一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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一夏ちゃん視点


なんか久しぶりな気がする




帰省と再会、報告

 

 

IS学園も夏休みに入り約1週間が経った今日この頃、薫君と過ごしていたいけど、実家に姉さんを1人にするのも心配だし、何より行かなければならない場所がある。それに束さんとも約束もあったので、後ろ髪を引かれつつIS学園を離れ実家に帰省する事にした

 

 

IS学園から約1時間で実家に辿り着き、家の窓からと言う窓を全開にして換気をする

 

 

「暇をみて戻ってきて掃除とかしてたけど、やっぱり本格的に掃除しなきゃダメだな」

 

 

仕事の都合で帰りが昼過ぎになると言っていた姉さんが帰ってくる前に掃除を済ませてしまおうと思い、外行の服から汚れて大丈夫な部屋着に着替えて掃除用のエプロンをして掃除を始める

 

 

それから3時間程で大体の掃除が終わり、庭の方を見て草刈りは姉さんに任せよう、と心に決めていると姉さんが帰って来た

 

「相変わらず優秀だな、一夏」

 

 

「ふふ、ありがとう。でも褒めても何も出ないよ? 姉さん」

 

 

何か疲れた様子の姉さんがソファーに座り、私を褒めて来たので軽い調子で返しておく

 

「掃除は大体終わってるみたいだな? 手付かずは庭だけか? 」

 

 

「あぁ、うん。そうだね」

 

ネクタイを緩め、ブラウスの第1ボタンと第二ボタンを外し肩を回しながら姉さんが尋ねてきたので答え、姉さんの後ろに回り肩を揉む

 

「むむ・・・固い、これは強敵だ」

 

 

「あぁ〜・・・助かる」

 

 

臨海学校の時も姉さんの全身揉んでおいたけど、この短期間で こんなに凝り固まるなんて予想外だったなぁ、とか考えつつ念入りに時間をかけてマッサージを続けていると薫君から着信が入り、一旦マッサージを止めて少し期待しながら電話に出る

 

「もしもし、薫君? どうしたの? 」

 

「あ、一夏さん? 突然ごめん、今 大丈夫かな? 」

 

「うん、大丈夫だよ? どうしたの? 」

 

少し疲れた声をしている薫君が少し気になったが一旦気付かなかった事にして、答え姉さんを見ると珍しくニヤニヤしていたので、あからさまに見ない様に眼を逸らしておく

 

「実は、一夏さんの家に行ってみたいなー、なんて・・・思いまして、はい」

 

薫君は、どこか緊張した様子で そんな事を言ってきたので、私のテンションがかなり上がり姉さんを見るとサムズアップしていたので、姉さん公認で薫君を我が家に招ける、と思っていると姉さんがチョイチョイとジェスチャーをしたので、耳を寄せると小声で耳打ちされ、分かったと姉さんに伝え

 

「薫君、急で申し訳ないのだけど、明日でいいかな? って姉さん? ちょっと!? 」

 

 

薫君に説明をしようとした瞬間、姉さんに携帯を取られ

 

 

「八月一日・・・いやプライベートだ、気安く薫と呼ばせてもらうぞ? 薫、急で悪いが明日 我が家に来てくれるか? 服装は上は黒、下は派手ではないズボンで頼む」

 

「あ、はい。分かりました」

 

「すまんな、お前に会わせたい・・・いや、お前を会わせたい人達が居る。その為に必要な準備なんだ」

 

 

と姉さんは薫君に説明し、私に携帯を返して私の頭を軽く撫でてからリビングを出て行く、それから少し薫君と話をして掃除の残りや家事をして就寝した翌朝、私達は支度をして姉さんが運転する車で駅へ向かい薫君と合流する

 

 

「お待たせ、待った? 」

 

「大丈夫、さっき着いたばっかり」

 

挨拶もそこそこに薫君を後部座席に座らせ私も その横に座ると、ルームミラー越しに姉さんが軽くニヤッとしたのが見えたが見えなかったふりをする事にする

 

 

「それで・・・何処に向かっているんですか? 」

 

 

「・・・会わせたい人のいる場所だ、着けば分かる」

 

 

「は、はぁ・・・」

 

 

薫君は軽く戸惑いながら曖昧な返事をする、仕方ないかも知れない、彼女の家に行こうとしていた筈が、彼女の姉が運転する車に乗せられて運ばれている訳だから

 

それに、姉さんは両親の話をあまりしたがらない。それは私に気を遣っているのか、姉さん自身が辛いからなのかは分からないけど、あまり語らない

 

だから私も普段は触れない様にしている

 

 

駅から車で数十分、それなりの広さの霊園へ到着し、車から降りてトランクから諸々一式を下ろし

 

「・・・こっちだ、薫」

 

「はい」

 

さっきニヤニヤしていた人と同一人物か疑いたくなる様な真剣な表情で薫君に言い先導していく

 

 

駐車場から数分歩き、目的地に辿り着き

 

 

「・・・久しぶり、父さん、母さん。今年も夏が来た」

 

姉さんは両親の眠る墓標へ話かける、約10年前の丁度この時期に両親は他界してしまった、私はよく覚えていないのだけどね?

 

 

「・・・会わせたい人って」

 

「私達の両親、だよ薫君」

 

 

少し戸惑っている薫君に、そう言い私は線香に火をつけて供えて手を合わせて

 

 

「父さん、母さん、久しぶり。息子から娘に代わってしまったけど、私はあの頃に比べたら元気になりました。こんな私だけど私を理解し受け入れてくれる人が出来ました」

 

 

両親へ約1年の報告と薫君と言う恋人が出来た事を報告する、仮に両親が生きていたら、どんな表情をするだろうか?

 

手放しで喜んでくれるのだろうか?

 

それとも、真っ向から否定したりするのだろうか?

 

 

そんな想像が私の頭を巡り、答えは出ない

 

 

「・・・はじめまして、一夏さんと交際させて頂いている 八月一日 薫と言います。急な訪問になり申し訳ありません、千冬さんや一夏さんから家庭環境について多少聞き及んでおり、お二人が既に鬼籍に入られている事も知っていました。俺は必ず一夏さんを幸せにして見せます、約束します」

 

 

薫君は両親に向かってまっすぐに力強く言う、その様子に私の鼓動が速くなり、もう幸せ過ぎて倒れてしまいそうなぐらいだし、姉さんは姉さんでウンウン頷き、よく言った みたいな表情している

 

 

あぁ、私は幸せ者だ

 

カッコいい彼氏と強くて優しくて頼りになる姉が側に居てくれる、幸せだ

 

 






お待たせしました


ちょっと無理つめました、すみません




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