一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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薫君視点


真夏の攻略戦

 

 

 

 

一夏さんに誕生日を祝って貰い、楓にイジられたから軽く教育的指導(シバい)した日から数日、IS学園でデータ収集をしなければならなかったので実家を離れて寮の自室に一泊

 

次は また1週間後にキャノンボールファスト用のバックパックの調整とデータ取りがあるので、少し面倒だなぁと思いつつ弾が家に招いてくれたので、財布と必要最低限の荷物だけ持って寮を出る

 

 

あまり早く行っても迷惑だろう、と判断して少し ゆっくりして寮を出た訳だけど、真夏だからめちゃくちゃ暑い

 

 

「今日も今日とて快晴だな・・・」

 

 

日影を意識して移動をするが、日差しが真上に近づいているので大した効果もなく歩いてIS学園の最寄駅に辿り着くと、見慣れた栗毛色の髪をした先輩がホームで そわそわ しているのを見つける

 

 

いつも冷静で落ち着いた印象の先輩が、そわそわ しているのが気になり

 

 

「あの〜虚先輩? おはようございます」

 

 

「?! あ、あぁ・・・八月一日さん、おはようございます。お出かけですか? 」

 

少し控え目に挨拶をしてみると、彼女には珍しく近くに(ひと)がいるのに

気付いていなかった様でビクッと肩を揺らしてから、挨拶を返してきて尋ねてくる

 

 

「はい、友達に呼ばれてて。先輩は? 」

 

 

そこまで虚先輩と交流がある訳では無いので、対して私服を見た事もないから彼女が何処に行こうとしているのか、単なる帰省か 分からないので尋ねてみる

 

 

「そうなんですね? 私も似た様な感じです」

 

と虚先輩は、軽く挙動不審になりながら言うので、あ〜これは何か隠してるな と確信を持つが、詳しく問いただす程 興味がある訳でも、先輩と仲が良い訳でも無いので気づかなかった事にし

 

「そうなんですね」

 

軽く流す感じで相槌を打つ、そういえば昨日一緒にデータ収集をした一夏さんは昨日の内に実家へ帰って行った。なんでも翌日に緊急の用事が出来てしまったとか

 

 

また篠ノ之博士絡みか? と思ったが、一夏さんはあまりそうゆうのを話したからないから俺にはサッパリ分からない

 

 

まぁそんなこんなで電車に乗り目的地の最寄駅へ移動し、虚先輩が同じ駅で降りた瞬間、猛烈に嫌な予感がし始め、これはもしや? と思い始める

 

 

いやいやいや、まさか、ね? とか自分を誤魔化しつつ虚先輩の視界から逃れる様に移動し、出来るだけ気配を消して先輩の動向を探る事にしよう

 

 

「・・・これほど、予想が外れて欲しいと思った事はないなぁ」

 

 

「マスター、言霊というものが有ってだな? 」

 

 

いつもの様に唐突に現れた陽炎に言われ、肩を落とす

 

まぁ十中八九、予想通りなんだろうな、と

 

 

「・・・弾の実家って事は蘭ちゃんが居る訳で? あぁ・・・うん、まぁそうか、うん」

 

 

多分、虚先輩と俺の目的地は同じで、一夏さんも多分居る

 

 

三人がかり・・・いや数馬も含めて4人になるのか? まぁ複数人で蘭ちゃんを抑えるつもりなんだな? 弾

 

 

と、友達を疑いつつ虚先輩に察知されない様に移動を始める

 

 

まさか蘭ちゃん、虚先輩に オマコロをかまさないよね? いや無理か、絶対やるは あの娘・・・

 

 

この先の展開を予想し軽く憂鬱になりつつ五反田家へ到着し、居住区の入り口を探す虚先輩に

 

「家の入り口ならアッチですよ先輩」

 

「・・・何故アナタが? まさか」

 

俺の姿を見て何かを察知して少し残念そうな表情をする虚先輩を居住区の入り口へ案内し、インターフォンを押し数秒で扉が開き弾が顔を出して

 

 

「おー悪いな薫、いらっしゃい虚さん」

 

「全くだよ」

 

「失礼します、弾君」

 

全く悪びれていない弾に溜息を吐きながら家に入る、虚先輩は少し緊張している様子だ

 

 

「えーっと、客間に・・・廊下進んで右手の扉が空いてる所だ」

 

 

弾の案内を聞き客間に行くと、予想通り一夏さんが居て既に眼にハイライトが無い蘭ちゃんを撫でていた、ただ数馬の姿が無かったので弾に尋ねる

 

「数馬は? 」

 

「彼女と中国旅行中」

 

「・・・数馬って彼女居たんだ、知らなかった」

 

 

弾の言葉に軽く衝撃を受けつつ、どこに座るか考える

 

 

普段なら迷わず一夏さんの隣なんだけど、今回に限ってはダメだ。一夏さんは既にスイッチが入ってそうな蘭ちゃんの横に座っている、流石に見るからに危なそうな場所に座れる程、俺は肝は据わってない

 

かと言って、1番安全そうな場所には虚先輩を座らせるべきだ・・・仕方ない、虚先輩の横に座ろう、もしもの時 横なら対物シールドの展開も間に合うだろうし、部分展開さえすれば凶器は俺には刺さらないしね? うん

 

 

「虚さん、普通のお茶ですが、どうぞ」

 

「ありがとうございます、弾君」

 

 

とか弾が言いつつ虚先輩の前に冷たいお茶を置き笑む、ふむふむ・・・これは付き合い始めてるな? と考えつつ弾からお茶を受け取り一口飲む

 

 

「えーっと・・・蘭、この人が今、お付き合いさせて貰ってる虚さんだ」

 

「・・・五反田、蘭です。兄がお世話になっています」

 

弾が虚先輩を紹介し、先輩が自己紹介をする間を与えずに纏わり付く泥の様なオーラを纏い蘭ちゃんが自己紹介をして、社交辞令を言う

 

 

やべぇ、めっちゃ怖い・・・一夏さんの事で釘を刺された時より闇のオーラが強い

 

 

ほんと、役目が無かったら逃げ出したいぐらいだ

 

 






我慢出来なかったですw



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