一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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逃げる生徒会長

 

 

 

アレから八坂先輩とビルダーとして話に花を咲かせて、先輩が3年生で整備科に所属している事が分かった

 

とりあえず色々と情報を得れたのは良かったと思う

 

そんな訳で部室を後にして寮への帰る途中で水色の髪の少女を見つけ声を掛けようとして違和感を感じ思いとどまり観察する

 

 

水色の肩に掛かるギリギリぐらいの長さで外向きの癖がある髪、身長が推定160前後・・・うん、簪に似てるけど簪じゃないな この人

 

 

と自分の中で結論を出して一度ソックリさんから何となく遠くを見て正面を向くとソックリさんが私の目の前に微笑んで立っていた

 

おかしい、10mぐらい距離が有った筈なんだけど!?

 

と私が混乱していると

 

「こんにちは・・・いえ、もう こんばんは かしら? 初めまして、一夏ちゃん? 」

 

混乱する私を知ってか知らずか猫の様な雰囲気を纏い私の名を呼ぶ

 

 

いや、私は貴女を知らないですよ? とか考え記憶を探りつつ彼女を見る

 

ソックリさん、と言うよりは簪のお姉さん、と言った方がしっくりくる気がする

 

「え、えぇっと・・・お名前は? 」

 

やはり記憶に無いので尋ねると

 

「私は更識 楯無、このIS学園の生徒会長をしているわ。まぁそんな肩書きは捨て置いて、貴女に分かりやすい肩書きを言うなら簪ちゃんの姉よ」

 

前半部分までは猫の様な掴み所の無い油断できない人に思えたが、後半で 妹が好き過ぎる お姉ちゃんだと直感で認識した。この人は間違いなくシスコンだ

 

じゃなければIS学園生徒会長の肩書きを捨て置くとか言いださないだろう、多分

 

「その・・・簪の お姉さんが私に何か用でも? 」

 

と恐る恐る尋ねると

 

「簪ちゃんのルームメイトが どんな娘か確かめに来たの、プロフィールは読んで把握しているけれど、こうゆうのは直接会うのが1番だから」

 

と彼女はニコニコしながら答える、恐らく本音を言っているのだろうが、なんと言うか隙だらけの様で微塵も隙がない印象を受けて、少し苦手と感じる

 

とはいえルームメイトの お姉さんを邪険に扱う訳にも行かないので彼女に合わせる事にして

 

「そうですか、実際に会話をしてみてどうですか? 」

 

私は楯無さんに尋ねる

 

「ん〜そうね、貴女の過去は(おおよ)そ把握しているわ、それを踏まえて合格、と言った所かしら? あら、もう行かないと・・・簪ちゃんと仲良くしてあげて? あの子 趣味の合う友達少ないから、じゃぁ」

 

と楯無さんは自分が言いたい事だけ言って瞬きの間にいなくなり、数秒して栗色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをつけた眼鏡の先輩が鬼の形相で走ってきて

 

「あの付かぬ事をお聞きしますが、猫の様な生徒会長を見ませんでしたか? 」

 

「え? あ、はい生徒会長なら先程まで此処に居ましたが、瞬きをしてる間にいなくなってました」

 

纏う般若の様な雰囲気に反して歳下である私に丁寧に対応してくれた先輩に、ありのままを伝えると

 

「そうですか、なら まだ近くにいますね。ありがとうございます 」

 

と先輩は走り去って行く、その背中を見送りながらIS学園って色んな人がいるんだなぁと思いつつ寮への帰路を歩き、ふと先程の先輩が のほほんさん に似ていた様な気がする事に気づく

 

なんと言うか多分 お姉さんなんだろうな、多分

 

それから寮の部屋に帰ると既に簪は戻って来ていて机に向かい何か作業をしていたが、一応 声だけ掛けておく

 

「ただいま、簪」

 

「おかえり一夏」

 

声をかけると簪はカタカタとキーボードをタイピングの手を動かしたまま返事をしてくれ

 

「帰り道、変な人に絡まれたんじゃない? 」

 

と言ってくる

 

「あー・・・まぁ」

 

すぐ私は少し返答に困り曖昧に簪へ答えると

 

「・・・やっぱり、姉さんがゴメン。あの人は 少し過保護で」

 

と簪は作業を中断し私に頭を下げてくる

 

「大丈夫だよ、少し話をしただけだから、ね? 」

 

私は簪に頭を上げさせて、簪の様子を見て 今までまも似た様な事が何度も有ったのだろう と察する

 

私にも身近に1人 シスコンを拗らせてしまった人が居るから、なんとなく簪の気持ちが分かる

 

まぁ束さんの場合は、歳も離れているし 束さん自身が人の枠に収まらないから仕方ないのかも知れない、でも箒は束さんを尊敬しつつも悪癖(シスコン)を治して欲しいと言っていたっけ

 

束さんも楯無さんも美人なんだけど、なんか残念な要素がデカイなぁ

 

「えっと、そう確か楯無さんって生徒会長なんだよね? 」

 

「そうだけど、それが? 」

 

話題を変える為に簪に尋ねると彼女は首を傾げ聞き返してきたので

 

「実は楯無さんが急に居なくなって直ぐに、3年の栗色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをしていてメガネを掛けた先輩に楯無さんを知らないか? って聞かれてね? 」

 

簪は私の言葉を聞き少し天を仰ぎ見て

 

「多分、それは虚さんかな? 私達の幼馴染で姉さん付きの侍女なんだ」

 

「へぇ、虚さんか」

 

侍女、つまりはメイドだ

 

だから歳下の私にも丁寧な対応をしてくれたのだろう

 

「あ、そういえば1組に虚さんの妹で私達の幼馴染が居るんだよ? 」

 

 

と簪は少し嬉しそうに言う、ここまで来たら 疑いようも無いかも知れない、やはり のほほんさん と簪は幼馴染だろう、多分

 

世界って案外狭いのかも知れない

 





私の中ではアニメの内容をなぞりながら日常描写にチカラを入れて行きたい所存です


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