僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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ヴィランパート:闇の邪悪龍編 その3

「ふぅん……速いな、流石は平和の象徴ってか」

「だけど思ったほどではないですね」

「ああ、如何やら本当らしいな―――弱ってる話は」

 

絶望を希望に変え挫き悪を討つ正義のヒーロー、平和の象徴、№1ヒーロー、オールマイト。それがUSJへと現れた。瞬く間にイレイザーヘッド、ヒーロー科1-A担任の相澤を救い出すと同時に龍牙が迫っていた三人の生徒をも救い出し自らの大きな身体で隠すようにしながら襲撃を掛けた弔たちを睨みつけていた。その最中にイレイザーヘッドや生徒らを逃がしていくがそれを見送るヴィランにオールマイトは言葉を叩きつけた。

 

「彼らを逃がす時間をくれるとは―――随分優しいじゃないか」

「優しいんじゃない、もう用がないだけさ平和の象徴様。俺達の標的は最初っからアンタなんだからな」

「私をか、大きな口を叩くじゃないか」

 

常に浮かべる笑みは恐怖に脅える人々に安心を、悪事を働くヴィランには恐怖を与える両側面。唯の笑う男ならばよかったがその男の行動が与えるのは絶対的な安心感とそれによる平和。それを成し得るだけの力を持ち得る絶対的なヒーロー、それに対して龍牙は首を鳴らしながら脳無と共に並び立った。

 

「黒い龍とは中々な強面だな、だがその程度で私が怯むと思ったら大間違いだぞ」

「―――ははっ」

 

聞いたか、聞いたぞ、聞いたな。俺の見た目はオールマイト公認の恐ろしさなんだ、そうかそうなんだだからあれらの反応は正しいのかならば完全に関係を絶った上で捨てるという行為も黙認されるのかそうかそうか仕方がないのかそうかそうかそうかそうかそうか―――。

 

突如として龍牙は口角を歪めながら閉ざされていた口部(クラッシャー)を大きく開きながら狂気に染まり切った高い高い笑い声を上げ始めた。狂ったようでありながら何処か悲しさに染まっているようで寂しさに染まっている、そんな叫びがUSJ中に木霊していく。慟哭に満ちた叫びに流石のオールマイトも驚いた、まるで目の前にいる凶悪なヴィランが―――助けを求めている幼い少年に見えた。

 

「あ~……こうなっちまったか、やっぱりあいつのトラウマが根が深いなぁ……しょうがねぇとは思うけどよ、トガ」

「はいはい分かってます、リュウ君には私がいる。私という存在が傍に居る、だから気にしなくていい、狂気に染まったままでも私は貴方を愛しますから―――だから私とあなたは一心同体なんですから」

 

突然の絶叫に弔はこれも必要経費かと思いつつもトガに委ねられていた役目をするように促す、そのままトガは愛する龍牙へと接近するとそのまま口づけを交わした。唐突なラブシーンの開始に顎が外れそうになるオールマイトだが目の前では狂気に染まっていた龍牙のオーラが徐々に収まりを見せて行き、僅かな沈黙ののちに彼女の頭を撫でる龍牙の姿がそこにあった。

 

「……悪いトガちゃん、分かってたつもりなんだけど染まっちまった。くそ胸糞が悪い、何時まであれに縛られたらいいんだろうな」

「大丈夫ですリュウ君、私がいる限りリュウ君が独りぼっちで苦しむ事なんてありえませんから。だって私達は―――」

「「一心同体、だから」」

 

重なった言葉にトガは満足気な笑みを浮かべると弔の近くへと下がった、直後に入れ替わりのように黒龍が龍牙の周囲でとぐろを巻き始めた。彼を守るようにしながらもそれは溶けるかのように龍牙へと一体化しながら更なる高みへと導いていき、龍牙は更なる力を発揮する形態へと移行する。

 

「オールマイト、アンタに恨みはない―――だが俺の目的を果たす為の礎になって貰う」

「君は……いや少年は何者なんだ、君は本来ヴィランに成り得る存在ではないと今私の直感が感知した。何が君を悪へと導いた!?」

「英雄によって虚無へと叩き落とされた、だが俺は導かれたんじゃない、誘われたんだ」

 

脳無と並び立つ更に巨大化した悪意と敵意を纏いながら更に黒炎が唸りを上げながら全身から溢れ出していく。それらを纏う邪悪龍、それとタッグを組むかのように脳無は共にオールマイトへと駆けだしていきながら襲い掛かった。

 

「SHIT!!止むを得ん、来いヴィラン共!!」

 

 

 

「ぁぁっ~……強かった」

「リュウ君ボロボロです」

 

USJにて行われたオールマイトとの激突、オールマイトの攻撃を受け切る事が出来る改人脳無と攻撃を担当する龍牙。それらのタッグはUSJの一角を完全に崩壊させてしまうほどの超激戦、その末に勝利したのは平和の象徴たるオールマイトであった。ショック吸収と超再生、オールマイトの攻撃を受け切るには最適な個性を持つ脳無をも捻じ伏せるほどの力をオールマイトは発揮して龍牙共々圧倒したのである。

 

戦いは途中現れた教員のプロヒーローの応援が現れた事によって撤退を弔が選択したので着く事は無かったが、最終的な総評はオールマイトの勝利と言わざるを得ない。龍牙も深手を折ってしまい無事に撤退出来たのは素直に幸運だった。

 

『ご苦労だったな龍牙、暫くは療養しといてくれて構わない。こっちは色々と課題が出来たからな』

「んじゃ遠慮なくそうさせて貰うわ、こっちはもうボロボロだ」

「リュウ君、弔君と話すのは良いけどちゃんと手当させてくださいよぉ」

「分かってるって、んじゃ弔これで」

 

連絡を終わりにすると頬を膨らませていたトガに向き合って素直に治療を受ける事にした。防御は脳無が請け負っていたとはいえ終盤はその脳無でも防御が間に合わずに多くの攻撃を身に受ける事になってしまった。だが同時にそれで分かる事もあった、矢張りオールマイトは衰えている。脳無だけでは解りづらかっただろうが龍牙自身が攻撃を受けた事でそれを理解した。

 

仮にもう一度戦うとしてもより万全な布陣と作戦を立案した上で挑めば倒せる可能性は十二分とあると断言出来るほどには衰えている。その準備も凄まじい時間が掛かるだろうが倒せるレベルではある。倒せないと倒せないでは大きな違いが存在する、それをハッキリさせられただけでも大収穫だと弔も満足気に龍牙を称賛しゆっくり養生してくれと言葉を残したのである。

 

「リュウ君、何か引っかかってるんですか?」

「……まあな」

 

そんな龍牙には引っかかっている事があった、オールマイトの言葉にあった自分がヴィランに成り得る存在ではないというもの。自分はヴィランにしかなり得ない、そんな確信が龍牙の中には存在していた。だがオールマイトはそれを否定するような言葉を掛けてきた、それに揺らぐつもりなどはないが仮にヒーローの側に立っていたとしたらどんな風になっていたのだろうかと僅かながらに疑問に思ったに過ぎなかった。そんな思考をシャットダウンさせると手当をしてくれていたトガが頬を赤くしながら興奮するような自分を抑えるような息をしているのに気付いた。その視線は手当された部分である事に気付き察した。

 

「ははぁん……トガちゃん、俺の血欲しいんだろ」

「ほ、欲しいです……で、でもリュウ君の迷惑になっちゃう……」

 

彼女の個性、本人の都合で血液という物は重要な物。それが思い人の物ならばそれはさらに加速していく、だが彼女とてそれを優先させるほど愚かではなく、重傷を負っている彼に無理をさせるなんて事はさせない。そんな姿を見て龍牙は先程の思考を投げ捨てた。仮にヒーローになっていたら彼女と出会えなかった、その一点だけであり得ない。絶対的にあり得ない。

 

「それなら―――実は口の中も切っちゃってるみたいなんだよね、それで我慢出来るかトガちゃん」

「ッ―――リュウ君、大好きです♡」

 

あり得ない、愛する彼女と共に居られないならば自分は喜んで悪の闇に沈もう。それこそが自分にとっての幸福。これこそが―――自分の生きる道だ、そして彼女と共に目的を果たすのが自分の夢なのだから。




ある意味此方の方が龍牙の素の部分が全面的に出てる感じですかね、ある種本編の龍牙は根津やギャングオルカに教育と矯正をされているみたいな感じですから。

そして……こっちの場合、本編のビヨンド・ザ・リュウガに既に近い実力を備えています。まあオール・フォー・ワンが居て根津やオルカに変わって指導してますからね。因みにトガちゃんも強化されてて彼女一人でもフッつうに強い上にいざという時は龍牙の血を使って龍牙に変身して戦いますからマジヤバでちゃけパねぇ事になってます。

っという訳で番外編、もしも龍牙がヴィランだったら?でした。
活動報告にて番外編の募集をしてますのでお時間があれば覗いてみてください。
↓こちらから飛べますのでご利用ください。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=239485&uid=11127
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