一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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クラス代表戦 開幕

 

 

 

私が貧血で皆に心配をかけた日から約1週間、クラス代表戦の日がやってきた

 

 

丸一日休養したおかげで次の日からは無理をしない程度に動ける様になったので薫君の練習に付き合う事が出来たので出来うる限りの準備はできたと思う

 

そんな訳で私はピットで明石を展開して打鉄改に近接戦強化ユニット 雷切へ換装している

 

「まさか、1戦目から鈴が相手とは予想してなかったなぁ」

 

 

「そうだね、でも抽選の結果だからね・・・運が悪いのか良いのか」

 

私の呟きに薫君は苦笑気味に言う

 

確かに想定はしていたが、決して確率は高くないと思っていた、まぁ4組のクラス代表である簪と初戦で当たらなかっただけマシかも知れない

 

何せ簪の専用機は打鉄の次世代機、打鉄弍式

 

他の専用機持ちとは状況が違う、簪は打鉄の良し悪しを熟知しているのだから

 

 

それに打鉄弍式のマルチロックオンミサイルは、かなり厄介な存在で薫君は対処しきれないだろう

 

何せ48発のミサイルが別々の軌道で対象へ個別に軌道を変えて飛んでくるのだから、弾幕を張ろうが完全に躱すのは難しい

 

機体相性で言えば、オルコットさんのブルーティアーズのビットで打ち落とすか明石のクラインフィールドで凌ぎ切るしか無い

 

 

「まだ鈴で良かったかも、鈴は近接格闘戦仕様だし」

 

雷切の換装を終え、薫君に言うと彼は少し複雑そうな表情をして

 

 

「俺としては代表候補生と同じ土俵で戦うから不安なんだけどね」

 

と彼は少し弱気な発言をする

 

「大丈夫だよ薫君、対鈴用の戦術は覚えたでしょ? どうにかなる筈だから」

 

 

私は彼に大型戦斧 菖蒲を渡しながら安心させる様に言う

 

実際の所、薫君が鈴に勝てる可能性は低い、だって鈴は代表候補生だしね?

 

でも決して勝てない訳ではない、勝負には絶対は無いのだから

 

「ありがとう一夏さん」

 

私から菖蒲を受け取り薫君は真面目な表情になり鈴が居る方を向き言う、その表情を見て やっぱり カッコいいな と思いながら彼の邪魔にならない様に明石を格納して彼の後ろへ移動すると、出撃の指示がアナウスせれる

 

「頑張ってくるよ一夏さん」

 

「いってらっしゃい薫君、頑張ってね」

 

カタパルトに乗りアリーナへ出撃する薫君を見送り私は彼の勝利を祈り、入り口の方に気配を感じ振り向くと、私にとって2人目の姉の様な人が相変わらず無邪気な笑みを浮かべて立っていて

 

「束さん!? なんで此処に? というか、どうやって入ってきたの?! 」

 

「やぁやぁ いーちゃん、久しぶりだね〜」

 

驚きで固まる私に束さんは、いつもの様に笑みを浮かべたまま私を抱きしめて言う

 

「元気そうで安心した、君は ちーちゃんと同じで色々と溜め込むタイプだからね」

 

少し私より背の高い束さんが抱きしめられながら私の頭を撫でて言う

 

世間では天才だの天災だの人外だのと言われている束さんだが、私からすれば少し人と違う感性を持った お姉さんでしかない

 

確かに束さんは身内にしか心を開かないし、他人と関わりを持つ事を嫌う質だけど、万人に心を開ける人間なんて皆無だと思う

 

束さんは特に利己の為に擦り寄ってくる数多の輩と遭遇してきた、だから人間不信になっても仕方ないのかも知れない

 

「ありがとう束さん」

 

束さんにお礼を言い抱きしめ返すと、彼女の肩越しに赤毛の長身の美青年が目に入る

 

相変わらず無表情で束さんの護衛をしている彼を見て、何となく安心していると、束さんは腕を解き私から離れて

 

「さて いーちゃん、君の質問に答えようかな? まずは、どうして此処に。から」

 

 

そうニコっと笑んで束さんは言うので私は頷く

 

「ちゃんと正規のルートで来たから安心して? ほら私ってIS業界では世界的VIPな訳だし」

 

と束さんはドヤ顔で言う、なるほど来賓として呼ばれた訳か

 

と言うか、ISの産みの親である束さん以上のIS業界のVIPって居ないんじゃないかな?多分

 

「次に どうやって入ってきた? だけど、普通に歩いて来たよ? まぁそもそも此処のセキュリティは私にとって有って無い様な物だしね? 」

 

少し困惑する私にさらに爆弾を落としてくる束さんに少し頭が痛くなったが、いつもの事なのでスルーする事にして

 

「来賓席に居なくて大丈夫なの? 」

 

こんな所で油を売っている束さんに少し気になった事を尋ねると

 

「ん? 良いんじゃない? 私は君達に会う為に来ただけだし、たまに外出しないと身体がカビちゃうからね」

 

そう束さんはコロコロと笑う、これは本当に最初からクラス代表戦を見るつもりが全く無く、私達に会う為だけに来たのを理解する

 

「そ、そっか、大丈夫なら良いんだけど。うん」

 

束さんって基本的に自由人だから行動を制御出来る人が少ない、もちろん私では無理なので諦めよう

 

「それじゃぁ私は そろそろ箒ちゃんに会いに行くね? 」

 

「うん、ありがとう束さん。また今度ゆっくり お茶でも」

 

ニコニコと笑みを浮かべて言う束さんに軽く手を振り言うと

 

「じゃぁ、後で今の根城の住所を送るね? じゃ〜ね〜」

 

と手を振り束さんが去って行き、その後ろをジークさんが着いて行く

 

 

そんな2人を見送りながら、箒は驚くだろうな と思う

 

ついでに姉が溜息をつきそうだ、まぁそれはいつもの事では有るのだけど

 

 





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