一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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薫君視点


真夏の攻略戦 2

 

 

そんなこんなで蘭ちゃんの様子にヒヤヒヤしながら様子を伺っていると

 

 

「はじめまして、私は布仏 虚と申します。弾君とお付き合いをさせていただいています、よろしくお願いしますね? 蘭さん」

 

 

と虚先輩は蘭ちゃんの様子を知っていて気にしていないのか、単に気付いていないのかは分からないが、にこやかに蘭ちゃんへ自己紹介する

 

 

う〜ん・・・心なしか蘭ちゃんのオーラが更に闇になってる気がするなぁ・・・よし陽炎、もしもの時は助けてくれ、と陽炎に伝えておく

 

 

「・・・よろしくお願いします、虚さん」

 

やはり眼にハイライトが無い蘭ちゃんは最早魔王みたいなオーラを纏い言う、本当この姿を見て蘭ちゃんが普通の女子中学生と思えないんだけど、マジで

 

 

「ふふ、お兄さんを取られて嫉妬をする。 弾君は愛されていますね? 」

 

 

と虚先輩が突然 軽く笑い言う、言動からして最初から気付いていた様だ。虚先輩の胆力すげぇ

 

 

「え? はは・・・どうも」

 

 

虚先輩の言葉に弾は反応に困った様で曖昧な返事をし、蘭ちゃんは『何だ、コイツ』みたいな目で虚先輩を見ている、ちなみ一夏さんはキョトンとして可愛い

 

 

「ですが、いつかは来る事は分かっていた事、それが来てしまっただけの事、ですよ、蘭さん?」

 

 

「・・・何を分かった様な事を! 」

 

 

蘭ちゃんを諭す様な言い方で虚先輩は言い、蘭ちゃんは今にも飛び掛かりそうなオーラを纏い言う、虚先輩が気に入らない様だ

 

 

「事実ですよ、別れは必然なのですから」

 

 

先程まで、優しげな雰囲気を纏っていた虚先輩がキリッとした雰囲気に変わり蘭ちゃんを真っ直ぐ見据え言う

 

 

やっぱり俺達より少し長く生きているから言葉に重みがあるなぁ

 

 

「・・・認めない、認められる訳がない。一夏さんだけじゃなく、お兄まで・・・」

 

 

「・・・貴女の心中を察する事は出来ませんが、机の縁に仕込んだ得物を使うのは辞めておいた方が貴女の為です。その程度のものでは私に届きませんから」

 

 

「なら、確かめてあげるわよ!!」

 

虚先輩が突然、そんな事を言い出して俺達が戸惑っていると、蘭ちゃんの我慢が限界に来たのか机の縁からナニカを握り締め机を飛び越えて虚先輩へと襲いかかり、まずい対応しなきゃ と思った瞬間、蘭ちゃんは元いた場所に少し体勢を崩した状態で座っていて、虚先輩は蘭ちゃんから奪ったであろう小型のナイフを光に翳し見ていた

 

「やはりコレで人を殺めるのは難しいですね、強度が足りません」

 

 

と虚先輩は、そう言いながらナイフの刃をバキンと折って使えなくして、ハンカチに包み自身のハンドバッグへしまう

 

 

え? 虚先輩って見た目によらず強い人なの? え? と軽く混乱していると

 

 

「蘭さん、貴女に認めて欲しいのが私の本心です。しかし、認められるかは貴女の決める事、無理強いはしません。 私を殺したいなら殺せば良い、まぁ殺せれば、になりますが」

 

 

と虚先輩は再び蘭ちゃんに諭す様に言い微笑む

 

 

えぇ・・・虚先輩強すぎじゃない? 胆力もあるし・・・虚先輩って実は普通の人じゃないんじゃ? もしかして実家がヤの付く自営業とかじゃないよね?

 

 

いや、のほほんさんを見る限り違うかも、うん

 

 

と言うか、一瞬の事で呆気に取られてしまって、蘭ちゃんもだけど誰も反応が出来てない、なんとも言えない空気が漂ってしまう

 

 

が、次の瞬間

 

「入るわよ? 」

 

と弾と蘭ちゃんと同じ赤毛をした蘭ちゃんを成長させたらコウなるんだろうなぁ?って顔をした女性がニコニコしながら入ってきて

 

 

「はじめまして、貴女が弾の彼女さんかしら? 」

 

「あ、はい。お初にお目にかかります、布仏 虚と申します。ええっと・・・弾君のお姉さん、ですか? 」

 

 

虚先輩は赤毛の女性の質問に答え自己紹介をして質問する、あれ? 確か弾って2人兄妹、つまり妹しかしない筈・・・とか考えていると

 

 

「・・・母さん、店の方は大丈夫なのかよ。まだランチタイム過ぎてねーだろ? 」

 

弾は少しぶっきらぼうに赤毛の女性へ言い、俺は4度見ぐらいする。どうみたって二十代前半ぐらいにしか見えないので驚いていると

 

 

「大丈夫よ、お父さんとお爺ちゃんが頑張ってるわ」

 

とサムズアップして言う、何というか面白い人だなぁ

 

 

「それじゃぁ改めて、私は この子達の母親の蓮、よろしくね? 」

 

蓮さんは中学生と高校生の子供がいる様には見えない若々しい笑みを浮かべて言う、ん〜見た感じ化粧とかで化けているわけでは無さそうだ、うん

 

 

「はい、よろしくお願いします。お母様」

 

虚先輩は数テンポ遅れて軽く頭を下げて蓮さんへ言う

 

 

「弾、逃がしちゃダメよ。虚ちゃん以上の人は、そうそう居ないわよ」

 

 

「お、おう。頑張るよ母さん」

 

 

なんと言うか、面白い人だな蓮さん。 良い意味で遠慮が無い感じだ

 

 

「ん〜それじゃ、君が一夏ちゃんの彼氏かな? 」

 

 

「はい、八月一日 薫です、よろしくお願いします」

 

 

蓮さんは急に俺の方を向き、品定めをする様に見ながら訪ねてきたので素直に答える、事実だし?

 

 

「一夏ちゃんを守ってあげて? この子、結構溜め込むタイプだからさ? 」

 

 

「分かりました、必ず守ってみせます」

 

 

これで通算何回目かの約束を蓮さんとする、そして改めて決意する。必ず一夏さんを守ってみせる、と

 

 

 






無理矢理になってしまった、申し訳ない



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