一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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放課後の一夏、ルームメイトとの邂逅

 

 

 

一旦煩悩を放棄して5時間目と6時間目の授業を真面目に受けて帰りのSHRの時間になり

 

「では今日はこれで終わりだ、八月一日は帰り仕度が済んだら職員室に来てくれ、解散」

 

姉は そう締めくくり山田先生と教室を出ていく、それを見送り一旦放棄していた考え事をする

 

入学初日で私は部活に所属していないので比較的時間に融通が利く、なので購買に寄って必要物資の有無を確認して寮の部屋に行き荷解きと同室の娘に挨拶をして、夕食まで百式の組み立ての続きをしよう

 

 

と自分の中で計画を立てて、帰り支度を始めると

 

「一夏、私は剣道部に入部しようと思っているが、これから一緒にどうだ? 」

 

教科書を通学鞄に詰め込んでいると箒が私を誘ってくる

 

「ん〜・・・この後、寮に行って荷解きして姉さんの部屋に行こうと考えてるから今日は遠慮しとくよ。それに暫く剣道してないし・・・」

 

そう言うと箒は少し残念そうな表情をして

 

「そうか、久しぶりに お前と剣を交えたかったが仕方ないな。気が向いたら相手をしてくれ、ではな」

 

「うん、ありがと」

 

そう言う箒に小さく手を振り見送り教科書を詰め終え席から立ち上がると

 

「ねぇねぇ おりむー しののん と仲良さそうだねぇ? 」

 

癒し系の雰囲気を振りまきながら のほほんさん が話しかけてきたので

 

 

「えっと、箒の事だよね? 箒とは幼馴染なんだ、昔 姉さんと通ってた剣道場の娘なんだ箒」

 

と のほほんさん に説明すると

 

「おぉ〜そうなんだぁ、私も幼馴染が4組にいるんだぁ」

 

なんか嬉しそうに、にっこにこ して のほほんさん は言う

 

なんか癒される、妹に欲しい

 

「そうなんだ、機会があれば紹介してくれる? 」

 

「いいよ〜、皆んな仲良しで皆んなハッピーだぁ〜」

 

のほほんさん は、ちょっと独特の感性を持っている様で私の言葉足らずの返答を気にせずに言う、少なくとも のほほんさん は3時間目の一件の事を気にしていない様だ、良かった

 

「私、購買に寄ってく予定だからこれで。また明日」

 

「また明日〜」

 

小さく手を振ると のほほんさん は萌え袖をブンブン振って見送ってくれる、うん やはり妹に欲しい、癒される

 

教科書で物凄く重い通学鞄を持って教室を出て購買へ向かう、IS学園は全寮制の学校なので生活に必要な多種多様な物が売られていて、ゴミ袋も有ったので良かった

 

とりあえず一通り見てからゴミ袋とペットボトルの お茶を購入して寮へと向かう

 

その道中、5月になったら姉さんの夏用のスーツを実家に取りに行かないとなぁ とか考えつつ、ついでに弾の所に顔を出してみようか とか考える

 

そんな感じで最早鈍器として使えそうな通学鞄と戦いつつ寮へ辿り着き、先日郵送されて来た鍵をポケットから取り出し解錠して入室して学園指定の段ボールが2つと自分のボストンバッグが有るのを視認し、2つ並んだ勉強机を確認すると既に同室の娘は荷解きを終えているのを認識し、空いている手前の勉強机に通学鞄と手荷物を置き椅子に座ってペットボトルのお茶を飲んで一息つく

 

「よし、面倒な事は早急に終わらせよう」

 

と気合いを入れて荷解きを始める

 

開封して1番上の物を見て片方を勉強机の下に押し込み、もう片方の荷物とボストンバッグの中身をクローゼットに整えていれて通学鞄から教科書を取り出して勉強机の本棚に綺麗に並べる、荷物自体は それ程多くなかったので直ぐに終わり、机の荷物を一旦退かし下に入れた段ボールの荷物の中身を並べる

 

「えーっと・・・良かった全部有る」

 

未開封のガンプラとプラモ用の工具や その他一式が揃っているのを確認し安心する

 

「あー・・・コレ少なくなってたの忘れてた」

 

塗料の入った容器を持って、百式には塗らない色だから買い足すのを後回しにしていたのを思い出し独り言を呟く

 

流石に購買にプラモ用の塗料は売っていないので週末にでも買いに行こうと決め、作業用のエプロンを取り出して椅子に掛けて制服から汚れても大丈夫な部屋着に着替えエプロンをして勉強机に作業用マットを敷き百式の素組みの続きを始める

 

 

そして百式の素組みが殆ど終わった頃、扉の開く音に気付き扉の方を見ると水色の髪をした儚げな少女が私を見て戸惑いの表情をしていた

 

「あ、えーっと・・・はじめまして、私は 織斑 一夏。ごめんなさい、こんな格好で」

 

前もって腹をくくっていたお陰で比較的スムーズに挨拶が出来た と安心しつつ彼女を見ていると

 

「え、うぅん、大丈夫。流石に同室の子が初日からプラモデル作ってるのは驚いたけど・・・あ、私は更識 簪。苗字で呼ばれるのは好きじゃないから、簪って呼んで欲しい。よろしくね? 織斑さん」

 

と彼女は そう言い扉を閉める

 

「うん、よろしく簪さん。私の事は一夏で良いよ? ほら この学園に織斑は2人いるし」

 

そう言うと彼女は私の後ろを通り奥側の勉強机にに 荷物を置き

 

「呼び捨てで良い、同じ部屋で過ごすから、その・・・あまり畏まらなくていい」

 

と、軽く恥ずかしそうに彼女が言ったので

 

「じゃぁ、私も呼び捨てで。よろしくね簪」

 

「うん、よろしく一夏」

 

私が笑んで言うと簪も笑みを浮かべ言う

 

多分、私と簪は趣味が合うと思う、勉強机に並ぶ彼女の私物にニチアサとか勇者王的なアニメのDVDが並んでいるのが見えたし、百式を作ってる私を見て変な目をしていなかったから

 

 

そんな感じで私達の邂逅はスムーズに済み、ふと時計を見ると帰って来てから2時間程経っていた事に気づく

 

なので、ひとまず百式の素組みを終わらせてしまう事にした

 

そして、姉さんの部屋掃除に向けて気合いを貯めよう、そうしよう

 

 





千冬さんの部屋掃除まで書くつもりが、思ったより書けたので次回に持ち越します


少し悩んだのですが、同室は簪にしました

一応、箒と 八月一日 君 も候補でした


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