真っ直ぐ前を向き深呼吸して身体を前に軽く倒すとカタパルトが作動してピットからアリーナに吐き出され、落ち着いて姿勢制御を行い停止位置で滞空して少し上空にいるオルコットを見上げる
「待っていましたわよ、八月一日さん」
すでに自身の得物 レーザーライフルを展開して余裕に満ちた表情で俺を見下ろしオルコットは言う
「そいつはどーも、遅刻してないからセーフだろ?」
俺はアサルトライフルの
「そちらの意味ではありませんわ・・・まぁいいでしょう、提案がありますの」
俺の返答が気に入らなかったのかオルコットは軽くイラッとした表情をしてから、明らかに見下した目をして言う
「この模擬戦、代表候補生の
となんか自信満々に頭がおかしい事を言い出した
約1週間前に俺自身が言った、特に珍しくない輩 と言う言葉を撤回させてくれ、コイツはヤベー奴だ、マジで
と言うか怒りとかより呆れてしまうレベルだし、クラスメイトじゃなかったら関わりたくない、割と本気で
「断る、俺に協力してくれた人達に悪いしな。それに・・・勝つのは俺だ」
俺はオルコットに告げ焔備を構え銃口をオルコットへ向ける
「・・・そうですか、ならお望み通りボロ雑巾にして差し上げますわ!」
オルコットは不機嫌そうに言いレーザーライフルを構え銃口を向けてきた瞬間、試合開始のブザーが鳴り、俺は後退しながら対物シールドを前に出しオルコットの初劇を防ぎ、距離を開けてつつ対物シールドの隙間から焔備で牽制射をする
すると織斑さんの読み通りオルコットは距離を詰めて来ず、逆に俺から距離を取って行く
オルコットの戦闘スタイルは中遠距離からの射撃、主武装はレーザーライフルを使用し、サブにレーザービットとミサイルビットを使用する、近接用にナイフがあるらしいが使用例は無いらしい
「・・・ここまでは織斑さんの読み通り、と」
俺は織斑さんの作戦に従い地面に足を着けてオルコットから目を離さない様にしながら弾切れになった焔備をリロードする
ある程度の距離が取り、地面に足を着け焔備のリロードも終わったので作戦を次の段階へ移行する
俺は焔備をフルオートで掃射しオルコットを牽制してレーザーライフルを撃てなくさせてから焔に装備されている織斑さん製作のマイクロミサイルをフルバーストで放つ
「数が多くても私には当たりませんわよ!! 」
俺を嘲笑い、オルコットは正確にマイクロミサイルを的確に撃ち落とし、アリーナ内を白い煙が覆って行く、織斑さんの狙い通りに
そう、白く僅かに煌めく粒子が混じった煙がアリーナに充満している
「隙だらけですわよ? 」
フルバーストで隙の出来た俺へオルコットはレーザーライフルの引き金を引く、撃ち出されたレーザーは俺に直撃する前に減衰し届かなかった
「え?なぜ・・・そんな、ありえ・・・何でアンチレーザースモーク何て用意出来るのですか!! 」
オルコットは代表候補生であり、自身の得物の特性を理解しているだけあって直ぐにタネに気付き叫ぶ
「答えるわけ無いだろ? 此処からが本番だ」
俺は焔備をリロードしながら言い、焔備でミサイルビットへ照準を合わせながら銃撃しつつオルコットと距離を詰める
もちろんオルコットはレーザーライフルを撃ってくるが俺に届く前に減衰して届かないか、直撃しても大した威力じゃなかった
これが俺がオルコットに勝てる作戦だ、織斑さんが味方になってくれなかったら、オルコットの専用機 ブルーティアーズの情報なんて分からなかったし、アンチレーザースモークなんて代物の存在も知らなかった
オルコットの反応を見るに、アンチレーザースモークは簡単には用意出来る物じゃないんだな、知らなかった
織斑さん、1セット30発を3グロスぐらい焔にインストールしてくれたけど、よくよく考えたら何処から持ってきたんだろう?
とか考えつつ要所要所でマイクロミサイルをぶっ放してアンチレーザースモークを足してオルコットのレーザーを封じる
今、オルコットに出来る攻撃手段はナイフによる格闘戦かミサイルビットによる砲撃、どちらにしろ分は悪いんだろうけど
何せ打鉄 改は防御型だから硬いし、ミサイルビットを警戒して執拗にミサイルビットを狙って撃ち続けている
しかも焔備の弾はビーム兵器でもレーザー兵器でも無い実体弾だ、アンチレーザースモークの中でも減衰しないし、消耗戦前提で弾薬を積んでいて対物シールドや装甲には対レーザー蒸散塗膜加工までされている
それから1時間以上、撃ち続けてジワジワとオルコットのシールドエネルギーを削り鮮やかな勝利とは言えない勝ち方で俺はオルコットに勝利した
まんしん、だめ、ぜったい