僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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全てはある日突然に。


龍牙の異世界探訪記:パート1

余りにも唐突にそれは現れた事だった、インターン中の最中に龍牙はヴィランが炎系の個性で相性が最悪なので圧倒されたヴェノムに強制的に一体化をさせられた。久々の一体化に龍牙は溜息を吐きながらも己の鎧で炎が完全無効化されている事に自分を嬲っていたヴィランが劣勢に追い込まれている事に大笑いするヴェノムを諫めつつ、最後の一撃を加えた直後であった。増援のヴィランに不思議な光を浴びせ掛けられた、その光を掛けたヴィランはリューキュウが即座に捕縛したので問題は起きなかった―――筈だった。

 

「力が、入らな……」

 

龍牙の全身から力が抜けた、目も眩み思考が出来なくなった。倒れ伏した感覚の直後に意識はすぐさまに覚醒した。それはヴェノムも同じなのが叱責を食らいながら立て直すとそこには―――なんと戦闘態勢を取っているマッスルフォームのオールマイト、雄英の教師の方々が此方を見つめていたのである。

 

「え、ええっまって何これ夢のなの。何でオールマイトマッスルフォームを……!?」

「な、何故その名前を、マッスルフォームの事を知っているんだ君は!?」

『おいおいなんか面倒な事になってねぇかこれ……』

 

ヴェノムの言葉通り、非常に面倒な事になっていた。

 

 

「……俄かには信じられんがこの仮免許も日付こそ未来だが間違いなく本物だな、この生徒証もな」

「でもあり得るのか、この子が雄英(ウチ)の生徒で全く別の世界から着ているというのは……」

 

雄英の応接室、龍牙的に既に慣れた場ではあるがそこでは自分はソファに拘束具付きで座らせている。今の自分の状況は雄英への不法侵入者という事になっている、ならばその扱いには納得しなければいけない……何故ならばこの世界は明らかに自分がいる世界ではない。言うなれば平行世界なのだから。目の前では相澤とブラドキングが提出した身分証明になる物の見分を行っている。そんな時に応接室の扉が開きそこから影が入ってくる、それを見た時思わず龍牙は腰を浮かしてしまった。それに相澤とブラドキングが武器を向けそうになるが龍牙の表情を見ていた影、ミッドナイトとオールマイト(マッスルフォーム)を伴った根津は手でそれを止める。

 

「やぁっ君が異世界からの来訪者の黒鏡君だね!知ってるかもしれないけど雄英の校長さっ!!」

 

聞きなれた言葉に全く同じ声色、それが彼の心を癒す傍らで黒鏡君という他人行儀な呼び方が龍牙を沈ませる。頷きながら座り直す、二人は龍牙の変貌に驚きつつも再度警戒に移る。この世界は違うんだと改めて思い知らされる。

 

「調べさせてもらったけど間違いなくその仮免許証も生徒証も確実に正式発効された物と同じ、つまり本物って事だね。君はどうやってこれを手に入れたのかは聞くまでもないだろうね、元の世界で正当な手続きを踏んで入手しただろう」

「……ええ。そうです」

「ねえ貴方、如何したのそんなに落ち込んじゃって」

 

あからさまなまでに気落ちしている龍牙へとミッドナイトが声を掛ける、だがそれが余計に心を沈ませる。大好きな姉までもが全く違う人間だと思い知らされる、これがヴィランが作り出した虚像の世界だとしても自分にとってこの世界は何処までも残酷で厳しい世界だ。

 

「―――俺にとっては此処は過去でもあり別の世界でもある、それだけです。誰も俺を知らなくて孤独な世界、虚無と変わらねぇな……」

 

自傷するかのように呟いた言葉に根津は何かを察した、もしかしたら自分やミッドナイトは彼にとって非常に親しく家族のような暖かな関係にあったのではと。だとしたらその言葉は確かに彼にとっての今の現状を的確に表す言葉だと理解した上でどれだけ今が辛いのかを理解するには十分過ぎる材料となった。そこから根津たちは龍牙の事を少しずつ、聞いていく。彼がどんな世界で生きてきたのか、そして―――彼にとって根津とミッドナイトがどんな人なのかも。

 

「成程……知らなかったとはいえ僕は息子に酷い事を言ってしまったんだね、ごめんね龍牙」

「そう呼んで貰えるだけで大分救われます……まあ師匠は無理でしょうが」

「うぅぅぅぅっっ……私は、私はこんなにいい弟を傷付けちゃうなんてぇぇ……」

「ミ、ミッドナイトハンカチ使うかい?」

 

龍牙が話してきた人生の旅路、それを聞いた彼らは彼に同情を、尊敬を、様々な感情を向けた。それはオールマイトも同じくだった、彼の言葉を疑う物などこの場にはいない。何故ならばオールマイトの真実や彼の個性に関する事も……その部分は上手く暈かして後継者を探し、検討を付け育てようとしているとしてくれた。

 

『んでこれから龍牙は如何なんだ』

 

話が進まないのでそうヴェノムが尋ねると身柄については雄英、根津自身が保証してくれる事になり取り合えず何とかなる事にはなった。

 

「黒鏡、お前はA組の所属だって言ってたな」

「はい相澤先生、個性把握テストを初日にやりましたよ」

「……お前の事は疑っていない、それで校長こいつの事ですが―――俺のクラスの副担任って事にしてくれませんか」

「ほう、それは面白そうだね」

 

龍牙から齎された様々な情報、それは異世界での事ではあるがこの世界でも適応される可能性は極めて高い。神野での事件やUSJ襲撃、それらを基に根津は対策を立てるつもりではいるが完璧に適応されるとは限らずズレる事も考えられる。その為の対策に龍牙にも協力して欲しい、との事。幸いな事に仮免許もありギャングオルカの弟子という事も実力は十二分にあると思われる。

 

「よし龍牙、君は今日からこの雄英の新しい教員だ。頑張ろうね」

「……はいぃっ!?」

『あ~まさか過ぎるだろこの展開』




まさかの原作編、唯そこでバトルのも芸がないので教員としての参加。
ちょっと長めに続くかも、不定期でやっていきます。


活動報告にて番外編の募集をしてますのでお時間があれば覗いてみてください。
↓こちらから飛べますのでご利用ください。


https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=239485&uid=11127

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