一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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薫君視点


2学期開始

 

 

 

「やる様になったわね!! 」

 

 

「それはどうも! まだまだ行くよ! 」

 

 

夏休みも終わり新学期の始まった9月、俺はアリーナで久しぶりに凰さんと模擬戦をしている

 

 

青龍刀と菖蒲、対物シールドが打つかり合い火花を散らしながら俺達は打ち合い続ける、まぁあまり近寄り過ぎたら衝撃砲の餌食になるから近付き過ぎない様に距離管理しなきゃいけないけど

 

 

「あたし を本気にさせてみなさい? 」

 

 

と凰さんは楽しそうに言う、その眼はまさに獲物を狙う猛獣の眼をしているが、もう慣れたので弟切草で弾幕を張り後退しながら次の手を考える

 

 

正直、青龍刀2本を器用に使って現在進行形で弾を弾いてる凰さんに勝てる手を思いつくのは難しいかもしれないけど、タダで負けるのは面白くないから頑張るか

 

 

と思っていた矢先

 

「凰、八月一日、終了の時間だ」

 

 

織斑先生のアナウスが入り、凰さんは嘘でしょ? みたいな表情をして不満そうにピットへ戻って行く背中を見て、俺も彼女とは反対側のピットへ戻ると

 

 

「お疲れ様」

 

「ありがとう」

 

 

一夏さんに出迎えられ、いつもの様に換装位置について雷切を外して貰い菖蒲を明石に手渡し打鉄改を格納し軽く伸びをする

 

 

「どうだった? 」

 

 

「ん〜・・・少しは通用する様にはなってきた、かな? 多分」

 

 

一夏さんの質問に答えて少し曖昧に返答する、実際の所 分からないんだよね、凰さんの表情を見る限りは、まだまだ余裕の様だったし もっと練習しないとなぁと思いつつ少し目線をズラすと、さっきまで緑のケモミミだけだったのが、白いケモミミが増えていて、陽炎が明石を撫でたりしていた。仲良いな

 

 

と、まぁゆっくりしている暇も無いので急いで支度を済ませ制服を着て教室へ向かいギリギリでHRに間に合った

 

 

それから1限目が始まり、9月中頃に行われる学園祭のクラスの出し物について話し合いがされる

 

 

「コスプレ喫茶はどうだ? 」

 

なんかボーデヴィッヒさんが1番槍をぶっ込んできた、元々サブカルに強かったけど夏休み中に何かあったのかな? って言うか目付きがガチ過ぎて怖いんだけど

 

 

「喫茶なら資金回収も出来るだろうし、何より我がクラスには利点が2つある」

 

 

軽く騒めくクラスメイトをよそにボーデヴィッヒさんは立ち上がり力強く演説でもするかの様に喋る

 

 

「まず、このクラスには世界でたった2人しかいない男性IS適合者が2人共いる、それ故に2人にホールを担当して貰えれば集客が間違いなく見込める」

 

 

とボーデヴィッヒさんは何かに影響されたのか熱く説明をする

 

「つぎに、軽食なら用意出来る人材がある程度揃っている。一夏は既にプロと同等の製菓技術を有しているのだから、な」

 

 

その言葉を聞き、そういえば一夏さんのお菓子美味しかったなぁと思う、ボーデヴィッヒさんは中々凄いな、このクラスの強みを理解している

 

 

まぁ当人の気持ちは別にして、だけど強みなのは間違いないしね?

 

 

「・・・衣装は私が用意出来るよ? 」

 

腕を組み思案顔だった一夏さんがボーデヴィッヒさんへ顔を向けて言うので少し意外だな と思ったが、そういえば一夏さんもボーデヴィッヒさんサイドの人間だったのを思い出して納得する

 

 

「皆もコスプレ喫茶で異論はないな? ではホールとキッチンの役割を決めよう」

 

 

一応、俺がクラス長なんだけど割と置いてきぼりにされつつボーデヴィッヒさんが中心に色々と勝手に決まってゆく

 

まぁ俺的には楽だから良いけどね

 

 

「よし、キッチンの方は任せたぞ。谷本、材料等の手配は此方で段取りしておく」

 

「任せて、ラウラ」

 

 

俺がボーっとしてる間に話が決まった様で谷本さんがボーデヴィッヒさんにサムズアップしている

 

 

「では本題へと移ろう、誰が何のコスプレをするか、だ」

 

 

とボーデヴィッヒさんはニヤリと口角を上げていう、しまった・・・ここまで来て今更無しには出来ないぞ

 

 

「とはいえ、なんでも良い訳ではない。節度は守らねばならない、なにせ学校行事だからな」

 

 

ボーデヴィッヒさんは真面目な表情のままクラスメイトに言い聞かせる様に言う

 

 

「自分で決めても良いが、面白味がないので一旦全員で衣装を紙に書いてホール担当はクジを引いていく事にしよう。そうすれば公平だ」

 

と口を挟む間もなく話は流れてゆき、山田先生を含めた人間が紙に衣装を書き込んで文字が見えない様に折り箱の中へと入れていく

 

「それでは行ってみようか八月一日」

 

「え? 俺からなの? 」

 

 

ボーデヴィッヒさんはワクワクした様子で箱を持って俺の前にやって来て言い箱を差し出されたので戸惑いつつ1枚取り開いて中身を確認して俺は口を開く

 

 

「・・・引き直しは? 」

 

「認められないな、認めていては決まるものも決まらなくなってしまうからな、で? 何を引いたんだ? 」

 

 

とボーデヴィッヒさんは軽くニヤリとしながら言う、あー絶対着たく無いの分かってて言ってるよ、はぁぁ

 

此処でゴネても仕方ないと諦めて

 

 

「・・・クラシカルメイドドレス、だよ」

 

「ほほう、お前が引いたか八月一日」

 

俺の報告にボーデヴィッヒさんがwktkして言う、あーこれはボーデヴィッヒさんが入れたヤツなんだな、うん

 

 

まぁ逆に、クラシカルメイドドレスで良かったかも知れない。下手にアニメキャラとかのコスプレに当たるよりはマシだ、多分

 

 

そう思う事にしよう、そうしよう

 

 






2学期に入りました


多分、今年中(2020)に終わらないかも知れませんw


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