僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「すいません校長……あれだけ優勝するって息巻いて置いて準優勝なんて……」
「いやいや立派なもんさ。常闇君にエンデヴァーの息子、その二人とあれだけやっておいて準優勝は立派なものだよ。親としては本当に誇らしいよ」
トーナメントは宣誓で優勝宣言をした爆豪がその宣言通りに優勝を決めた。そしてのその表彰の場面で爆豪はオールマイトからメダルを受け取りながら2位の龍牙に向かって布告した。
『おい、今日の奴じゃ俺は満足してねぇからな。疲労とダメージが溜まってるてめぇに勝ったところで俺の完璧な勝利じゃねぇ、何時か完璧に叩きのめしてやる……!!』
『上等だ、何時でも来やがれってんだ』
という宣戦布告に会場は更なる熱気に包まれた。爆豪がそんな事を言うのも驚きだが、龍牙を完璧にライバル視しているのも驚きだった。肝心の龍牙は今日一日で競い合えるライバルだけではなく自分の力になってくれると宣言してくれた友が出来た事を非常に嬉しく思っている。
「ライバルが出来てよかったね龍牙。常闇君と爆豪君、後轟君もそうかな?」
「轟は多分、友達ですかね……?なんか困った事があったら直ぐに言えって言われました。友達ってそんな感じでしたっけ?」
「そうだと思うよ」
根津は嬉しそうな顔をする龍牙を見つめながらも少しだけ申し訳なさに駆られていていた。施設から彼を引き取って家族として迎えてから基本的に龍牙は家に留まっている事が多かった。自宅学習で学校には通わせていなかった、それでも教職にある身であるので勉強などは確り教えていた。が、過去の出来事からか龍牙は友達を作らなかたし家に誰かを連れて来なかった。故に友達とどう接するべきか迷う面が見られる。
「じつはクラスメイトの葉隠さんと今度一緒に出掛ける事になってるんですけど……女の子って何処に行けば喜ぶんですかね?」
「う~ん……その辺りはまた今度一緒に考えよう、折角だからミッドナイトにも相談してみよう」
「あっそっか女の人に聞けばいいのか、ばっちゃんにも聞いた方が良いかな……」
後日、リカバリーガールに相談に行くのだが流石に若い子の喜ぶのは分からないと苦笑いで返されてしまい、素直にミッドナイトに相談しに行くと目を輝かせながらデートプランの構築指導をされるのだが、余りにもノリノリな姿に女の人はこんな感じなのかという妙な勘違いをするのであった。
「龍牙……準優勝だったな」
「し、師匠……」
応接室に入ってきた龍牙の師でもあるギャングオルカ、見た目故か強い威圧感を纏ったまま入室する。低い声で優勝出来なかった事を指摘され龍牙は委縮した。絶対に優勝すると誓っていたのに準優勝になってしまった事を責められる、自分がもっと強かったら優勝出来たと素直に反省している。これからどんなツッコミやらが待っていると身構えていると頭の上にポンと優しく手が置かれた。
「良く、よくやったぞ龍牙……俺はお前を誇りに思うぞ!!」
「えっ」
「何あのエンデヴァーの息子にも勝ったからな!!あの蚊取り線香丸の息子にな!!」
とギャングオルカは笑いながら龍牙の頭をガシガシと力強く撫でまわす。てっきり自分の不出来な所を指摘されるとばかり思っていた龍牙としては全く予想外の反応だった。
「流石は俺の息子、あんなクズ夫婦の子などでは断じてないぞ!!ハハハハッッ!!」
「えっちょちょちょ師匠!!?」
「此処には僕たちしかいないからな、キャラを繕う必要も無いからさっ!」
「えっじゃあ父さんって呼んだ方が良いんですか?」
今そこにいるのは師匠としてのギャングオルカではなく親としてのギャングオルカという事。普段は師匠として威厳やらを保つ為、だが今はそれをする必要もない。家族しかいないのだから素の自分でいられる場所、そこに自分の弟子であり息子である龍牙の活躍で我慢していた物が溢れてきてしまったのだろう。プライベートでも見た事の無いようなギャングオルカの姿に龍牙も困惑する。しかし好い加減正気に戻ったのか、ハッとなって赤くなりながら龍牙から顔を反らすのであった。
「い、いいか今のは忘れろ。いいなっ!!?」
「分かったよオルカ父さん」
「っ―――!!し、師匠と呼ばんか馬鹿弟子ぃぃっ!!」
「頬緩んでるよ」
「言わんでください校長!!」
基本的に龍牙に尊敬されたいという思いが強かったギャングオルカ、基本的に師匠として威厳ある姿を崩さなかったのだが……遂にここで崩してしまったと内心で落ち込むのだが龍牙は接し方を全く変えなかったので内心で酷くホッとするのであった。
「それで君の実の両親が縁談を持ちかけてきた事について、エンデヴァーからも話が来てる」
「胸糞が悪いな……今すぐにでもあれらを潰したい気分だ」
そう言うと根津も表情を鋭くしながら同意を示す、不愉快極まりない。自分達との関係を他人に漏らしたことに気にしていたのにそれからいつの間にか元の家族に戻ろうとする処など本当に気に入らない。白鳥が何故あそこまでまっすぐに育っているのか疑問に思うレベルだ。
「それでねエンデヴァーとも詳しく話をしたんだけど、ちょっと仕返しをしたくないかい?」
「仕返しって……何をするんですか?」
「簡単な事だよ―――あの二人が描いた絵、その通りに進んでいると思い込ませるのさ」
そんな風に言う根津は少々あくどくなっていた。
尊敬される気持ち、だけど本当はお父さんと言われたい気持ちが同居して割とモンモンしてるギャングオルカであった。