一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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続 簪 視点


緊急セコム会議

 

 

ガンプラバトル予選会の打ち合わせをして数日、一夏や本音以外に特別仲の良い友達が居ない私は予想通り誰にもタッグ申し込みをされず、なおかつ申し込みもしないで金曜日の放課後を迎えた

 

元々 私は姉と違い性格は内向的で少し人付き合いが苦手だ、だから最初からタッグマッチの相方は抽選任せにするつもりだったからだ

 

そんな訳で、私はタッグマッチに向けて自身の専用機の調整をしようと整備室を借りる為に職員室へ向かう途中、後ろから現れた2人組に両脇をガッチリ掴まれて驚く、身辺警護を生業としている家に産まれた故に、それなりに訓練を小さい頃から受けた私が反応する事が出来なかったのだから

 

 

「ちょっと付き合いなさい」

 

私の右側のツインテールの美少女が私を軽く見上げて言い

 

 

「大人しく着いてきてくれ、悪い様にはせん」

 

私の左側のラストサムライみたいなポニーテールの美少女が私を軽く見下ろして言う

 

 

とりあえず本気を出せば拘束を外す事は簡単だろうけど、この2人組は自分の為ではなく、一夏の為に動いているのだろうから、無碍には出来ない

 

 

私は少し溜息を吐き

 

「分かった、でも此処では人も多い、静かな場所の方が良いんじゃない? 」

 

 

私の言葉に2人は顔を見合わせてアイコンタクトを取り軽く頷き

 

「では、移動しよう。ついて来てくれ」

 

ポニーテールの美少女(篠ノ之 箒)は拘束を外して歩き始め

 

 

「多分、すぐに終わるわ」

 

ツインテールの美少女(凰 鈴音)も拘束を外して箒の後を追う様に歩き出す

 

 

それを見て私も2人を追い歩き出す、さっさと彼女達が知りたい事を教えて打鉄弐式の調整をしたい

 

 

有る事 数分、IS学園にあるカフェエリアの一角で少し険しい表情の2人を目の前に少し居心地の悪さを感じつつアイスミルクコーヒーの入った容器を手で包みながら座っている

 

 

「・・・それで? 私になんのよう? まさかタッグマッチの相方についてでは無いでしょう? 」

 

 

アイスミルクコーヒーを一口飲んで、意を決して尋ねると

 

 

「・・・そうね、今から幾つか質問、または事実確認をさせて貰うわ。 出来るだけ明確に答えて頂戴」

 

凰 鈴音は試合の時とは、また別の強い意志を感じさせる眼で私を真っ直ぐに見据えて言う、私が静かに頷くと

 

 

「最近・・・具体的には大型連休直後頃から一夏の様子がおかしかったのは気付いていたか? 」

 

箒は私を真っ直ぐに見据え、今にも切り掛かって来そうな雰囲気を纏い尋ねてくる

 

「もちろん、何か悩みを抱えていたのは見て分かったけど、時間が解決する事もあるから暫く様子を見る事にしていたよ? 」

 

私の答えに2人は何かを察したのか感知したのか納得したのか分からないが、軽くアイコンタクトを取り軽く頷き

 

「我々は一夏の悩み解決の為に色々と下準備や根回しをして来たが、今週に入って一夏が妙にスッキリした表情をしているんだ、同室のお前なら分かると思ってな、単刀直入に・・・お前が一夏を改心させたのか」

 

 

と箒がラストサムライの様なオーラを纏って尋ねてくる、なんか怖いのだけど やっぱり余計な事だったのかも知れないと思いつつ

 

「ま、まぁ結果的には? ほら、だって側から見てたら分かるよね? 一夏は八月一日君、好きなのさ? 両思いじゃない? 」

 

箒のオーラに怖い思いしつつ言うと

 

「ナイスよ更識!! 良くやったわ!!」

 

凰 鈴音がサムズアップして私を急に褒めてきて

 

 

「あぁ、正直助かったぞ簪、良くやってくれた」

 

 

と箒も凰 鈴音の様にサムズアップしてくる、その様子に少し混乱しつつ

 

 

「つまり2人は一夏の為に暗躍してたって事かな? 」

 

と私が尋ねると

 

「そうね」

 

「そうなるな」

 

2人は隠す訳でもなくアッサリと白状する

 

「アイツは、お人好しで自分より他人を優先するタイプだから、あたし達で面倒を見てやらないと危なっかしいのよ」

 

凰 鈴音は少し呆れた様子で言い

 

 

「私達は一夏がどんな人間かを良く知っている、だからこそ一夏には自由に生き、幸せを手に入れて欲しい、それに八月一日ならば一夏を任せるに足ると思うしな? 」

 

 

と箒は先程とは違い優しい雰囲気を纏い言う

 

2人は本当に一夏の幸せを心の底から願っているのだと感じる

 

「にしても、あの2人、側から見たら両思い間違いないのに何で2人共気付かないのかしらね? 」

 

と凰 鈴音は呆れた様子で言いアイスティーを飲む

 

 

「一夏は仕方あるまい、アレは元々恋愛関係は鈍感だ。そんなヤツが恋をしただけでも成長した、と褒めるべきだ。まぁ見ていてもぞかしいのは否めないが」

 

 

箒は冷静に凰 鈴音へ言い、抹茶ラテを飲み肩を竦める

 

 

「・・・それはきっと2人共、初恋なんだよ」

 

アイスミルクコーヒーを飲み、肩を竦める箒をボンヤリ見ながら言う

 

「詳しくは話せないけど、私は織斑 一夏が此れまでどんな人生を歩んできたかを大凡知っている。だから一夏にとって、八月一日君への恋が初恋と私は知っている、だから2人して気付かないんだ。まぁ・・・時期に一夏は八月一日君へ告白すると思うよ? 」

 

私の言葉に2人は成る程、みたいな表情をする

 

 

「それじゃ、あたし は八月一日に発破を」

 

「私は、手配したスケットへ状況修正を伝え作戦変更させる。簪、すまないな時間を取らせた、この埋め合わせはいつか」

 

と2人は言うが早いか席を立ちカフェエリアから姿を消す

 

 

「・・・実は知ってるのは一夏の事だけじゃないんだけどね? 」

 

 

誰に向けた言葉では無い事を呟きアイスミルクコーヒーを飲む、これを飲んだら打鉄弍式の調整へ行こう

 

 

 

 






お待たせしました


第二回セコム会議でしたw


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