僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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仲間を組む黒龍

第一種目である障害物競走、それを第2位で突破した龍牙。今日まで彼も師匠に扱いて貰い力を付けたつもりだったのだがそれでもまだまだ不十分いや、力は十分に付けている。新しい技術に技も身に着けている、それらよりも自分の上に立ったあの少年の方が上手だっただけ。

 

「緑谷、お前の機転には驚かされる。改めて感服する」

「そ、そんな事ないってば龍牙君!僕は僕に出来る事を精いっぱいやっただけだって!!」

「その成果がお前の1位通過だ、胸を張れ。でないと俺も胸を張れんよ」

 

とまだ何処かおろおろしている彼の背中を叩くように応援を送るが龍牙としてもこれは敗北の味。だがそこに屈辱の雑味はない、あるのは清々しい心地よさの敗北感。これは師に一矢報いる事が出来た後の敗北の後によく似ている。ならばそれを糧にして自分はどんどん成長するとしよう。自分はまだまだ弱く、脆いのだから。

 

『さあこの調子でどんどん行くわよ!次の競技は協力が光る競技、それは―――騎馬戦よ!!』

 

個人競技ばかりだと思っていた彼らには驚きだった。そしてどのようなルールなのかと疑問が募る中、メインモニターに開設が流された。オールマイトが先生達の騎馬に乗っている画面でインパクトがやばかったがルールを箇条書きにすると以下のようになる。

 

・人数は二人から四人でチームの騎馬を作る。

・ルールは基本的に通常と同じ騎馬戦。

・順位によってPがあり、騎手は騎馬を含めた合計のPのハチマキを首から上に巻く。

・ハチマキを奪われる。騎馬を崩される。そのどちらになっても失格にはならない。

・個性の使用は当然のごとく可能、攻撃も可。

・悪質な崩しは一発退場。

・制限時間は15分。

 

それらを聞いて龍牙は誰と組むかも大切だがポイントやらがどのぐらいなのかが気になる所だった。先程の障害物競走での順位がポイントの基準になるとすれば自分にはかなりの高ポイントが設定されるのではないかとも思う。となると矢張り誰と組むかが鬼門となってくる。そんな思考をしている龍牙のリクエストに応えるがごとく、ミッドナイトがポイントを発表する。矢張り順位が肝になるらしい、そして―――第1位の緑谷のポイントは……

 

『2位は205ポイントだけど、ここからが肝よ!!何事にも一発大逆転はある物、そう、1位のポイントは1000万ポイント!!!』

「うわっ」

 

一瞬にて周囲の目が緑谷へと集中した。1000万ポイント、それさえ取れば勝ちも同然のような法外な設定。エンターテインメントとしては一発逆転が公式から準備された方が盛り上がるのも確かだろうが……これはこれで緑谷が酷く不憫に思えてきた。彼の緊張は尋常じゃないだろう。殺気が凄い事になっている。

 

『それじゃあここから15分、作戦タイム&チームの編成タイムよ!!』

 

龍牙の取った行動は酷くシンプルだった、一斉に周囲から人が居なくなり本気で焦っている緑谷へと近づいていく。そして彼の肩へと優しく手を伸ばし手を置く。震えている事が分かり益々不憫になってくる。

 

「りゅ、龍牙君……」

「お前さえよければ俺と組まんか」

 

弱まったメンタル、周囲からの殺意による緊張で震えていた緑谷。そんな彼には優しい声色と頼りになる手を差し伸べてくれた龍牙は最早天の使いのように思えてしまった。しかも自発的にチームを組んでくれると言ってくれている。これほどまでに嬉しい言葉なんてない……。

 

「り"ゅ"う"が"ぐ"ん"!!」

「ひと先ず落ち着こうか、号泣で顔面が崩壊してる」

「デク君!!ウチと組もうよ~!!」

「麗日さん……!!」

「み、緑谷顔が何か凄い事に!?」

 

麗日も緑谷にチームを組もうと笑顔で誘いをかけてくれた。理由は仲が良い人と組んだ方が良いから!という事らしい、確かに意思の疎通もあるだろうから良い線をいっている。

 

「まあこれで三人、出来ればあと一人居ることが望ましいな」

「うん。デク君あんまり重くないから二人でも支えられるけど、出来ればもう一人欲しいもんね」

「いやそうじゃないんだけど……まあいいか、緑谷誰に声をかける?」

 

総合的に個性を見れば、重量などを軽くして機動力の確保が出来る麗日。部分出現にて攻撃にも防御にも移動にも活用できる汎用的な強みを持つ龍牙と中々な面々が揃っている。となると選択すべきは防御面、それに適した個性を持っている人物を自分は知っている。緑谷は迷うことなく彼の元へと歩みを進めて言葉を掛けた。

 

「あの常闇君!!僕たちのチームに入ってくれないかな!?」

 

緑谷が選んだのは常闇だった。声をかけられた常闇は落ち着き払った雰囲気を纏まった静かにこちらを一瞥すると静かに良いだろうと答える。

 

「この戦いは例えどれと組もうが修羅の道であるのは違いなし、であるならば強い者と手を組み成果という花を華々しく咲かせるのみだ」

「宜しくね常闇君!!」

「闇炎龍と共に戦える、光栄だな」

「此方も宜しく頼むぞ常闇」




次回、騎馬戦本番。

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