入学式を経て教室で頭を抱えてる影が2つ
彼は周りの視線に悩まされ、私は真横にいる彼の存在感で落ち着かない
どうも人生は上手く行かないものらしい
とはいえ、いつまでも頭を抱えていられないので頭を抱えるのを辞めて深呼吸し意識を切り替える為に自己暗示をかける
目を閉じて 私は大丈夫、私は大丈夫と自分に言い聞かせ目を開けると目の前に茶髪でツーサイドアップの子が立っていて
「大丈夫〜? 気分でも悪いの? 」
と少し間延びした喋り方で私を心配してくれた様で訪ねてくる
「え・・・あぁ、うん・・・大丈夫、です」
突然の事で軽く変な感じになってしまったが、彼女へ返答すると
「そっか〜良かった〜 あ、私 布仏 本音。よろしくね〜」
彼女は柔らかく笑み萌え袖を軽く振って言う
「わ、私は 織斑 一夏です。よろしく、です」
「じゃぁ、おりむー だねぇ」
私が名乗ると彼女はニコニコしながら、いきなり あだ名を付けてきたが、不思議と不快と思わず なんか癒される様な気がする
なるほど、これが癒し系か
「じゃぁ、貴女は のほほんさん、かな? 」
彼女の雰囲気で冷静さを取り戻していうと彼女は嬉しそうにニコニコする
それから軽く雑談をしていると始業の鐘が鳴り のほほんさん は自分の席に帰って行き、チラリ隣を見ると彼は頭を抱えて石の様になっていたが、彼には悪いが私に出来る事は無いので そっとしておく
それからすぐに先生が入って来てSHRが始まる
「皆さん、入学おめでとうございます。私は この1年1組の副担任の山田 真耶です、よろしくお願いします」
割と小柄で童顔故に制服を着て私達に混ざっていても違和感が無い山田先生の挨拶を聞く
あとでコソッと姉さんが、ちゃんと生活出来てるか聞いてみよう。同僚なら何となく分かるだろう、多分
それから山田先生の話が続き、自己紹介の時間になる
此処でミスをしてしまうと、自己紹介が事故紹介になってしまうので気をつけないといけない
かと言って気合いを入れ過ぎた自己紹介をしてもダメなので塩梅が難しい
そんなこんなで私まで順番が回って来たので立ち上がり深呼吸して
「織斑 一夏、です。整備士を目指しています、特技は家事全般と軽度工作、趣味はプラモデル製作と料理です。よろしくお願いします」
可もなく不可もない程度に自己紹介をして一部の凄まじい視線を感じつつ席に座り軽く溜息を吐き、クラスメイトの自己紹介を聞く事に気を向ける
ごめん、箒 あとで説明するから待ってて欲しい
さて、一向に自己紹介が聞こえなかったので隣を見ると彼は まだ頭を抱えていた、どうやら自分の番だと気付いていない様だ
「八月一日 君、八月一日 君? 」
「は、はい 」
彼の様子に気が付いた山田先生が彼の名を呼び、漸く顔を上げて山田先生を見る
「えっと・・・自己紹介、今 八月一日 君の番なのだけど、自己紹介して貰えるかな? ダメかな? 」
やや困り顔で前傾姿勢で彼へ言う、うん 少しあざとい・・・本人はそんなつもりは微塵も無いだろうけど
「分かりました、すみません」
彼は少し慌てた様子だったが少し深呼吸して立ち上がって、もう一度深呼吸し
「え、えー・・・
とさっきまで頭を抱えていた人間とは思えない程、しっかりとした自己紹介をして着席をする
「なかなか悪くない自己紹介だったんじゃないか、八月一日? 」
音もなく現れ彼へ言うレディーススーツの女性を見て私は思わず
「え、えぇ!? 姉さん!? なんで此処に?! 痛っっ」
と少し大きめな声で言ってしまい、軽く小突かれ
「織斑先生と呼べ馬鹿者」
と言われ、はい と返事をするとクラスメイトの8割ぐらいが姉へ黄色い悲鳴をあげる
それを聞いて姉は面倒臭そうな表情をしているので、IS学園に勤めてから毎年コレを味わっているのだろうと察しておく
「静かに、私は織斑 千冬。この1年1組の担任だ。諸君らを在学3年間で世間に出しても恥ずかしくない人材へ教育するのが私の仕事だ、まず此の1年で諸君らにはISの基礎や必須な知識、技術を徹底的に学んでもらう。分かったな? 」
と姉は自己紹介をし、再び教室が黄色い悲鳴に包まれる
やはり現役を退いて数年とはいえ、まだまだ人気は衰えていない様だ、妹として喜ぶべきか驚くべきか悩むところではあるが
「はぁ・・・では自己紹介の続きをしてくれ」
軽く面倒臭そうな表情をして姉は指示を出す
それからクラスメイトの自己紹介は滞りなく進み
「それでは全員の自己紹介も終わったのでSHRを終わります、休み時間を挟んで最初の授業がありますから準備をしておいて下さい」
と山田先生は締めて姉と共に教室を出て行く
さて、約6年ぶりの幼馴染とお話しでもしよう、幼馴染だし普通に会話出来るだろう、多分
そんな僅かな不安を抱えつつ席を立って彼女の元へ踏み出した
目標は、2000字ぐらいで書ける様になる事です
試行錯誤しながらチマチマ頑張ります