスコミが大喜びするネタになる。
「べ、別に麗日さんとは別に……!?」
「隠すな隠すな、付き合ってんだろ。サイドキックに置いてたらそりゃそう思うわ」
「い、いや僕はその……」
「はぁっ……こりゃ雄英1-Aの結婚二組はまだ先か」
「逆に龍牙君と葉隠さんが早過ぎるんでしょう!?」
あの日、龍牙と葉隠が交際しているどころか将来を誓い合っているという事を告白したのは大事件だった。その後、雄英では軽い騒ぎになったり自分達も負けてられるかと彼女、彼氏を作ってやると息巻いていた生徒も沢山いた。そして卒業して20になると同時に式を挙げて1-Aの間ではトップの速度だった。
「俺の場合は黒鏡家を背負う立場にもなったからな、色々と早い方が都合よかったんだ。それにお前だって平和の象徴を背負ってんだ、色々迫られる事もあるんだ。さっさと身を固めた方が楽だろ」
「そ、それはそうなんだけどさ……僕も麗日さんもその……如何したらいいのか分からないって言うか……」
「全く……」
グラスに残っていたのを飲み干すと新しいのを頼む。先程まではロックだったがそれは出久が来るまでに出来上がらないようにする為であって本来の飲むペース、ストレート。
「ストレートって……龍牙君強いんだね……龍みたいなモンスターにはお酒で酔わせるっていうのは定番なのに」
「この辺りは爺ちゃんからの血筋かもな」
ストレートでウィスキーをグイグイと飲めてしまう龍牙にある種の憧れを向けるのだが一瞬でそれは冷めた。何故ならば以前にオルカの訓練で薬物系の物があったと聞いたからだ、しかも致死系の毒を解毒剤を直ぐに服用するとはいえ飲むという……きっとその関係なのだろうと察する。
「あっそうだ、龍牙君これ渡すの忘れないうちに渡しとくね」
「んっなんだ結婚式の招待状か」
「わかってて言ってるよねそれ!!?」
「うん言ってるよ」
昔の天然が別のベクトルに向いて質が悪くなってると出久が思う中で受け取ったそれを見てみるとそれは雄英高校1-A同窓会の招待状だった。
「遂に同窓会やるのか、よく予定あったな」
「アハハハッ……主に僕がだけど何とか調整出来たからね、一応緊急時の応援とかも考慮してるけど」
「それもあるが勝己とかが良く参加する気になったな」
「頑張って説得したから」
中には既に参加者の名簿が一緒に同封されていた。自分と葉隠以外の全員が参加する運びとなっている、恐らく今日の女子会もこれを渡すのが名目なのだろう。
「……まあ分かった、透龍と隠牙にはちょっとまた寂しい思いさせちゃうかもしれねぇが寧ろお爺ちゃん達と居られて嬉しがるかもしれないからな」
「ごめんね急で」
「気にしないさ、迷惑を掛け続けた身としてはこの位は何でもない」
そう言いながらウィスキーを一気に飲み干してもう一杯と行こうとしたら電話が鳴り響いた。席を立ってそれを取ると……直ぐに龍牙は財布を出して数万を出した。
「悪いな出久、ヘルプが来ちまった」
「えっじゃあ僕も手伝うよ!?」
「いや神使の家の案件だ、白鳥が手間取る相手でな。マスター騒がせた。迷惑代と出久の分だ」
「いえまたのお越しをお待ちしております」
そう言ってコートを羽織り直すと店から飛び出していく龍牙を見送ると出久は一人になり残っていた酒を飲む。矢張り彼は自分達の何歩も先を行っているんだと自覚させられる。
「神使の分家ってやっぱり大変なんだな龍牙君……せめて同窓会を楽しんでくれるといいんだけど……マスターさん、御馳走様でした」
「いえどうぞまたお越しください。平和の象徴・デク様。今度は奥方様も是非……」
「ま、まだそこまで進んでませんってば!!」
お久しぶりです、アルト姫です!!
ビヨンド・ザ・リュウガの後日談、此処から始めていきます!
恐らくここに龍牙と葉隠さんの結婚式編も此処にいれると思います。皆さんが見たいと思う奴も此処にいれたいと思います。