一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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箒 視点


セコム集会

 

 

 

 

賑やかなIS学園の学食の一画、最奥壁際の多人数掛けの席に座り私達は各々の昼食を食べている

 

「・・・そろそろいいかしら? 」

 

中華そば の3分の2を食した鈴が神妙な表情で口を開き言う

 

「そうだな、程よく人もはけた、頃合いだろう」

 

私も自分の日替わり定食を食べ終え焙じ茶を飲んでから鈴へ言う、いつもなら一夏も私達と食事を共にしている事が多いが今は八月一日とデュノアと屋上で昼食中だ

 

だからこそ、私達は ここにいる

 

「連休・・・織部模型店へ行った あの日から一夏の様子が少しおかしい、気付いてるわよね? 」

 

中華そば を完食し お冷やを飲み鈴は 此方を見て言う

 

「無論 気付いている」

 

私達だから気付ける異変を私達は感じ取り、一夏を大切に想う者同士出来うるだけ協力している

 

今日は鈴に誘われたが、私も近い内に誘うつもりだったので丁度良かった

 

「一夏は何かを抱えこんだ、ただし千冬さんが行動していないし姉さんからも連絡は無い」

 

 

そう、一夏は何かしらを私達に知らせずに抱えている

 

 

しかもそれは千冬さんや姉さんが感知、または 出張る必要が無いモノの類いなのだろう

 

千冬さんが動けば目立つし、姉さんなら私に連絡してくれる筈だ

 

 

「そうね、と言っても八月一日絡みと私は予想しているわ」

 

鈴はコップをテーブルに置き真剣な眼で言う

 

「・・・そうだろうな、十中八九は八月一日絡みだろう」

 

あの日、私が静さんと話をしている間に私が知らない何かが有ったのは間違いない・・・とかもっともらしい事を言うまでもなく、実は察しはついている

 

 

「いや、まぁ何となく察しはついているだろう? 一夏は自覚したんだろう」

 

 

「そうね、自覚した顔してたわね」

 

 

私の言葉に鈴は呆れた様子で肩を竦め言う

 

 

そう一夏は八月一日への恋心をアノ日、自覚したのだろう 見ていれば分かる、私は一夏の隣に立って一夏に惚れた者を幾人も見てきたのだから、すぐに分かった

 

一夏は八月一日へ恋をし、そして八月一日を愛している

 

 

「あたし が言えた事ではないけど、良いの? 」

 

 

鈴は真剣な眼で私を真っ直ぐ見て尋ねてくる

 

 

「無論 良いに決まっているだろう? まぁ思う所が無いわけでもないが」

 

 

手に持つ すっかりヌルくなった焙じ茶へ目を落とし私は鈴へ答え

 

「人を愛する方法は1つでは無い、相手の幸せを願い身を引く、というのも 愛する方法の1つだと私は思う。 それに八月一日にならば一夏を大切にし幸せにしてくれるだろうしな」

 

 

「・・・そう、ね」

 

私の言葉に鈴は軽く微笑み頷く

 

私は一夏の事が好きだった、約6年前に離れ離れになってしまい二度と会えないとさえ思っていた、だから私は一夏への恋心を捨てるしかなかった

 

その代わりに私は一夏が幸せである様に願う様になっていた、隣に立てなくても構わない一夏への幸せで有れば良い、そう私は想い続ける

 

 

「は〜・・・早くくっ付かないかしらね? 」

 

 

と鈴はテーブルに頬杖をついて呆れた様子で呟く

 

 

「八月一日は鈍感では無いだろうが、色恋沙汰に疎い様だし互いに好意が伝わっていないのだろう」

 

ヌルくなった焙じ茶を一気に飲み干して鈴へ言うと

 

 

「そうね、見てて分かるわよ? でも こう・・・見ていてもどかしいのよ、分かる? 」

 

 

鈴はウニョウニョとジェスチャーをしてから台バンしそうな勢いで大袈裟な手振りをして私へ言う

 

 

「・・・気持ちは分かるが落ち着け、鈴。これは一夏 及び 八月一日の問題だ、我々外野がどうこう出来る訳でもない」

 

 

「そうだけど・・・」

 

私の言葉に鈴は不満そうに返事をする、これは当人達の問題で私達が介入していい事では無い筈だ

 

「心配しないでも、近い内に付き合い始め・・・」

 

今、私は何を言おうとした? 心配しないでも、なんだ?

 

付き合い始める? そんな簡単では無い、一夏の抱えているモノは容易く消えはしない、一夏を離してはくれない

 

 

そう普通に恋心を自覚したなら自然体であり、様子がおかしいなんて思わなかった筈だ、だが実際は様子がおかしいと異変を感じている

 

 

つまり・・・

 

「・・・前言撤回だ鈴、私の予想が正しければ一夏は八月一日へ告白は愚か交際しない可能性が高い、何かしら我々でしなければなるまい」

 

 

不思議そうな表情をしていた鈴がハッとした表情をして

 

「・・・そうよ、最近の一夏に慣れすぎてて忘れてたわ。一夏は自分より他人を優先するタイプ・・・」

 

鈴は一夏が抱えている問題に気付き、一夏の性格を考えて私と同じ事に気が付いた様だ

 

「・・・一夏は誰かを頼る事に慣れていない、だから自分の気持ちへ蓋をする事、自分を偽る事に慣れている。これは不味いぞ、非常に不味い」

 

 

どうして織斑姉妹は、抱え込むのだろう? いやまぁ千冬さんの場合は立場も責任もあるからなんだろうけども

 

とにかく早急かつ慎重に一夏にバレない様にしながら行動しなければ

 

 

「・・・よし、あたし は八月一日に発破かけてみるわ。月末ぐらいには方をつけたいわね」

 

 

完全にオカンなオーラを纏い鈴は言う、確かに月末ぐらいに方をつけておかないと一夏が潰れてしまうかも知れない

 

私は、そんな一夏を見たくはない。 これは私のエゴだ、ただの自己満足でしかない

 

だからこそ、私は一夏の為と言う免罪符を使い一夏が幸せになる様に暗躍しよう

 

 








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