僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~ 作:魔女っ子アルト姫
「グォォォオオオ!!?」
突如として迫ってきた脳みそ剥き出しの謎のヴィラン、それに対してリュウガはその突進を受け止める事に成功したが、ヴィランは肩辺りから炎を噴き出し推進力としながら更に迫ってくる。力を込めているのに全く止まる事を知らない、とんでもない推進力だと感心しつつも個性を一部発動させる。
「部分出現ォォオオ!!!」
脚部のみ個性を発動させることで部分的にだが力を増す。何とか踏み止まれるようになるリュウガ、それが完全発動状態での彼の力が凄まじいことを物語る。そして敢えて脚だけにしたのは踏ん張りを強くするため、そして―――状態を反らしやすくするため。
「オンドリャアア!!!」
迫ってくるヴィラン、それを受け止めるリュウガはそのまま強く踏ん張りながら勢いよく上体を反らし始めた。それは宛らジャーマンスープレックスのような身体の反り、炎の推進力で進み続けていたヴィランを空を掴むかのようにリュウガの背後へと飛んでいく。空中で体勢を調整しながら着地するヴィランは再度突進をしてくるのだがそれを阻止するように飯田とコングがフォローに入る。
「リュウガ君!!」
アクセルとして、個性を発動させて一気に加速したアクセルはリュウガをヴィランの直線状から退避させつつ、コングは力強いドラミングをする。周囲には鐘を打ち鳴らすかのような重々しい低い音が木霊する。空気がビリビリと音を掻き立てながら震えている。
「俺のチームメンバーに何しやがんだこの脳みそ野郎!!」
「グアアアアアア!!!!」
ファイティングポーズを取るコングに対してヴィランは雄叫びを上げながら退かなければ貴様から殺すと言わんばかりに迫ってくる。パワーコングはそれに全く退かない。迫ってくるヴィラン、炎の勢いが更に増して速度が更に上がっていく。それを身体を沈ませながらヴィランの真下を取ると力を込めた拳を、全力で顎を捉えながら振り抜いた。
「ゼリャアアアアア!!!!!」
一瞬、パワーコングの腕が巨大になりその剛腕がヴィランの顎を捉える。その絶大な破壊力を秘めた一撃はヴィランの顎を粉砕する勢いで突き刺さった。顎どころか口ごと圧し潰したかのようにも見える超剛腕による圧力。凄まじいアッパーカット、この一撃こそパワーコングがパワーコングという名前の由来にもなった必殺の一撃、彼もその名前に誇りを持っており高らかに叫ぶ。
「
その叫びと共に振り抜かれた剛腕は空へと打ち放たれる。拳が突き刺さったまま天へと昇ったヴィランはそのまま隕石のように地面へと落下した。パワーコングの剛腕の一撃にとって完全に頭部がつぶれているかのようになっており、時折ビクビクと痙攣しているがそれを見たパワーコングは信じられないような物を見たように目を見開く。
「嘘だろ。俺の必殺技をクリティカルヒットしたんだぞ」
パワーコングは直感で感じ取っていた。このヴィランは普通ではない、脳が露出している事からまともな人間ですらないと察知した。上に手加減抜きの最大火力を叩きこんだ、それなのにこのヴィランは潰れた筈の頭部が少しずつ元の形に戻り始めているではないか。再生系の個性であったとしても頭部を潰されて再生出来るなんて話は少なくともコングは聞いた事が無い。
「コングさん!!こいつまだ動いてますよ!?今の全く加減してませんよね!?」
「間違いなく俺の全力の必殺技だ、それなのにもう潰れた顎が治りかけてやがる……炎を放出する個性だけじゃなくて再生の個性持ち……個性の複数持ちなんて聞いた事ないぞ」
「そう言えばUSJでヴィランが襲い掛かって来た時に、オールマイトが倒したというヴィランも似たような奴だと……」
それを聞いてリュウガも漸く思い出した。話を聞いただけだが、USJではオールマイトと対オールマイトの切り札とされるヴィランが大激突したという。しかもそのヴィランはショック吸収と超再生という二つの個性を併せ持っていると、緑谷から聞いた。そしてそのヴィランの最大の特徴は脳が剥き出しになっている事だという。
「……こんな状況だ、致し方ない。リュウガ及びアクセル、個性の限定使用をプロヒーロー・パワーコングの名において許可する!!」
本来プロヒーロー資格を所持していない者が個性を用いて人物を対象にした使用は固く禁じられている、だがコングの判断はそれを容認する事になる。
「こいつは確実にやばい!!俺のサポートに徹してくれ、ここでこいつを潰さないといけないんだ!王蛇の件もあるのに早急にこいつを拘束する!!」
「了解しました。リュウガ、パワーコングのサポート任務を了解しました!!」
「同じくインゲニウム・アクセル、個性限定使用を了承しました!!そして全力で任務を執行します!!」
「二人とも、遠慮なくやれ!!責任は俺が全部取ってやるから気にするな、このヴィランに戸惑いは命取りになるぞ!!」
「「はいっ!!」」
パワーコングとしての直感が叫んでいる、このヴィランを完全に沈黙させて拘束するには二人の助けがいる。後方で戦っている王蛇の事も考えると出来るだけ手早く終わらせる必要も出てくる。そして再生を終了したのかヴィランは再び炎を放出しながら迫ってくる。
「奴の動きを殺すんだアクセル、リュウガ!!」
「「了解!!」」
それを聞いたアクセルは自慢のスピードを生かしながらヴィランに迫る、当然アクセルに注意が向き拳を振るう。だが直撃する寸前で身体を沈めてそれを回避するアクセル、そしてその後に続くように迫ったリュウガは意識が反れて動きが乱れているヴィランを今度は全力で背後に向けてヴィランを投げつけた。
「良いコースだ!!行くぞ本日二回目ぇ!!!」
再度、コングの必殺技が炸裂する。だが打ち上げられたヴィランは即座に体勢を立て直すと威嚇するような雄たけびを上げながら再び3人に向かって襲い掛かった。