また一つ簪の事を知った翌日、八月一日 君とオルコットさんの試合まで今日を含めて4日となった
仮にも代表候補生のオルコットさんと試合をするには 余りにも時間が少ない、真っ向勝負が望ましいが専用機を受理して2日、時間にして搭乗時間が2〜3時間の八月一日 君には荷が重すぎる
かと言って、奇策を考えるにしても それを実現できる実力が彼に有るのかは未知数だ
圧倒的に優位の敵に勝てるのは、相手が非現実的にまで慢心しきっている場合か、フィクションの中だけだろう
「では織斑、作業を始めてくれ。最初は 焔 からだな」
「はい、八月一日 君、動かないでね? 」
「りょ、了解」
放課後、私達はピットで八月一日 君のバックパックユニットの試運転と換装のテストを行なっている
姉の指示に従い、私は自分の専用機 明石 を展開して、機動強化ユニット 焔 を専用コンテナから量子解凍し明石のクレーンで吊り上げて彼の纏う打鉄 改に慎重に接続させる
「ある程度まで近付いたら自動で誘導して適正位置になるのか、興味深いなぁ」
空間投影された情報を確認しながらフックを外して呟いてクレーンを格納し、彼の横に回り込み対物シールド裏のマガジンを確認して
「異常無し、織斑先生、終わりました」
「ご苦労、では八月一日、試運転の相手で山田先生がアリーナに居る、胸を借りてこい。ただ試運転で有る事を忘れて熱くなるなよ? 」
「はい」
私の言葉を聞き姉が八月一日 君に指示を出して彼は短く返事をしてカタパルトに乗って出撃して行く
その背中を見送り、私は次のユニットの準備を始めようとして、ふと姉を見てみると、少しだけ渋い表情をしていたが、今は教師として此処にいる姉に何も言わずに専用コンテナの支度を始めると
「・・・一夏、今 八月一日 が居ないから お前にだけ言っておく例の専用設備は一ヶ所だけに設置する事になった、まぁそれ自体は予想していたが、どうも国の上層部に変な思惑がある派閥があるらしい。厄介な事に、その派閥が今IS学園に圧力を掛けて お前に打鉄 改の専属整備士をさせろと要求してきた」
敢えて姉に背中を向けた状態で作業をしていると、姉は静かに話始め 私は その派閥の思惑について疑問に感じる
変な思惑とは何だろう? 私としては夢の為に経験が積めるのは有難い事だ、だが姉の表情を見る限り そんな簡単な話では無いのだろう と思い
「思惑って? 」
言い辛そうな思惑の事について尋ねてみると、姉は更に渋い表情になり
「・・・お前と八月一日が交際を経て在学中に子を成す事だ」
「はぁ?! 」
姉の言葉に思わず大きな声を出してしまい、姉の方へ向き
「いやいやいや、いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないかな? そりゃ高校生の何%かは、そうゆう事になっちゃう人がいるけど、さ? 」
あまりの衝撃に姉へ身内の言葉使いで言うと、姉は頭が痛そうにしながら
「私も阿呆な奴等だと思うが、事実なんだ」
これまで見た事の無い程、頭が痛そうな姉の言葉に軽く阿呆共へ殺意が湧いたが飲み込み
「・・・やり辛いなぁ」
元男児な私が
確かに 八月一日 君は出会って日が浅いが比較的スムーズに会話が出来ているから友人としてはいいが、彼と交際出来るか? と聞かれたら、分からない と言うのが本音だし、上層部の思惑なんて知らないしクソ喰らえ と思う
「とりあえず気をつけろ、学園内に派閥関係者が紛れ込んで居ない保証は無いし、学園の外は更に分からん。まぁ気休めになるが専属整備士として それなりに報酬が支払われるぞ? 」
本当に気休めにしかならない事を言う姉を少しだけ睨んでから再び背を向けて作業に戻り
「はぁ・・・バイト代は欲しかったけど、なんだかなぁ喜べないなぁ」
軽く憂鬱な気分になりつつ呟くと、姉が私の頭を撫でる
「ま、上層部の思惑なんて知らんしクソ喰らえだ。お前は お前のしたい事をしろ、それに最終手段になるが束に始末させれば大丈夫だろう。対価に何を要求されるか分からんがな」
と良い事を言ったと思ったら不穏な事を言い笑う、恐らく最終手段で束さんに色々と片付けさせるつもりだろう。間違いなく束さんなら証拠も残さずに完遂出来るのを私は知っている
「さて、そろそろ八月一日も戻ってくるな・・・次は雑賀の試運転だ、問題は? 」
姉は教師スイッチを入れ直して私に尋ねてくる
「データを見る限りは異常無し、あとは換装後の状態を確認すれば大丈夫です織斑先生」
姉は私の言葉に頷き、アリーナの方を向き
「ご苦労 八月一日、織斑 作業を始めてくれ」
「はい」
丁度戻って来た八月一日を労い、私に指示をだす
私は短く返事をして彼を作業区域に誘導してクレーンを展開して 焔へフックを掛けて外し専用コンテナへ入れフックを外して量子変換して雑賀を打鉄 改を装備させ、パラメーターや様々な情報に目を通して異常がないか確認し
「よし、全て異常無しです。織斑先生」
「よし、八月一日、連戦だが頑張れ。これが終われば少し休憩を入れよう」
「分かりました」
私の言葉に姉は頷き八月一日 君に指示を出し彼は短く返事をして再び出撃してゆく
とりあえずバイト代が入るなら趣味への出費も怖くないし、八月一日 君をガンプラ作りに誘うのも良いかも知れない
彼も何か気晴らしが有った方が良いだろうし?
束さん万能説←
そして一夏ちゃんは考えるのをやめたのだった