一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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IS実習 緑は墜落す

 

 

 

それからHRが滞りなく進み

 

「では今日は1限から2組と合同で実習だ、遅れない様にしろ。それと八月一日、お前は同じ男子のよしみでデュノアの面倒を見てやれ」

 

と姉は締めくくり山田先生と教室から出てゆき、薫君は軽くデュノア君と挨拶をして荷物を持って教室から出て行く

 

それを確認してからクラスメイトは実習の為に着替えを始める

 

「久しぶりだな一夏」

 

制服のボタンを外していると既にISスーツ姿のラウラが話しかけてきた

 

 

「久しぶり、実際に会うのは・・・2年ぶりぐらい?」

 

上着を脱いでシワにならない様に椅子に掛けつつ言うと

 

「そうだな、電話は時々していたがな」

 

制服を全て脱いで綺麗に畳み机に置く、実は制服の下にISスーツを着ていたのであとは脚部パーツを履くだけだったりする

 

「そうだね、それはそうと転入のこと、教えてくれても良かったんじゃない?」

 

脚部パーツを履きながらラウラへ抗議すると

 

 

「む? 気に入らなかったか? うむ、クレアがサプライズは喜ばれると言っていたのだが・・・」

 

と言い腕を組み首を傾げるラウラを見て、やはりクレアさんの入れ知恵かぁ と思い

 

「ラウラ、確かにクレアさんは頼れる人だけど、あんまり信用し過ぎない方が良いよ? 」

 

「しかし、クレアは博識だぞ?」

 

私の言葉にラウラは、純粋な目で私を見て言う

 

確かにクレアさんは博識だし頼れる お姉さんだ、しかし少し間違っていたりズレていたりする

 

そしてクレアさん自身、ラウラの事を考えてアレコレして悪気なんて全く無いから悪く言えないのだ

 

それからそれと無く箱入り娘のラウラへ真に受け過ぎるのはやめようと言い聞かせて実習の有るグラウンドへ一緒に向かう

 

「一夏、転入生と知り合いだったのか?」

 

音もなく私の横に現れた箒に質問されたので

 

「うん、ドイツで知り合ったんだ」

 

素直に頷き箒へ返答すると

 

「そうか・・・私は篠ノ之 箒、一夏の幼馴染だ」

 

珍しく箒が自分から初対面の人に歩み寄っている事に、あぁ箒も成長してると感動している私を他所に

 

「うむ、ラウラだ。苗字は発音が面倒だろ、名前で呼んでくれ」

 

にぱっ とラウラは笑み箒に言うと、箒の口角が僅かに上がり目尻が僅かに下がる

 

そうラウラは妹枠なのだ!!

 

「ならば、私も箒と呼んでくれ」

 

「分かった、箒」

 

箒もラウラの可愛さを理解した様なので、きっと仲良くなれる筈だ、うん

 

 

そんなこんなでグラウンドに到着すると、既に鈴が居たので合流する

 

「あら? その娘が噂の転入生の片割れ? あたし より ちっこいわね」

 

鈴は私の横に立つラウラを見て少し失礼な事を言うが、鈴と そんなに身長差は無いんだよ? だいたい2㎝程度だよ?

 

「ふん、身長(そちら)では私の負けだが、バストサイズ(こちら)では僅かに私の方が勝っている」

 

と何故かラウラが勝ち誇った表情で鈴へ言う、その様子に少しヒヤヒヤしながら見守っていると

 

「何よ、誤差の範囲程度の差でしょ? まぁ・・・後でぶっ飛ばすわ、放課後 ツラ貸しなさい」

 

「良かろう、貴様は同学年の中でも上位の様だからな。指標にさせて貰おう」

 

 

なんだろう、少年漫画みたいな展開になったぞ? とか考えていると姉がジャージ姿で現れたので整列すると始業のチャイムが鳴り授業が始まる

 

 

「それでは今日から本格的に実習を始める、実機での実習では些細なミスが怪我や事故に繋がる事もある、肝にめいじておけ! 」

 

ん〜やっぱり仕事中の姉はキリッとしていてカッコいいなぁ、実妹ながら憧れる

 

「では、実機実習に入る前にデモンストレーションをして貰う事にしよう。オルコット、凰、前へ出ろ」

 

姉は2人を呼び前に立たせる、デモンストレーションって何をさせるつもりだろう?

 

というか、2人共 少し不満そうだなぁ

 

「さてそろそろの筈だが・・・ん? ボーデヴィッヒ、山田先生が落ちてくる止めてやれ」

 

「イエスマム」

 

列から出て安全距離を確保してラウラは自分の専用機を展開して、右手を前に出すとキリモミ状態で落ちてくる山田先生が急にビタっと空中で停止する

 

 

「AIC・・・完成していたんだ」

 

私がポツリと呟くと隣に立つ薫君が私の方を向き

 

「一夏さん、知ってるの?」

 

と尋ねてきたので

 

「少しだけなら、ISに標準装備されているPICを発展させたモノ。簡単に言うと目に見えないチカラで対象を捕まえて動きを止める機能かな?」

 

 

本当にザックリ分かりやすく薫君へ説明していると、無事に山田先生が着地し姉の横に並ぶ

 

「これでも山田先生は元代表候補生だ、腕は悪くないのだがな 少し本番に弱いタイプなんだ」

 

と言う姉の横で山田先生は少し申し訳なさそうにしている

 

「では気を取り直して、オルコット、凰には山田先生と軽く戦って貰う。あぁ2対1で気が引けるか? 安心しろ、今のお前達では山田先生に直ぐ落とされる」

 

と姉は2人を煽る、少し心配になって山田先生を見ると 先程と違い目付きが変わっていて、いつものオドオドとした雰囲気では無くなっていた

 

「では残りの者は防護壁の裏へ移動しろ流れ弾に当たれば怪我で済まんしな」

 

と姉は指示を出し、私達は指示に従い移動する

 

ちなみに防護壁と言っているが透明なガラス板みたいな物で透けているからよく見えるし、ちょっとやそっとじゃ傷も着かない凄い物だ

 

 






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