ある日、天が何か、大きな翼のようなモノに覆われ世界は一時、暗黒に包まれた。
その瞬間、獣のような咆哮が世界に響き、何者かが地上に舞い降りた。
ソレは手始めに舞い降りた地を数分もせずに滅ぼした。
その地を守る、銃や戦車と言った重火器で武装した軍隊は応戦したが、一瞬にして全滅した。
全くと言って良いほど成果は無く、むしろ最悪の事態を生み出した。
ソレは血を流す度に眷属を生み出す怪物であったのだ。
なまじ血を流させた所為で被害はより広がった。
半日経つ頃にはヨーロッパの国々が滅ぼされた。
これを未曾有の危機と判断した大国は
魔術の総本山たる時計塔、世界を滅ぼす七大兵器を保有するアトラス院も応戦したが、その悉くを打ち砕かれより強い魔術によって完膚なきまでに叩き潰された。
沈黙を保っていた
聖堂教会も抵抗むなしく滅ぼされた。
魔術協会が崩壊したことにより、彼らが押さえつけていた様々な厄ネタが溢れたが、ソレは意にも介さず一瞬で打ち破った。
南米を襲った際に、
一日経過し、世界が事態を受け入れた頃には、
———これは人類史上類を見ない危機である。
———この惑星にとっても巨大天体の衝突並みに最悪の事態である。
アラヤとガイアはそう判断した。
ガイアは自身が有するあらゆる手段を用いて抵抗を試みたが、
———"アヴェスター"起動、相剋して廻れ、疑似創世図。
ソレが有する
ソレを倒すためには、絶対と言って良いほどのルールが存在する。
———ソレを倒すには、人類で無ければならない。
アラヤはいつもの守護者に加え、七騎の英霊を召喚する。
それもただの英霊ではない、冠位を与えられた人類最強の七騎。
だが、それでは足りない。
ただただ単純に、頭数が足りないのだ。
このままでは、人類は滅びてしまう。
しかし、希望はある。
現代の地球にも、まだ可能性の一つがある。
七つの時代を乗り越え、人理焼却を解決した人類の救世主。
数多の英霊と縁を結び、共に駆け抜けた人間がいた。
ソレに挑むは今まで紡ぎあげてきた人類の歴史全て。
———なるほど、貴様らがそうなのか、まさに人類の全て。
ソレは三つの龍頭を上げ、真紅の瞳を輝かせる。
———ならば、私が何なのか教えておく必要があるだろう。
ソレは影でできた漆黒の翼を広げた。
———貴様らは私を天災が何かだと思っているだろうがそうではない。天災でしかなし得ない破壊を一個の意思、生命体として衝動のままに払うもの。
ソレは大陸並みの質量を詰め込まれた三メートル程度の身体で空に立つ。
———それはもう天災とは呼べない。世界が一丸となって滅ぼさねばならない巨悪、即ち絶対悪。
真紅の布地に刻まれた"悪"の御旗が激しく揺れる。
———我が悪一文字こそ、あらゆる英雄英傑が到達する最後の巨峰!踏みこえよ!我が屍の上こそ正義である…………!
ソレは善悪の二元論、懲罰すべき原初の試練。
時系列的には第1部、第1.5部の後になります。
ちなみにアジ=ダカーハが登場したことによって異星の神の目論見は木っ端微塵になっており、第2部は存在しません。
多分閣下なら異星の神とか倒してくれそう、いやきっとそうだ。
閣下は正直どうやっても勝てない気がしますが……もしFate/世界に現れたらどうなるんでしょうね?