僕のヒーローアカデミア~ビヨンド・ザ・リュウガ~   作:魔女っ子アルト姫

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恐ろしさを目の当たりにする黒龍

「ドラゴン・ストライクゥ!!!」

 

全力での龍の鉄拳が脳みそ剥き出しのヴィラン、脳無とUSJに殴り込みをかけたヴィランの主犯と思われる男が呼んでいたものと同様の物だと思われるヴィランへと突き刺さる。同時に龍の口が開きそこから炎が溢れ出し、脳無の身体を焼く。師匠以外に対して一度も使った事の無い遠慮の欠片もない彼の必殺技、パワーコングの指示通りに一切の遠慮などしていない。

 

「コングさん、回します!!」

 

龍の一撃で身体を焼かれた脳無、その首へと足を引っかけるようにしながらアクセルはエンジンを吹かしながら一気に勢いを付けて回る。首に引っかけた足を解き放つかのように脳無をコングの方へと飛ばす。そこには更なる力を込めて攻撃態勢を取った森の賢者がいる。

 

「っしゃあ!!さあ全力の更に向こうへ、Plus Ultra!!」

 

通常以上に力を込め、渾身の力を、最大限の力を込めて三度剛腕を振るう。コングにとってリュウガとアクセルは初めて自分を敬ってくれるだけではなく確りと上として見てくれる相手である、それほどまでにコングの事務所内での新人扱いは深刻。実際5年経つまでは新人扱いはされると言われていたし経ったら完全な同格扱いでサイドキック内での上下関係はなしと言われている。故に、ある意味でリュウガとアクセルの存在は彼にとって感激物だった。だからか、限界以上の力が引き出され、二人の働きに報いる為に腕を脳無に炸裂させた。

 

「らぁぁぁぁっ!!!」

 

先程よりも確か手応えを感じつつも腕を振りぬいた。最初のクリティカルヒットよりも更に深く突きさせた今ならば行けると確信があった。思いっきり振り抜いた腕から離れる脳無は完全に意識が死んでいるような表情、いや姿をしていた。だがそれは最後の足掻きと言わんばかりに未だ戦闘を続けている王蛇とライノに向けて極太な火柱を吐き出して攻撃をした。

 

「なんだとっ!!?王蛇さんに当たるぞ!?」

「王蛇さんあぶねぇ!!」

 

二人の注意の言葉も空しく火柱は二人を飲み込んだ。炎の津波にも見えるそれを吐き出し終わった脳無は力尽きたかのように地面に落ちると完全に沈黙した、死んでおらず生きてはいる。動かなくなったというのはが正しい表現だ。そして火柱に飲み込まれた王蛇に不安を募らせる二人に応えるように影が見えた、だがそれは余りにも巨大な影だった。ライノだ、王蛇と戦い続けていたライノがそこにいた―――のだが、それはゆっくりと崩れ落ちた。

 

「て、めぇっ……!!」

 

ライノは酷い火傷を負っているのか、苦痛に声を歪ませながら背後に恨みを込めた声を放つ。背後には全く火傷の一つ負っていない完全無傷の王蛇が笑いながらライノを見下ろしている。

 

「近くにいた、お前が悪い」

「クソがぁっ……!!!」

 

凶悪ヴィラン認定を施されるライノ、彼が齎した被害の累計は大きな町のビルの数に相当する数の建築物をその巨体と怪力で破壊した。そんな強大なサイは外道卑怯上等のプロヒーロー・王蛇によって確保した。

 

 

「ぁぁっ~……面白いなこいつ、まだ生きてるじゃねえか。おい起きろ、今度は俺とやろうじゃねぇか」

 

ライノが完全に伸びてしまい、遊び相手がいなくなったので興味が脳無へと伸びる王蛇。彼も彼で脳無の異常性を把握しているのか酷く面白がっている。頻りに起きろ、俺と遊ぼうじゃねぇかと足で突くようにしながら、時折蹴っ飛ばしながらも反応をしないそれに対して、いいサンドバックだなと笑みを零しながら椅子代わりに腰かけた。

 

「おいおいおい良くそれ座れるな……脳丸見えのそれに……」

「どうせヴィランだ。世間様を騒がして市民を危険にする外道畜生だ、この位扱ったって誰も文句言わねぇ」

「むむむっ……過激だが一理ある、だがしかしいやでも、リュウガ君にいきなり襲いかかった上にこのヴィランはあのオールマイト先生と戦った者と同じであることも考えると妥当なのか……!?」

「真面目な考察はしなくていいと思うぞ……王蛇はこんなもんらしいから……」

 

ヒーローと言えば一般的なイメージを言えば、清廉潔白までとは行かないまでも正義感に溢れて善に徹する者だろう。だが王蛇それに真っ向から反している。ヴィランを盾にしたり、平気で相手の急所を何度も何度も攻撃したりなどは当たり前なヒーロー。ある意味アクセルが目指す物とは真逆の存在なのだから。

 

「兎に角、このヴィランはこのまま確保して貰えるか王蛇。アンタなら仮に暴れだしたとしても捻じ伏せられるだろ」

「まあいいだろう。俺もこいつには興味がある、暫くはこいつで遊んでおいてやる」

 

更に歪み切った笑みを浮かべる王蛇、興味は完全に脳無に向いており本気でそれを玩具にして遊ぶ気らしい。まあ下手なヒーローにこのまま見張るように依頼するよりも確実にこのまま拘束し続けてくれるという確信はあるが、妙にそれはそれでいや感じがする。そんな時である、コングの端末に緊急援護要請の通知がやってきた。

 

「これは……近くで他のヒーローが助けを求めてるのか」

「ならいけ、俺は行かね」

「分かってるよ!!龍牙、アクセル行くぞ!!」

 

最初から王蛇には期待していなかったコングはそのまま駆け出して要請があった地点へと向かっていく。此処からそれほど遠くはない、走って2分もしないうちにそこへと到達したのだが思わずその場面を見て凍り付いた。

 

「ぐっ身体が動かない……!!レイディ、君だけでも早く!!!」

「ダ、ダメ私も全く……!!せめて、ファムとデク君だけでも……!!」

「はぁっ……贋作が、今更高潔ぶるのはやめろ。貴様らの本性が見抜けないとでも思っているのか……?」

 

ビルとビルの間の狭い裏路地、そこでは全身から血を流しつつもまだ意志が折れていない二人のヒーロー、ビーストマンとミラー・レイディが必死に白鳥と緑谷を守るように自信を盾にするように立ち塞がっていた。だがそれを嘲笑いながら更なる冷たい物を送る男がいた。その名は―――ヒーロー殺し。

 

「醜く見るに堪えないクズの境地の贋作……いや、ヴィラン以下の偽物が。粛清する」

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