一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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続続 ラウラ 視点


タッグマッチ戦 開戦 後 に

 

 

右に左にドラグーンによるビーム攻撃を避ける事 約10分、八月一日は私の(ハンデ)に気付いた様で積極的に眼帯で塞がっている左眼側(しかく)を狙ってくる

 

 

『予想よりよくやる、死角と分かっていても左側を狙わない甘い奴と思っていたが、予想外だな』

 

 

「勝つ為に全力を尽くす、悪くない」

 

 

少し面白そうに言うマリーに答えつつ、ビームを躱してチェインガンで反撃をしながら次の手を考える

 

このまま射撃戦をしても良いが、箒が持つかが分からないし、シャルルが何か隠し球を持っている可能性も有る

 

何より八月一日が、まだ4機しかドラグーンを操っていないのも気になる、シラヌイならば全7機のはず

 

それなのに4機までしか使っていない、単に7機同時に操れないだけなのか、または何か思惑があるのか、まだ計れない

 

 

「とはいえ、間合いを詰めればドラグーンも使い難いだろう」

 

左右にフェイントを織り混ぜながら八月一日に突貫してシールドチャージをかます

 

「くっっ・・・ボーデヴィッヒさんって冷静沈着の割に無茶苦茶するね!」

 

 

対物シールドで防御した八月一日が軽くクレームをていしてくる

 

 

「使える手を思考して試しているだけだ」

 

フォルケイトソードで追撃を放つが、もう1枚の対物シールドで防がれてしまい

 

「なら、俺もそうさせて貰うよ」

 

対物シールドで死角になっていた空間からアカツキのビームライフル(ヒャクライ)の銃口が出て来て、反射的に身体を捩りビームを躱すが隙を突かれてドラグーンからのビームに当たってしまうがダメージ的には軽症なので一先ず間合いを開けて回避に専念する事にし、チェインガンを撃ちながら後退し次を考える

 

 

『流石は防御型がベースなだけある、硬い』

 

「確かにな、八月一日は操作技術に関してなら素人に毛が生えた程度だが、対物シールドの扱いだけなら代表候補生に勝るかも知れん、八月一日と打鉄改の相性は良いし、シラヌイとの相性も悪くない」

 

 

打鉄改は防御型の打鉄の後継機、打鉄の特徴である堅牢さに状況によって対応できるバックパックユニットを換装する機能を付けた物だ

 

バックパックユニットを装備していない素の状態は打鉄同様、足が少し遅い部類だ しかし八月一日は目が良いらしい、避ける所は避け受ける所は受けている

 

 

そしてAICによる慣性停止の効き目が薄いビーム攻撃、一夏のサポートは万端と言うわけだ

 

 

『ララ、一夏は張り切りすぎじゃないか?』

 

「そうだな、やはり一夏が味方で無かったのが痛手だな」

 

 

マリーと言葉を交わしながら狙いを絞らせない為に動きまわり、チェインガンで八月一日を牽制しながら手を考える

 

 

「箒、手荒くなるがしっかり着地してくれ」

 

 

「うおっっ?! 承知した」

 

シャルルと鍔迫り合いをしていた箒をドラグーンが狙っているのに気付きワイヤーブレードを箒の胴に巻き付け後方へブン投げ空中で離し言うと箒は着地する前に体勢を整えてサンライズ立ちで着地し、そのままズザザーと少し滑って停止する

 

『ララ、あの着地の仕方はカッコいいな』

 

「そうだな、今度やってみよう」

 

マリーの言葉に頷き、機会が有ればやってみようと計画する、やはりサンライズ立ちはロマンだからな

 

 

『それはそうとして、想定より時間が掛かっているな』

 

「仕方あるまい、まさかこの短期間でビーム兵器をここまで用意しているとは想定していなかったし、八月一日が防御に重点を置いた訓練をしているとはな」

 

 

そうこれは私の見込みが甘かった と言わざるえない、まさか対レーゲン武装を2種類も用意出来ているとは、可能性は考えたが低いと考えていた

 

とはいえ、やりようが無い訳でもない

 

「マリー、仕掛けるぞ」

 

『承知した、武の悪い賭けは嫌いではない』

 

マリーは私が何をするつもりか分かった様で肩を竦めながら笑い言う

 

 

私はAICを使用する為に八月一日へシェルツェンをブン投げて間合いを詰めフォルケイトソードを振り下ろし右手を前に出してAICを使用し

 

「箒!!」

 

「あぁ」

 

私の呼び掛けに箒は答え八月一日を斬りつけた瞬間、私の左側(しかく)からショットガン銃口が見え顔面に衝撃が走り一瞬視界を奪われてしまう

 

咄嗟に後退するが、シャルルは間合いを開けさせてはくれずにピッタリと追い縋ってくる

 

「くっっ不味いな」

 

「逃がさないよ!」

 

 

試合だが思わずキュンとしそうになり隙をつかれ

 

「突貫!!!」

 

シャルルのパイルバンカー(グレースケール)が私の胴体へクリンヒットしアリーナの壁に叩きつけられた挙句、シャルルに容赦無くグレースケールを連続で叩き込まれてシールドエネルギーがみるみる減ってゆく

 

 

「私は・・・負けられない、まだ負ける訳には」

 

 

私は、戦う為に産まれ そして育てられた、私は兵士として優秀だった、ISの登場で兵士からIS搭乗者という立場に変わったが私は上の命令に従う人形でしか無かった

 

毎日訓練漬け、余暇など知らないただの生きた人形、娯楽など何も知らなかった、だからただ強く より強く さらに強くなる為に鍛錬をし続ける毎日を過ごしていた ある日、私は訓練中の事故で左眼を負傷してしまい左眼の視力の殆どを失ってしまった

 

 

育成機関でトップだった私は左側の死角と言う大きなハンデを背負い、トップを維持出来なくなってしまった、失意の底に居た私を救ってくれたのが一夏と教官だ

 

教官はIS技術を始めとした視界に頼る事の無い戦い方を、一夏は誘拐され自身も辛い筈なのに私を心配し私の心を救ってくれた

 

だから私は、まだ負けられない

 

 

『汝、チカラを欲するか?』

 

「寄こせチカラをシュヴァルツェア・レーゲン、全部寄こせ」

 

 

いつか振りに至極真面目なマリーの声に私は答えると機体の各所の装甲が開く、シャルルは異変に気付き距離を取り此方を警戒している

 

 

『良かろう、くれてやる。ただし10分も持たんと思え』

 

「10分有れば充分だ」

 

フォルケイトソードを軽く横に振りマリーへ言うと青い炎の様なモノが装甲が開いた場所から吹き出し機関が唸りを上げる

 

 

一気に方をつけなければ、自滅して終わりだ、少なくとも八月一日を見極めなければならない

 

 

 





お待たせしました


少し無理矢理な展開になってしまいましたが、お許しください


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