一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

16 / 112
織斑 一夏ちゃん の 愉悦

 

 

 

オルコットさんと八月一日 君 の模擬戦を私は姉と共に管制室で見ている

 

そして私が予想した通りに事が進む

 

オルコットさんとは1週間に満たない付き合いだが、彼女が彼を見下し油断しきっている事は言うまでもない

 

それに加え、自分は代表候補生と言うプライドがあるから尚更 素人である八月一日 君に負ける訳が無いと思い込んでいる

 

私が八月一日 君に教えた事は 一定距離で戦う事、マイクロミサイルを定期的に撃つ事、絶対にオルコットさんから目を離さない事、出来る限り対物シールドを使う事、それだけ

 

彼女の性格と機体情報は分かっても彼女が格闘戦ができるか迄は分からなかったので、八月一日 君にはオルコットさん が格闘戦が出来ない前提で作戦を伝えておいた

 

ちなみにレーザーを曲げたり操作するフレキシブルと言う技術があるが、アンチレーザースモーク内では曲げようが操ろうが関係無いので、八月一日 君には存在すら伝えていない

 

 

そんな事を考えつつ模擬戦の様子を見ていて、流石に追い詰め過ぎたか? と少しだけ反省する

 

自慢のレーザー攻撃をほぼ無力化された上に、ミサイルビットを使うには集中力が必要、ミサイルはレーザー程の弾速は出ない、しかしミサイルビットを八月一日 君は執拗に狙い下手に撃てば誘爆する可能性が有って簡単には撃てない

 

そして惜しげも無くアンチレーザースモークをパカパカ撃つ八月一日 君を見て焦りと衝撃、絶望が混ざった様な表情をオルコットさんはしている

 

 

確かに万全の状態なら八月一日 君の実力ではオルコットさんに勝てなかった

 

なら補えばいい、相手が慢心しているなら足元を掬えばいい、1人で無理なら仲間を頼ればいい

 

そうして最後は勝てば問題無い、確かに姑息かも知れないし卑怯かも知れない。それでも正面から勝つ為の準備と努力をした、と私は胸を張って言える

 

 

とりあえずオルコットさんに、痛いのブッ食らわせてやれて頬が少し緩むのを姉に見られた様で

 

「・・・織斑、アレを用意したのは お前だろう? どれぐらい用意した? 」

 

軽く呆れた目をした姉が尋ねて来たので

 

「30発1セットとして3グロス程」

 

と何事もない様にサラッと言うと姉が珍しく驚いた目をして

 

「3グロス・・・つまり432セットだな? はぁ・・・流石にやり過ぎだぞ織斑」

 

そう姉は言って溜息を吐く

 

確かに途中から楽しくなって少しやり過ぎたかと思うが、後悔はしていない。だって楽しかったんだから、仕方ない

 

「それにだ、お前 打鉄 改の装甲と対物シールドにも細工してあるな? 幾らレーザーが減衰するとしても、ダメージが少なすぎる」

 

姉が打鉄 改のシールドエネルギーを見て私に問う

 

「はい、対レーザー蒸散塗料で少しだけ。流石に日数が足りなくて完全無効まで加工は出来ませんでした」

 

と言うと姉は再び溜息を吐き

 

「やり過ぎだ、確かにオルコットとの力量の差を埋める為には必要だったかも知れんが、流石にな? 」

 

そう姉は呆れた目をして私に言う

 

「すみません、楽しくなってやっちゃいました」

 

ここでテヘペロ☆としたら姉のアイアンクローかゲンコツを頂戴する事になるので我慢する

 

明石の能力を考えれば難しい作業でも無かったし、そもそも私はビルダーな訳だから、目の前に好きに出来る機体が有ればやりたくなるのは最早本能だ、仕方ない

 

それから軽く姉に説教をされ、山田先生から優しく注意をされ、模擬戦が終わる

 

「では私はピットに戻ります、バックパックユニットを外さないと」

 

そう言い管制室から出てピットに向かう、中に入ると丁度 八月一日 君が戻って来た所だったので停止位置に誘導し

 

「お疲れ様、八月一日 君」

 

明石を展開して焔にフックをかけながら彼を労う

 

「ありがとう、織斑さん。お陰で勝てた」

 

と八月一日 君は嬉しそうに言う、その言葉を聞いて私も嬉しくなる

 

焔を打鉄 改から外し専用コンテナに収め

 

「もう動いて大丈夫だよ」

 

私の言葉に彼は打鉄 改を解除し、こちらを向いて

 

「1週間、ありがとう織斑さん。なんか色々と迷惑かけてしまったよね、ごめん」

 

と彼は少し困った様な表情をしていたので

 

「全然だよ、私も楽しかったし。WIN-WINだよ八月一日 君、それに装甲と対物シールドの加工とかの作業は のほほんさん率いる有志の娘達のお陰だしね? 」

 

私は努めて笑顔で彼へ言う、この1週間 彼は全く笑顔を見せてくれず、常に真剣な表情と困った様な表情ばかりだったので、なんとなく彼には笑顔でいて欲しいと、思うようになっていた

 

「それなら良かった、ホントありがとう織斑さん」

 

そう八月一日 君は私に笑んでくれ、何故か鼓動が早くなった様な感覚を感じ

 

「うぅん、気にしないで? そ、それはそうと・・・その・・・一夏、でいいよ? ほら姉さんが担任だし、ね? 」

 

友達に名前で呼んでと言っているだけなのに、何故なら顔が熱くなってしまう。今日の私は何か変だ と思っていると

 

「う、うん。えっと、一夏さん? でいいのかな? あ、俺も薫でいいから」

 

「うん、分かったよ。薫君」

 

なんとも、ぎごちない会話になってしまった。でも私は彼とまた少し仲良くなれた、そのことは喜ばしい、なんか胸が満たされている様な気がする

 

 

 

やっぱり今日の私は何処か変だ

 

 

 






赤面いれだぞぉー!!←


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。