一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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薫君視点




納涼祭

 

 

「そうですね、シンプルに纏めるならば唯のお節介ですね」

 

 

とハタキさんはニコリと笑み言う、お節介って何でだ? まさか顔も知らない俺の為、なんて事はない筈・・・いや、普通に一夏さんの為か

 

 

「ふふ、その表情からして意図を理解した様ですね? そう貴方が察した様に一夏ちゃんの為です」

 

 

ハタキさんは俺の表情を見て思考を読み言う、普通に凄いな この人

 

 

「まぁ一夏さんの為なら文句は有りませんけど、まだ疑問は残ってます。俺に何をさせるつもりですか? 」

 

 

「簡単な事です、今 箒が一夏ちゃんの着付けをしています。ただ一夏ちゃんだけが浴衣では格好がつかないので、貴方にも浴衣を着てもらいます」

 

 

俺の言葉を聞きハタキさんは笑顔のまま有無を言わせないオーラを発してくる、どんな技術だよ笑顔のまま覇気を飛ばすなんて

 

 

それから俺の返事を聞く事なくハタキさんは俺を家へ引き摺り込み、部屋の一角の和室に連れ込まれ、アッと言う間に浴衣の着付けをされてしまった

 

「これで良し、帰る時に再び此処へいらしてくださいね? 」

 

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

 

「さぁ、本番はこれからです。頑張ってきてください」

 

 

何から何までハタキさんに用意してもらった俺はハタキさんに送り出され、草履を履いて境内へ向かい、夕焼けに染まる空をバックに立つ一夏さんの姿を見て見惚れてしまう

 

いつも以上に一夏さんは綺麗だったので、なんて声を掛けようか考えていると俺の足音に気が付いたのか振り向き

 

 

「待ってたよ薫君」

 

「お待たせ」

 

 

一夏さんは嬉しそうに笑んでいたので俺も笑み言う、よし絶対に幸せにしよう。こんな可愛い彼女がいるとか俺幸せじゃないか

 

 

「浴衣、とても似合ってるよ」

 

 

「ありがとう、薫君も似合ってる」

 

 

俺が浴衣姿を褒めると一夏さんは照れたのか少し顔を赤くして、そう言ってくる。めっちゃ可愛いんですけど、やっぱり俺は幸せだ

 

 

まぁそんな感じで一旦お参りをして出店が並ぶ参道へ向かう、篠ノ之神社は この辺りでは大分大きい分類の神社らしく、出店の数も数えきれない程あるし、何より人の人数も尋常じゃないので、一夏さんと逸れたらヤバいなぁと考えていると

 

「人がいっぱいだね」

 

「そ、そうだね」

 

そんな事を言いながら一夏さんが腕を組んできて、少し驚いて彼女の顔を見ると真っ赤だったので恥ずかしいのだろうが、俺も恥ずかしい

 

でも、彼女が勇気を出してくれたのだから俺が受け入れなくてどうするって事で腕を組んだまま散策を始める

 

 

 

ラムネを飲んだり、射的をしたり、かき氷を食べたり、祭りならではの事をしたり食べたり飲んだりして目一杯楽しむ

 

 

これまでも友達と祭に来た事が有ったけど、一夏さんと過ごしている今が最高の時間だ

 

そんな訳で一夏さんとの至高の時間に浮かれていた様でガラの悪いいかにもな お兄さんと肩がぶつかってしまい

 

「痛てぇじゃねーか、どこに目つけてんだ、あぁ? 」

 

「あぁすみません」

 

「すみませんじゃねーんだよ、誠意が足りねーんじゃねーのか? あぁ? 」

 

ぶつかったのが一夏さんじゃなくて良かったと思いつつ謝って立ち去ろうとしたが、どうも俺が気に入らない様で酒気をプンプン漂わせながら俺の腕を掴んで離さないで、めっちゃキレてくる

 

よく見たら缶ビール片手に持ってるから、ぶつかった拍子に少し零れたみたいだ

 

 

「誠意、誠意ですか。 お尋ねしますが、誠意とは? 」

 

不安そうに俺の腕を強く抱く一夏さんの様子に俺は この呑んだくれへの怒りが湧いてきたので少し強めに尋ねてみる、可能なら話し合いで解決したいが、無理なら武力行使も辞さない

 

「あ? そうだなぁ〜てめぇの彼女を貸してくれよ、そーすりゃぁ許してやってもいいぜ? 」

 

と呑んだくれ が良い、一夏さんをヘラヘラ笑いながら見て言う。それを見て堪忍袋が切れて目の前の馬鹿野郎をブン殴ってやろうと思った瞬間、赤髪で長身の男性(ジークさん)が呑んだくれ の頭を掴み地面に叩き付け

 

「・・・貴様は許されない事を口にした、罪を償う機会をやろう」

 

なんかカッコいいセリフを言っているジークさんに呆気を取られてしまっていると

 

「・・・一夏を守れ、それがお前の使命だ」

 

ジークさんは俺を一瞥した後に俺の返事も聞かずに額から出血してる呑んだくれ を担ぎ上げてアッと言う間に姿を消す

 

 

「大丈夫? 一夏さん」

 

「うん、大丈夫。ありがとう」

 

色々と疑問はあるが、一夏さんが最優先と思い尋ねると一夏さんは少し苦笑して言う、ひとまず無理はしていない様子なので良かった

 

 

それにしても、ジークさんは何処から出てきたんだろう? おかしいな、聞いた話ではジークさんはドイツ出身で、忍者じゃ無かった筈なんだけど・・・

 

 

あと篠ノ之博士の身辺警護と助手が仕事だって言ってた筈だから、なんでこんな所にいたんだろう? 篠ノ之博士の指示で見回りしてたのかな?

 

 

まぁ良いか、ジークさんが見回りしてるんだったら もうさっきみたいな事は起こらないだろう、多分

 

正直、次はカッとなって言葉より先に手を出してしまうかも知れないし?

 

 





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