ばうえもんのネタ供養   作:ばうえもん

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フードハンター夕映


 

ある日冒険者予備校の教室で調味料入りの壺を広げ始めた私と転生者さんに何事かと周囲の視線が集中します。

 

「しかしこいつはともかく君まで普段からそんなに調味料を持ち歩いてるのか?」

 

「おいこら、俺はともかくとは随分な言い様だな」

 

「何を言い出すかと思えば、最悪食材は現地調達出来ますが調味料はそうはいきません。備えて置くのは当然でしょう」

 

「いや、最悪ってどんな事態を想定してるんだよ」

 

ふう、剣士さんは解ってませんね。

 

「そんなの突然魔物の領域に放り出された時に決まってるじゃありませんか」

 

「「「「「「そんな突然はねーよ!!」」」」」」

 

何故かクラス全員の意思が統一されました。人とは分かり合えるものなのですね(私除く)

……えっ?転生者さんもそちら側ですか!?

 

 


 

フードハンター夕映

 


 

さて、その後も転生者さんには様々なお米の料理を教わりました。特に丼ものは一つの完成された世界と言っても過言ではありませんです。

 

ですが転生者さんと食限定とはいえ話が合う私を苦々しく思うのか、彼のパーティメンバーの方々からは嫌われたようです。

彼と私で時々食事会をするせいで狩りに行けないと言うのが彼らの言い分ですが、そもそも転生者さんは私が居なくても食が絡めば暴走する方ですのでとんだ風評被害だと思うです。

 

そんなこんなで夏休み間近、彼から王都行きのお誘いがありました。

なんでも仲が良いお兄さんが結婚するそうで友人と一緒に観光がてら王都へ来ないかとのお誘いがあったそうです。

お米仲間として友人枠に入っていたのは嬉しいのですが、彼のパーティメンバーとは折り合いが悪いのでお断りしました。

もっとも本当の理由はちょっとピンとくるモノがあったからなんですよね。

転生者である彼が王都へ行くとか絶対に騒動に巻き込まれるフラグとか言う奴です。ここは距離をおいて生暖かく見守るのが正確です。

転生者さん、貴方は良い友人でしたが、貴方が転生者なのがいけないのですよ。

 

等と考えて王都行きを断った私の判断は正しかったようです。

転生者さん達が王都行きに利用した魔導飛行船がアンデッドドラゴンに襲われたそうです。幸いにも乗り合わせていた辺境伯家のお抱え魔法使いさんと転生者さんの2人で辛くも撃退して無事王都へ到着。そのまま王城にて陛下に謁見し、アンデッドドラゴンの討伐と魔導飛行船を守った功績により叙勲し法衣貴族に叙任されました。

やはり彼は持ってる人でしたか、多分その魔法の腕を見込まれこの先も平穏無事とはいかないでしょうから距離を取るには最適のタイミングでした。

クラスメイトは私の事を1人だけ置いていかれてチャンスを逃したと間抜け思っているようですが人間分を超えた幸運は毒になりかねません。

 

「何事も程々で良いのです」

 

「程々ねえ、負け惜しみじゃないのはユエの性格的に分かるけど」

 

そこそこなお値段のレストランで向かい合うは私の恩人である二つ名持ちのベテラン冒険者である義姉さん

…ベテランのところで睨まれました。姉さんは気にし過ぎと思うのですが、それを言うと若い奴は余裕だねと絡まれるので黙ってましょう。

 

「領域の主を断首するのを程々と言うとは知らなかったよ」

 

またそうやって出会った時の事を蒸し返しますか

 

土地自体を縮めることで距離を接近させる仙術"縮地"はその逸話から空間を歪めて移動距離を短くすると解釈できます。そして私の使う"縮地"の実態は地脈の流れに乗っての移動(移動中の自分の状態がどうなっているかわかりませんが)で、ようは現世に存在しない道を通っての移動なので転移というよりはSFのワープ航法のイメージが近いと思われます。

仙術"縮地"そのものか分かりませんが、解釈にもよりますが近い概念ではあると思っています。

 

さて、なんとか可能なレベルに過ぎない私の"縮地"は初回は移動先を選べないという欠点があります。その理由は単純に移動先を確認する術が無いというこれまた致命的な理由です。

一度行って場所さえ覚えれば解決する問題ですが、初回はどうしても博打になります。

当然島からの脱出時にも行先不明でとにかく太い地脈を目指せば最悪でも陸地に着くだろうと考えた結果が魔物の領域に出現、それも領域の主の目の前に出て死にかける破目になり、それが義姉さんとの出会いでした。

 

「義姉さんが竜殺しの英雄さんに興味が有るのでしたら紹介しますよ。多分今なら未だ縁を頼れそうですが、この先は疎遠になるだけなので今の内ですよ」

 

「変な気を回すんじゃないよ! だいたい未だガキじゃないかい」

 

「そうですね、小さい娘が好みとの噂もありましたから年上では無理かもしれませんね」

 

「ユエなら行けたんじゃないかい?」

 

「私の方が3歳年上なんですけどね、私の人種は大陸の人と比べると若く見えますから」

 

そんな感じで久しぶりに義姉さんと楽しくお食事をしました。

明日から残りの夏休みは義姉さんの依頼に付い行く予定です!

まだ見ぬ食材達よ、私が狩りに行きますから待ってて下さい!!

 

「ユエ、みっともないから涎拭きな」

 

 


数年後の再会


 

三義姉妹の次女

「義妹だけじゃなく義姉さんまで喰ったんですか

 いくら丼好きだからって(義)姉妹丼とか最低ですね」

 

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