僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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番外編、恐らく絡みが少なかった八百万 百ルート。

今回も、初期に葉隠さんが怖がりに話しかけなかった場合というIFになっております。なのでかなり異なっている所があるのでご了承ください。


創造されるは龍と八百万の物語

「いけませんわ、少々集中しすぎてしまいました……でもお陰で良い事も沢山知れましたわ」

 

その日、八百万 百は少々遅れながら家路へと着こうとしていた。クラスの副委員長として就任したのもそうだが、今の雄英の施設で自分の個性をどれだけ試せるのかを知る為に先生から貰った資料を読み込んでいたら日が落ち始めてしまっていた。が、結果として自分の目的を多く知る事が出来たのでリターンも多かったと満足気に家路につこうとしている時の事だった。日も落ち始めており、闇が周囲に広がり始めようとしている中の個性訓練の為のグラウンドがライトで照らされている。

 

「まだ入学から三日ですのに……」

 

とても勤勉で真面目な人がいるんだなと思いつつもどんな生徒でどんな個性を持っているのか、と思い少しだけ寄り道をしてみる事にする。天下の雄英だけあって校内敷地は十分な照明で明るい、明かりに照らされた道を行く先を更に強く照らされている大型の照明のライトで照らされている先を見つめるが―――そこは周囲を黒い炎に包まれた黒い龍が演武を取り行っていた。

 

「あれは―――確か、クラスメイトの黒鏡さん」

 

百の脳裏にはその姿は色濃く残っていた。紛いなりにも彼女はこの雄英に推薦入学を行えている優等生、加えて個性は創造、汎用性と万能性、応用力において誰にも負けない程の力を持っている。初日の個性把握テストでもそれらを存分に活用した、だがそんな彼女は個性把握テストでの順位は2位、そんな自分を抑えつけるように上を取ったのが黒龍の戦士である龍牙であった。

 

部分の成績では自分の方が優れてこそいるが、全体的なアベレージでは劣っている。特に体力的な面では完全な敗北を喫する程の能力を秘めている彼をなんだかんだで負けず嫌いな百は内心で次は負けない、と思っていた。そんな彼の姿を見て、百は直ぐに龍牙の強さは長い時間をかけて積み重ね続けてきた努力のという研磨を重ね続けた結果なのだと理解する。

 

「凄い……」

 

そんな龍牙の演武、というには何処か自らの限界を伸ばす為に自らを苛め抜くかのような動きに百は気付けば目を奪われていた。そして是非とも話してみたい、話した事が無く龍牙がどんな人物なのかは全く分かっていない。出来る事ならば話を聞いてみたいという思いからかそちらへと足を進めた。

 

「だああああぁぁぁぁっっ!!」

 

準備した標的、巨大なブロックのようなそれに向けて黒炎を放射する。黒炎はそれを飲みこむと一瞬のうちに燃やし尽くしてしまう。黒炎を吐き切ると思わず膝を付いてしまう、全力全開の最大出力の放射は鉄をも焼き尽すほどの超高温。しかしその為に身体には大きな負担がかかり、既に何度も使用している為かもう身体が悲鳴を上げていた。師がこの場にいるならば更なる叱咤激励(実際は唯の怒声)が待っている事だろうが、今日は無理を言ってこのグラウンドを使わせて貰っている。軽く限界が来たらやめておけといわれているのでこの位にしておこうと思い、片付けロボのスイッチを入れて片づけを始めて貰いながら個性を解くと後ろからスポーツドリンクが差し出された。

 

「お疲れ様です、そこで買った物ですが宜しければお飲みください」

「ど、どうも……」

 

いきなり現れてドリンクを差し出してきた百に対して龍牙は完全に驚いてしまっていた、目を白黒させながらぎこちなく受け取るが戸惑っていたので、百が微笑みながら飲んでくださいと改めて言われるまで持ったままだった。そして漸く口にして喉が潤った所で何か用かと尋ねてみる事にした。

 

「此方のグラウンドのライトが目に入りまして、それで黒鏡さんが訓練をなされておりました。勝手に見学してしまった事は申し訳ございません、素晴らしいものでしたので……」

「あっいえ、そんな……俺は全く気にしてませんから……その、お目汚しになってなければいいんですけど」

 

龍牙は自分の喋り方に完全に合わせるようにペーシングを行って丁寧な対応を行う、そんな彼に少し好感を覚えながらも龍牙の後ろ向きな言葉を即座に否定する。

 

「汚しなんてとんでもございませんわ!!とても力強くて素晴らしく、見ていて胸が躍るような感覚でした」

「……そう言って頂けると素直に嬉しいです、有難う御座います」

「先程の物は全て我流なのですか?」

「いえ、私には師が居まして。全て厳しい実戦形式で指導されて身に着けた物です」

「まぁっお師匠様が!あのような事が出来るまでにご指導をして頂けるなんてとっても素晴らしい方なのですね」

 

百のそんな言葉に龍牙は心からの嬉しさを覚えた、自分だけではなく師である父を素晴らしいと言って貰えた。それが堪らなくなり笑顔で自分にとって世界最高の師だと断言すると、百は微笑みながら一度会ってみたいと答える。

 

「あの黒鏡さん、実はいきなりこのようなお願いをするのは不躾かと思うのですが……このような機会があるのでしたら私もご一緒させていただく事は出来ないでしょうか」

「八百万さんも一緒に、ですか」

「はい。私も嗜み程度ですが武道を学んだ事があるのですが、それらを実戦形式で個性を交えての物は余り経験が無いのです」

 

所謂総合格闘術という物は学んだ事があるが、あくまでそれら単体が主でそれらに自らの創造の個性を組み合わせたものは経験的には少ない。それらに個性で作った物を合わせる事があるが、個性を組み合わせる事を前提にした事は初めての試み。そう思い立ったのも龍牙が自らの個性の良い所を完璧に引き出しているから自らも出来るだろうかと思った。

 

「それにしてもそれをよく今私に言いましたね」

「万里一空、ですわ」

「ヒーローを目指す上で有益なチャンスは見逃さない、と?」

「その通りです」

「面白い方だ、俺などで宜しければお相手させて頂きましょう」

 

その日から、龍牙と百は共に訓練を行うようになった。雄英での訓練が思わぬ事を生み、龍牙はこの事を師であるギャングオルカと校長に話すと心から喜ばれた。初日から孤立したようになってしまったからか二人は酷く心配していたのだが、全く怖がらずに接してくれたという点も龍牙の事を考えると本当に良いお相手だと。そしてオルカはその時間を大切にすべきだと自分との訓練の時間を見直した結果、百との訓練時間が増えた。

 

「ですので私の個性の強みは相手の出方に合わせ、即座に対応出来ることだと思うのです」

「それは確かに唯一無二かもしれないけど、それはそれで後手後手に回るという事と同義。相手に合わせるだけではダメです」

「ではどのように……?」

 

既に膨大な戦闘経験を積んでいる龍牙は百の戦闘スタイルなどを聞きながら、どのような戦い方を組み立てるべきかという話にも積極的に意見を出していく。幅広い対応能力こそ最大の強みと語る彼女とは違い、龍牙的にはハッキリ言って百は相手にはしたくない相手でしかないと答える。

 

「例えば俺に対して剣などで出して戦っている時に、不意に槍を出してスタイルを変えていく。そして相手が戸惑っている間に次々に新しい物を生み出して相手を困惑させるという事を俺なら真っ先に警戒します」

「つまり、私の最大の強みは手札の多さという事ですね!」

「俺はそう思いますね。手札を敢えて消費して相手の戦法を読み解いて、そこから相手の苦手とする者を選択するだけで苦しくなりますから」

「成程!!では常に考えるのではなく、既に考えてあるものから選択していくのですね。成程、それならば精神的な動揺で揺さぶられる事も少なくなる……」

 

この辺りはギャングオルカの殺意混じりの訓練を経験している龍牙だからこそ即座に気付いた事もかもしれない。精神的な動揺は思考力を一気に食い潰していく、恐怖などで精神が蝕まれると考えられる事が一気に考えられなくなる。常に考え続けることも大切ではあるが既に考えをある程度纏めておくことも重要になってくる。

 

「くっあそこから切り返しを行えるのですか!?ここは矢張り一旦引いてから、いえ逆に距離を詰めてからです!」

 

常に考えて相手に合わせることが主だった百、しかし龍牙の言葉もあってから最初から無数に作ってあったから手札から戦略を組み立てていくようになっていった。単体ではなく複数の手札を組み合わせた物も率先して使うようになり、そして咄嗟の創造の活用も格段に上手くなっていく。

 

「さ、さっきの一撃は驚いた……」

「フフフッ驚いてくれました?」

「躱したと思ったら鎖付きの重りが出てきて脇腹を捉える、正直これはきつい」

 

元々あった対応力にトリッキーさが加わって相手をする身としては非常に辛くなっていく百、時には龍牙を完全に翻弄して手玉に取る事すらあった。そんな百との訓練は浮いてしまっている龍牙にとって大きな救いとなった。だが有難いと思いつつも、自分といる事で周囲から何か思われていないかと不安に思う事もあり、彼女に思い切って自分は怖くないだろうかと尋ねれるのだが……彼女はキョトンとしながら首を傾げた。

 

「龍牙さんが怖い、ですか。いえ全く、個性把握テストでは迫力に圧倒はされましたが怖いとは全く思いませんでした、寧ろ負けたくないなという物の方が強かったですわ」

 

当たり前の事ではないか、と語る彼女に呆気を取られていると百は笑顔を浮かべながら自分の手を取って言うのである。

 

「それに―――私と龍牙さんの関係を周りがとやかく言うなんて可笑しいですわ。私は龍牙さんをとても好いております、そんな殿方に対して私が怖いなんて思うわけありませんわ」

「八百万さん……」

「もう、百で宜しいと言っておりますのに……これからは百でよろしくお願いしますね」

「気を付けますよ、百さん」

 

そんな彼女の言葉もあって龍牙はとても救われた。そして気付けば二人は共に居る事が当たり前になっていく、共に勉強する、食事をする、共に訓練する、帰宅するのが当たり前になる。

 

「百、次はあれだったよね」

「あれですね、用意しておきます」

「んじゃこっちで用意するのは……うん分かった」

『凄い通じ合ってる!?』

 

周囲から見ればその光景は、カップルを通り越して完全に夫婦のそれだったという。

 

「行こうか」

「はい♪」

 

手を繋いで歩く二人、とても仲睦まじく割って入る事こそが憚れるような絵になっている光景を生み出す二人。これから二人はどんな未来を作るのか、それはきっと明るいものなのは間違いないだろう。




―――という訳でヤオモモルート、いかがでしたでしょうか。

友達、というよりも訓練仲間から絆を深める的な感じですかね。いろいろ考えた結果、ヤオモモはご令嬢なので様々な個性についてに教育とかを受けているので怖がるという事はあまりなくそれの個性の特性として捉えるのではないかと思いました。

なんかお嬢様が最終的にこう、幼馴染的になっていって仲良くするって最高だよね。好きだヤオモモ。
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