薫君の事を色々と知る事が出来て少し機嫌が良くなった私は部屋に帰って打鉄改用のユニットの設計図の作成を始めた、流石に1日では終わらなかったので翌日からは昼休みと放課後を使って1週間程で原案を完成させて束さんへデータを送り添削をお願いした
まぁ合間 合間で作業をしていたから薫君の練習にも付き合っていたよ?
そんな訳で、私は部室でメビウスゼロを組み立てながら四苦八苦しながらムラサメを組み立ている薫君に手ほどきをしている、ちなみに鈴もいるけど慣れている為、黙々とザムザザーのディテールアップの為にパテを盛っている
箒も誘ったけど、こうゆうのは苦手らしく遠慮されてしまった
「えぇっと・・・d3がこれで? あ、こっちか」
結構集中しているようで薫君は真剣にムラサメを作っている、その横顔を見て何かカッコいいなぁと感じつつメビウスゼロを借り組みを進める
「あら? ごめん一夏、サンドペーパー切らしてるの忘れてたわ。1枚貸してくれない? 」
「いいよ? えーっと・・・これだね」
トレードマークのツインテールをお団子にした鈴が私に言って来たので鈴が使ってるパテを見てから、それに合ったサンドペーパーを鈴に渡す
「ありがと、一夏」
鈴はお礼を言って盛ったパテを削り始める
鈴も昔は薫君の様に・・・いや、鈴が初めてガンプラ作った時は何故かイライラして吠えていたなぁ
今では立派なビルダーになっている、そんな鈴の成長を実感して少し感動していると
「IS学園にもガンプラバトルの筐体が有れば、いつでもバトル出来るのだけど」
鈴がザムザザーを光に翳しながら削ったパテの具合を確かめつつ言う
「そうだけど、鈴みたいにビルダーとファイターの両方が出来る人はなかなか居ないんじゃない? 私はファイターよりビルダー向きだし」
メビウスゼロの借り組みを終え、全体のバランスを確認しつつ鈴へ言い
「それに、筐体は凄く高いって話だよ? 」
と続けて言う
「そうよね、あぁ〜簡易版とか出ないかしら」
鈴は再びパテを削りながら呟くと
「んん〜・・・ ガンプラバトルって何? ガンプラって動かせるの? 」
キリのいい所まで作った薫君が伸びをしてから尋ねてくる
「うん、専用の筐体が有ってガンプラをスキャンして仮想空間で動かせるんだ。 まだまだマイナーではあるし、それなりに準備に出費もあるからね。ガンプラの完成度、つまりビルダーの腕もバトルに影響がでるから」
「へぇ〜」
私の説明に薫君は興味深そうに頷く
ガンプラバトルのスキャンシステムはゲート処理や関節の可動域、パーツの剛性、表面加工など ビルダーの腕によって差が出る
例えば、薫君が作ったムラサメと私が作ったムラサメでは 私の作ったムラサメの方が扱い易く強い機体になる
と言ってもガンプラの完成度が高ければバトルに勝てる訳でもない
「バトルに影響は出るけど、素組みでバトルして勝つ人は勝つからね。ファイターの腕も重要かな? 私はファイターとしての腕は自身無いなぁ」
あくまで有利になるが、操る人がポンコツなら機体が幾ら凄かろうと負けてしまう、ガンプラバトルはなかなか面白いと思う
「一夏、アンタの場合、対戦相手を撃つ事に躊躇いがあるからよ。回避は神がかってるじゃない」
ザムザザーのパテを削り終えた鈴がザムザザーを机に置いていう
「回避が上手くても制限時間が来たら結局は引き分けで勝ててないからね? それに私は射撃の才能も無いし」
肩を竦めている鈴にそういうと
「ゲームの中でまで優し過ぎるのよアンタは、射撃だって躊躇いがあるから手首を捻る癖が付いてるだけよ」
と、ゲームして中でぐらい割り切れ(意訳)と鈴に言われてしまう
私としては、そんなつもりは無いから いつも全力で挑んでいる
「まぁいいわ、今度 織部模型店にバトルしに行きましょう? あそこには筐体あるし。八月一日 アンタも行くわよね? 」
「是非、俺も興味出てきたから行ってみたいし」
と二人のやり取りを見て、何故か胸がチクリと痛み、疑問を感じる
体調は悪くない、風邪だって もう3年は引いていないし病気の予兆もない
ならば、この胸の痛みはなんだろう? 私には分からない
「一夏さん? 大丈夫? 」
少し深く考え過ぎた様で薫君が心配した様子で私に尋ねてくる
「え? うん、大丈夫だよ、大丈夫」
努めて彼に笑顔で返答するが、彼はまだ心配そうだ
「本当に? 無理してない? 」
「八月一日、あんまりしつこいと 逆に気を使うわ。本人が大丈夫って言ってるのだから、大丈夫よ。一夏の健康に関しては あたし が保証するわ」
なんか鈴には見透かされる気持ちになる様な事を言われてしまうが、薫君は 頷く
「え、えっと・・・そう、織部模型店にバトルしに行くんだよね? なら鈴に勝てる様にムラサメを作らなきゃね? 」
「あら、それは楽しみね? あたし に勝てるかしら? 」
私の無理矢理な話題変換に鈴は乗ってくれて、鈴は余裕の表情をして薫君に言う
「やってみないと分からないぞ? 俺だってタダで負けるのは悔しいから」
薫君は鈴にあわせて挑戦的な言葉を言う
その姿を見て、やはり格好いいと感じる
何か最近の私は変だ、でも悪くない様な気もする不思議な気分だ
お待たせしました
そういえば、だいぶセシリアが出てきてないな、そろそろ出さなきゃなぁ