2095:逢魔再臨 作:常磐ソウゴ推進派Quartzer
彼は2095年の未来へ向かい、そこで遭遇したアナザー・ウィザードを撃破。
忠臣であるウォズの調査によって『一高』という場所を中心にして事件が多発していることを知る。
そして彼らは一高へ生徒として入学するとことなる。
そして、空室だったクジゴジ堂に新たな入居者が……
おっと、少し先を読み過ぎました。これは皆様にとって未来の事でした
第tan(45°)話:2095:サード・ハイスクール/宵闇の襲撃者
「我が魔王、新たな高校生活に向けた準備は整ったかい?」
「ウォズ……高校への入学は本当に必要なのか?」
「ああ、我が魔王がこの時代に来る少し前から調査したが、この『国立魔法大学附属第一高校』通称『一高』近辺での事件が多いようだからね」
ウォズがこの時代で主に使われている仮想型デバイスで『一高』周辺の地図を映し出す。そして、最近活動しているという反魔法師団体の動きが記されている。
「はぁ…『また』高校へ通う事になるとは…。それもこれも全て『この姿』のせいだ…」
現在の常磐ソウゴは18歳だった頃に近しい姿をしており、ウォズの姿は2018年の頃よりも若々しくなっていた。
「我が魔王、ライドウォッチの修復はどの程度まで?」
「問題ない、基本フォームは一通り修復が完了している。ウォズの方こそ準備は終わってる?」
「勿論」
「……本当に学生として一緒に?」
「我が魔王と同じクラスでないのが残念だがね」
「『一科生』と『二科生』か。優劣を付けるのは判るが
「それは私も同じことを思っていたよ。そもそも、彼らはこれから魔法師として成長をしていくというのに」
「こんなことなら魔法師について学ぶべきだったな。実技は駄目でも筆記はもう少し…」
「我が魔王も現実改変なら得意分野ではないか」
「それは魔法じゃないだろ…。むしろウォズは何で魔法が使えるんだ…」
魔法を使う者は純正の人間は少なく。家系を辿ると研究所が源流だというのが大半である。
常磐ソウゴも少し魔法が使える程度であり、2068年では知識も素人と同様であった。
「我が魔王の忠臣として当たり前のことさ」
「王よりも高性能な家臣……」
「歴史から見ても割りと居るものだよ」
「まぁ、確かにそうだ。魔法師の問題は彼らに任せるべきだろう。それよりも我々はアナザーライダーだ」
「早速、アナザー・ウィザードが現れた訳だが…。我が魔王としてはどの様に感じたかね?」
「そうだな…アナザーライドウォッチの力が弱いのか。昔ほどの驚異は感じなかったな」
「我が魔王の戦闘技術が上がったというのも有るだろうがね。因みにあのアナザーライダーは正確にいうとアナザー・ウィザード・フレイムスタイルだろう」
「力を限定的にしてウォッチにしていたのか。道理であのアナザーライダーは弱い訳だ」
「そうなると面倒かもしれない。仮面ライダーのフォーム数は多いからね。ダブルからビルドまでのライダーは特に」
「アナザー・オーズ・シャゴリーターとか出てきても困惑するぞ?」
ウォズとソウゴの脳裏には100を越えるアナザー・オーズがすらりと並ぶ光景。
「……流石に亜種フォームは出ないことを祈ろう。私はそろそろ寝るとするよ。我が魔王も早い内に眠るように」
「分かった、もう少ししたら寝室へ向かう」
「それではお休み、我が魔王」
「ああ、お休み」
時計の針は止まらない。常に未来に向かっていく。クジゴジ堂の時計も正確に時を刻み12時を知らせる音を鳴らす。
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「ウォズ…その『本』は本当に持っていくの?」
「当然だとも我がまお…『ソウゴくん』の活躍は随時書き記されなければ」
一高へ向かう通学路、ソウゴとウォズは肩を並べて歩いている。他にも同じ一高の制服を着た生徒達が登校している。
「はぁ…ここが一高か」
「それでは講堂に行こうか『ソウゴくん』」
「……駄目だ、魔王呼びに慣れ過ぎて名前呼びに違和感が…」
「慣れてくれたまえ」
そうな雑談をしながら歩いていると目的の講堂に辿り着く。そこには二つに分かれた生徒達が始業式をの始まりを待っている。
「どうするの、ウォズ?」
「勿論、私には一科生や二科生は関係ないのでソウゴくんの側に居させてもらうよ」
「だろうと思った。取り敢えず、後ろの方が空いているからそこに座ろう」
ウォズに対する二科生の視線が一科生のウォズに集まるがそれも徐々に薄れていき、講堂の席もほぼ埋まる頃には時間が来たのか入学式が始まった。
生徒会や校長の話が終わると壇上に新入生総代として首席の少女が上がる。
『それでは、新入生総代の司波深雪さんによる答辞てす』
「ん?ウォズ、あの子って……」
「アナザーウィザードの際に会った少女のようだね」
「また何処かでとは言ったけどこんなに早く会うとは」
首席の少女は司波深雪というらしい。講堂にいる多くの男女が司波深雪の美しさに目を奪われている。
「あの子、中々肝が座ってるよね」
「『等しく』、『一丸となって』、『魔法以外にも』とこの一科生と二科生による壁がある中で言えるのは豪胆だ」
「まぁ、殆どの新入生は彼女の美貌に気を取られてて、発言自体には気が向いてないようだけどね」
彼女の答辞で入学式は終了のようで皆が席を立ち、彼女とお近づきになろうと彼女の前に人垣が出来上がる。
「ウォズ、今日はこれで終わりだよね?」
「クラスのIDカードを受け取れば終わりという話だ」
「受け取ったら、さっさと帰ろう。今日はこれ以上居ても意味がない」
「……………そうしようか。そういえば、クジゴジ堂の空き部屋に入居者が来るのは今日の夕方だったね?」
「そうそう、同じ『一高』の生徒なんだって」
「つまり、何処かで会ってたのかもしれないということか」
「先に戻って、夕御飯の準備をしよう」
そんな会話をして去る二人を司波深雪の兄、司波達也は観察していた。
「(あのウォズと呼ばれていた男子生徒……ビル火災の際に居た男と同じ名前……)」
「司波君!カード取りに行こう!」
「ああ…行こうか」
達也も先程知り合った柴田美月や千葉エリカ達と歩いていく。
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高校生活の初日を終えた司波兄妹。深雪もエリカや美月と仲良くなり、順調な滑り出しだと言えるだろう。
現在、彼らは親元を離れて四葉から与えられた住居で二人暮らしを楽しんでいた。
「お兄様、どうぞ」
「ああ、すまない深雪」
達也に珈琲を渡すと深雪は達也の横へ腰かけた。達也は手元の機械で先日発生した魔法師によるビル火災事件についての資料を読み漁っている。
「それはこの前の…」
「ああ、本家から資料を送ってもらった。しかし、あの怪人やジオウを名乗る青年に関する情報は俺でも制限されているようだ」
「……四葉にとって秘すべき事ということですね」
「叔母上も暗に関わるなと言ってるのだろう」
「『仮面ライダー』という存在はどうでした?」
「調べてみた。21世紀初頭に話題になった都市伝説みたいだ」
「都市伝説ですか?」
達也は深雪の言葉に頷くと仮面ライダーについての情報を端末に表示する。
「色々な場所で確認されていたが何時からか姿を表さなくなり、今はその存在自体信じる人は殆んどいないみたいだ」
「それでお兄様は何故仮面ライダーの情報を?」
「仮面ライダーが深雪の害にならないとしても怪人は別だろ?深雪の領域干渉を上回るあの魔法だけでも驚異だ」
「彼らにもう一度会うにはどうすればいいのでしょう」
「案外、直ぐに会えるかもしれないな。今日の一高で『ウォズ』という男子生徒を見掛けた」
「それはあの時をバイクの後部座席に座っていた人物と同じ」
「今後、彼らと接触する機会もあるだろう」
「そうですね…」
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同時刻のクジゴジ堂ではソウゴとウォズの二人が入居者を待っていた。
「遅いね」
「ふむ、道に迷っているのかもしれないね」
「うーん…ここら辺って迷いやすい訳でもないんだけどな。ちょっと外を見てくる!」
「もう直ぐに暗くなるので気を付けるんだね」
「了解」
ウォズの忠告を受けて、暗くなる前に探そうと急ぎつつクジゴジ堂を出る。しかし、捜索するが入居者を見つけることは出来ず、周囲は暗くなり始めた。
「何処にいるんだ。夕御飯も冷めちゃうなぁ…唐揚げも美味しく出来たのに」
トボトボと肩を落としながら入居者が既にクジゴジ堂へ辿り着いていることを願って戻ろうとすると…
「きゃあ!!」
「!?悲鳴!」
突如聞こえた悲鳴が場所へ向かうとそこにはキャリーバッグを振り回しながら、何者かから抵抗している少女の姿が見えた。
「貴方、何者!」
『……………』
「あっちへ行きなさい!?」
少女を襲っている人物を見るとそれはアナザーライダーだった。肩にはBILDと2095という文字が刻まれている。
「あれはアナザー・ビルドか?目以外が黒いが……いや、今はそんなことよりも!」
ジオウライドウォッチを取り出してドライバーへ取り付ける。
「変身ッ!」
『はぁ!!』
『!!……』
『君は早く逃げて!』
「ご、ごめんなさい。腰が抜けて……」
『(なら、こいつを引き離すしかない)』
銃モードでアナザー・ビルドへ射撃するが、まるで効いていないかのように突っ込んでくる。
『………』
『?!こいつ…痛覚がないのか?』
『………』
アナザー・ビルドはドライバーに付いている装置のスイッチを押す。
『不味い、必殺技を打つつもりか!』
ジオウもアナザー・ビルドに対抗するためジカンギレードのスイッチを押す。
アナザー・ビルドは足へパワーを貯めながら必殺技を撃ち込もうと近づいてくる。対してジオウは冷静に狙いをアナザー・ビルドを向ける。
ジカンギレードから機関銃の様に連続して発射されるがそれを効いていないかのように突っ込んできた。
ジカンギレードの最後の強力な一撃とアナザー・ビルドのハザードフィニッシュが拮抗。
『…!?』
『くっ?!』
強力なエネルギーが衝突したことで二人は吹き飛ばされる。土煙が周囲に舞いアナザー・ビルドが見えなくなり、土煙の向こうをジカンギレードを構えて警戒する。
『くそ…逃げられたか…』
しかし、土煙が消えた向こう側にはアナザー・ビルドの姿は見えなかった。少しの間、周囲を警戒するが襲ってくる様子はなかったので変身を解除した。
「君、大丈夫?」
「え、ええ……助けてくれてありがとう。貴方は一体…」
「俺は常磐ソウゴ、君は?」
「私は明光院ツクヨミ。宜しくね、ソウゴ君」
「明光院……ツクヨミ……」
「えーと…何か疑問が?」
「お父さんがゲイツって名前だったりする?」
「え?!ソウゴ君、お父さんのこと知ってるの?!」
「…………(明光院って名字とツクヨミって名前。よく見ると『ツクヨミ』の面影がある…)。一方的に知ってるだけだよ。それよりも何でツクヨミはどうしてこんな時間まで歩き回ってるの?」
「えっとね?学校が終わって、新しい友達と喫茶店でお話した後に下宿先に向かってたらあの怪人に襲われたの…」
「成る程、それで下宿先は?(この先の展開が大体、分かったという顔)」
「クジゴジ堂って言うんだけど知ってる?」
「ああ…知ってるよ。それは俺の家だからね…」
「ええ!!ソウゴ君の家だったの?!」
「案内するよ」
「………あっ!待ってよ!」
ソウゴはそういうとツクヨミのキャリーバッグを持ってクジゴジ堂へ向かう。ツクヨミも少し呆然とした後、ソウゴの後を追いかける。
『…………』
少し離れた場所で二人が去るのを赤と青の瞳が見つめていた。襲撃者は闇に紛れて徐々に消えていった。