一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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連休 小休憩

 

 

数分も掛からずに喫茶エリアへ辿り着き薫君の姿を見つけたが、一緒にいる筈の数馬の姿が見えなかったので

 

「薫君、数馬は? 」

 

薫君に尋ねてみる

 

「あ、お疲れ様一夏さん、数馬なら誰かからメッセージが来たみたいで作業場に行ったよ? 」

 

コーヒーを飲んでいた薫君は私の質問に答え、少し不思議そうにしていたが、私はその疑問を解決出来る答えを持っていないので見なかった事にした

 

「いらっしゃいませ一夏ちゃん、いつものブレンドでいいですか? 」

 

奥の厨房から眼鏡を掛けた黒髪ロングの美少女、静さんが出てきて温和な笑みを浮かべ尋ねて来たので

 

 

「うん、ありがとう静さん」

 

私は頷きお礼を言い薫君の隣に座ると

 

「なら弾君もですね? 貴女は・・・箒ちゃんですか? お久しぶりですね」

 

と静さんはニコニコしながら弾へ尋ねブレンドを入れ始め、箒に気付き そう言う

 

「お久しぶりです静さん、約6年ぶりですね」

 

と箒も微笑み静さんへ言う

 

静さんは庵さんの実妹で少し童顔だから美少女に見えるが、ちゃんと成人していて確か今年で21・・・いや22歳になる筈

 

庵さんの実妹と言う事もあり篠ノ之道場の門下生だった時期があるので箒とも面識がある

 

「もうそんなに経ったのですね、通りで綺麗になったと思いました」

 

「い、いえ、私など」

 

静さんはニコニコして美少女になった箒を褒めると箒は照れたのか少し赤くなってアワアワする、それを見て少し可愛いなぁと思いつつ2人のやり取りから目を離し薫君を見て

 

「初めてのガンプラバトルはどうだった?」

 

 

箒にも尋ねた事を薫君にも聞いてみる

 

「そうだなぁ・・・楽しかった、凄く楽しかったよ」

 

と薫君は笑みを浮かべて言う、その様子を見て私は胸が温かくなる様な感覚を感じ満たされる

 

「そっか、楽しんで貰えたなら私も嬉しい」

 

私は笑みを浮かべて彼へ言い

 

「もう少し休憩したら次は対戦をしようと思ってるんだ、3対3か2人組を3つのチームにするか、バトルロワイアルにするかは決まって無いけど」

 

と、言ってもバトルロワイアルにはならないと思う、なぜなら今日が初めての2人がいるからチーム戦になるだろう

 

そうなると、相方が誰になるかで機体相性で連携が難しくなるかも知れない

 

 

私のエグザスストライクは中距離戦をメインに据えて遠距離と近距離に対応出来る様にしている、だから組むなら同じ中距離戦仕様機より、近距離戦機か遠距離戦機が良いので、箒のソードインパルスだろうか?

 

 

「わかった、楽しみだ」

 

私が機体相性の事を考えいると、薫君は本当に楽しみにしている表情で言う

 

 

その表情は何か新鮮で何故かドキドキして胸が熱くなる、薫君に出会ってからこんな気持ちを感じる様になったのだけど、これがなんなのかを私は知らない

 

 

そして最近よく、彼の近くに居たい と思っている、彼を支えてあげたいと考えている

 

私は、最近 変だ

 

「そういえば、入り口で織斑先生と一緒にいた人と一夏さんは知り合いみたいだったけど・・・」

 

少し考えこんでしまった私に薫君が尋ねてくる

 

「え?あ、あぁ・・・庵さんの事? えっと庵さんは、私と姉さんが6年ぐらい前まで通っていた剣道場の門下生の1人だったんだ。その剣道場は箒のお父さんがやってたんだよ? 」

 

静さんからブレンドコーヒーを受け取り一口飲んで薫君に説明をする

 

「へぇ、だから仲が良さそうなんだね」

 

なるほど、といった表情で薫君が頷くのを見て

 

「まぁね、昔から色々とお世話になってて・・・私にとっては兄の様な存在かな? まぁ順調に行けば姉さんと庵さん結婚するから義兄になるんだけど」

 

「え!? 」

 

「あら、お兄ちゃんは 漸く千冬さんにプロポーズしたんですね? これはめでたいです」

 

私の言葉に薫君は驚愕の表情を、静さんはニコニコと笑みを浮かべ2人を祝福している様だ

 

「そんなに驚く事かな?」

 

「あ、いや、織斑先生って仕事人間なイメージがあったから、ちょっと意外だったんだ」

 

私が薫君へ そう尋ねると彼は理由を答える

 

「あー確かにそうゆう質ではあるけど、姉さんは公私をキッチリ分けるタイプなんだ、見たでしょ?アレが完全にオフの姉さん」

 

薫君の言葉に納得して、姉さんがONとOFFで雰囲気が変わる事を彼に説明すると

 

「学園ではどうか知りませんが、試合の時の雰囲気と此処で寛いでいる時の雰囲気は全く違いますね。まぁ1番は お兄ちゃんといる時が肩の力を抜いている様に見えます」

 

静さんは眼鏡を外して眼鏡拭きでレンズを拭きながら私の説明に補足をすると、薫君は そうなのか という表情をする

 

「あ、今更だけど静さんは、庵さんの妹さんだよ? 」

 

と今更な紹介をすると

 

「改めて、織部 静です。よろしくお願いしますね」

 

私の言葉を聞いて静さんが自己紹介をする

 

「えっと、八月一日 薫です。よろしくお願いします」

 

静さんの自己紹介を聞いて薫君も自己紹介をすると静さんは眼鏡を装着して笑み

 

「八月一日君、一夏ちゃんをよろしくお願いしますね? 一夏ちゃんは少し抱え込むタイプなので」

 

「分かりました、任せてください」

 

割って入る間もなく静さんの言葉に即答で了承する薫君の真面目な表情を見て、嬉しいと感じるのと同時に鼓動が早くなって顔が赤くなって行くのを感じる

 

私の心臓は持つのかな?

 

 





お待たせしました


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