一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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突撃、お部屋訪問

 

 

 

あの後、色々と庵さんと話しをして隙を見て結婚について探りを入れてみたが、見事にはぐらかされてしまった

 

とはいえ、庵さんの口ぶりや身振りをみて思うに そう遠くない未来に結婚するかも知れない

 

そんな訳で私がIS学園へ入学した事で空いたバイト枠に入った沖田君が庵さんを呼びに来たので、私はユニコーンを大事に胸に抱いて織部模型店を後にし、実家で姉のサマースーツを回収してクリーニングへ出して帰路へつく

 

 

「ん〜、良い買い物出来たなぁ〜楽しみだなぁ〜」

 

もう人目を気にしないでスキップしながら帰りたい程、私のテンションは上がりっぱなしで、頭の中はユニコーンを組み立てる事で埋め尽くされている

 

1日では完成しないだろう、だからこそクオリティの高い物を作りたい

 

 

とはいえ、趣味にばかり目を向けてもいられない。薫君に合わせて打鉄改を調整して、思い付いた打鉄改用の追加ユニットの図面を引いて束さんに添削して貰わないといけない

 

いっそ本体から改修してクシャトリヤ化させてしまおうか・・・いや、ダメだ。薫君にファンネルを扱える適性はあっても、大火力の重装甲のクシャトリヤは彼に多大な負担をかける

 

それにエネルギーの問題も解決する必要があるだろうし、打鉄改の長所を潰すのは勿体ない

 

私が作ったユニットが倉持の目に止まれば、私の夢への近道になる可能性だってある、薫君には少し申し訳ないとは思うが 私には私の事情って事で許してくれるだろう、多分

 

 

それはそれとして、薫君に何かしてあげたい気持ちは有る。私にしか出来ない事もある、私になら出来る事がある

 

学園へ戻ったら薫君と少し話しをしよう、よくよく思えば私は薫君の事をあまり知らない事に気が付いた

 

それではダメだ、彼の専属整備士として薫君と確固たる信頼関係がなければならないと私は考えいる

 

信用出来ない人間に背中を預ける事は出来ないし、私なら御免被る

 

そして私はユニコーンを大事に胸に抱いて早足で帰路を進む、薫君との対話をする為に

 

 

小一時間でIS学園の寮まで戻ってきて部屋に入ると簪の姿は無かったので、クローゼットを開きユニコーンを慎重に置き、時計を見ると針は15時と少し過ぎた場所を指している

 

「薫君、部屋にいるかな」

 

よくよく考えると、私が急いで帰って来ても彼が出掛けている可能性がある のを失念していた

 

「・・・分の悪い賭けかなぁ」

 

少しだけ思案してから私は彼の部屋へ行く事にした、本来なら薫君に先に連絡すべきなんだろうけど、何となく改まって話しをしよう なんて何処と無く恥ずかしいから連絡せずに私は歩く

 

流石に手土産の1つでもと思って、パーツ取り用に積んであったガンプラからムラサメと購買に寄って適当な飲み物を買っておく

 

 

そんな訳で薫君の部屋に辿り着き、扉をノックすると はーい と声が聞こえて彼が扉を開ける

 

「あれ? 一夏さん、今日は出掛けるって言ってなかった? 」

 

部屋着の薫君は私を見てキョトンとして尋ねてくる

 

「少し前に帰って来たんだ、少し薫君と お話しようかな? と・・・」

 

なんか少し恥ずかしくなって彼から少し目線をズラしつつムラサメと飲み物を差し出して

 

「こ、これ お土産、よかったら」

 

「う、うん、ありがとう」

 

薫君は私から お土産を受け取り、部屋の中に招き入れてくれた。既に何度か来た事あるが、今日は妙に緊張している気がする。今日の私は何処かおかしい

 

 

「それで、話って? 打鉄改に何か不具合が? 」

 

薫君はムラサメを机に置き椅子に座って、先程渡した緑茶の蓋を開けて一口飲んでから私へ質問してくる

 

「安心して? 打鉄改には問題は無いよ」

 

と彼を安心させる為に言い

 

「ほ、ほら私って薫君の専属整備士じゃない? 操縦者と整備士には確固たる信頼関係が必要だと私は思っているんだ、自分の命を預ける訳だしね? 」

 

私が少し しどろもどろ になりながら言うと

 

「確かに、俺も信用できない人に任せられないしね。それこそ死にたくないから」

 

薫君は納得したようで頷きながら言い

 

「と言っても、俺は一夏さんの事を信用してるけどね」

 

そう薫君はニコっと笑み言い、そんな事を言われ私はかおが熱くなり、胸が満たされた気がする

 

「あ、ありがとう薫君。で、でね? よくよく考えたら私って薫君の事をあまり知らないなって思うんだ。ほら 誕生日とか趣味とか色々、話した事なかったじゃない? 」

 

彼と私が知り合って約2週間、幾度となく言葉を交わしてきたが、プライペートな話をした事が無かった

 

趣味も誕生日も家族の事も、私は何も知らない、だから私は知りたい、薫君の事を1つでも多く知りたい

 

そして私の事を知って貰いたい、そう思う

 

まぁ私は世間一般的の普通な女子高校生とはズレた存在だと自覚しているから、彼が動揺しない事を祈ろう

 

 

願わくば、彼もビルダーであります様に

 

 






さて、この辺りの設定作らなきゃ


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