一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

63 / 112

薫君 視点


タッグマッチ戦 試練

 

 

 

試合が始まった十数分、俺はシャルのおかげで どうにかボーデヴィッヒさんと篠ノ之さんのペアと戦えている

 

 

シャルが篠ノ之さんを引き付けた上で俺のサポートまでやってくれていなければ俺はリタイヤしていたと思う

 

 

そんな事を感じながら刻々と変わる状況に対応しつつ、誰か と会話をしているボーデヴィッヒさんを注視する、彼女には一瞬の油断も許されない

 

 

不知火を装備している打鉄改の機動性は打鉄とあまり変わらないし、回避技術では代表候補生には遠く及ばない、ならばと打鉄改の防御力を発揮させる戦い方にシフトして練習してきた

 

おかげで1対1なら何とか防御が出来る様になった、まぁ防御出来る様になっただけなんだけども

 

 

俺は左眼に眼帯をしているボーデヴィッヒさんの左側(しかく)から行動するのを意識して出来るだけ時間を稼ぐ、俺とボーデヴィッヒさんでは練度の差があり過ぎてシュヴァルツェア・レーゲンのシールドエネルギーを削り切るのが困難だからだ

 

 

そんな綱渡りを続けていると、ボーデヴィッヒさんは愉快そうな表情で 誰か と会話を続ける

 

そういえば試合開始した時ぐらいに ふさわしい男か計らせて貰うとかなんとか言っていたけど、何に対して ふさわしい か測るのだろう?

 

 

IS搭乗者にふさわしいか、とか? なんか腑に落ちない、ボーデヴィッヒさんが いちいち そんな事を気にする人なのか、俺には分からないけど、ボーデヴィッヒさんの眼を見る限り、違う気がする

 

なら、別の何か なのだろうけど見当が付かない

 

そんな戸惑いを抱きながら試合を続けていると、シャルが一瞬の隙を突いてボーデヴィッヒさんへ深手を与える事に成功するが、直ぐに異変を察知して俺の隣まで下がってくる

 

 

「この流れは少しまずいかも」

 

「言わないでよ、僕も思ってたんだから」

 

 

シュヴァルツェア・レーゲンの装甲各所が開き、そこから青い炎の様なオーラみたいな物が吹き出している、何処かテレビで見た既視感を覚える状態になったシュヴァルツェア・レーゲンを警戒していると

 

「八月一日、手前勝手で悪いが悠長にしていられる時間がなくなってしまった、決めさせて貰う」

 

「えっ? なっっ?!」

 

ボーデヴィッヒさんが左右に ゆらりと揺れたと思ったら既に間合いを詰められていて大剣を振り下ろしていた、咄嗟に対物シールドで防ぐが衝撃までは殺しきれないので気合いで踏ん張る

 

「薫!!」

 

「させん! お前の相手は私だ!! 」

 

俺のフォローに入ろうとしたシャルに篠ノ之さんが突撃してゆき、俺達から距離を取らされてしまう

 

 

「どうした、貴様のチカラは この程度か? この程度ならば貴様に任せるのに不安が残るぞ? 」

 

「試合開始の時といい、今といい、何のことかな? 訳が分からない」

 

ギャリギャリと音を立てながら大剣と対物シールドで鍔迫り合いをしながらボーデヴィッヒさんの言葉に対して返答すると

 

 

「・・・察しが悪い様だな、全くもって度し難い」

 

俺の返答が気に入らなかった様で不機嫌そうにボーデヴィッヒさんは言い、飛び退きチェインガンを格納してレールカノンを展開してブッ放してくる

 

 

「察しが悪くて、悪かったね!! でも俺にはサッパリだよ!! 」

 

対物シールドに角度を付けて受け止めずに受け流す様に砲弾を防ぎボーデヴィッヒさんへ苦言をていする

 

「・・・そうか、分かった。ならば察しが悪い貴様に教えてやる!!」

 

再びゆらりと揺れた瞬間に間合いが詰められると思いドラグーンで迎撃するが躱され間合いを詰められて再び対物シールドと大剣の鍔迫り合いの状態になり

 

 

「貴様が一夏に相応しいか否か、だ」

 

少し怖い顔をしてボーデヴィッヒさんはプライベートチャネルで言う、俺は今言われた事に疑問を持ち

 

「なんで一夏さんが出てくるのさ? 」

 

確かにボーデヴィッヒさんと一夏さんは仲が良い、と思うが俺にはサッパリ分からない

 

「・・・本当に度し難いな貴様は、この際だ明白にしてやる。八月一日 貴様、一夏が好きだろう? もちろん異性としてだ」

 

ますます不機嫌そうな表情になった後、呆れた表情になり俺を睨む様にボーデヴィッヒさんは言う、その言葉に俺は驚き

 

「なっなっなんで? なんで知ってるの?! 」

 

と言うとボーデヴィッヒさんは溜息を吐き、哀れな生物を見るような目をして

 

 

「見ていたら分かる、気付かないのは一夏本人ぐらいだ」

 

とボーデヴィッヒさんは言い右手を突き出しAICを使い俺を捕縛し

 

 

「不安は残るものの貴様になら一夏を任せる事が出来ると思っている・・・それはそれとして、少し癪だから貴様を撃たせて貰う」

 

AICで身動き出来ない俺をボーデヴィッヒさんはレールカノンで狙い言う、今撃たれれば致命傷、と覚悟を決めた瞬間にシュヴァルツェア・レーゲンのレールカノンが吹き飛び、ボーデヴィッヒさんが舌打ちをして俺から距離を取っていく

 

「お待たせ、ギリギリだったね」

 

シャルが俺の横に立ちニコリと笑み言う

 

「ありがとう助かった、篠ノ之さんは? 」

 

「箒なら向こうでお休み中、さぁもうひと頑張りだよ」

 

 

ボーデヴィッヒさんは苦虫を噛んだ様な表情で大破したレールカノンをパージして俺達を睨む様にして立っている

 

数は此方が優勢だが、打鉄改のシールドエネルギーの残量は約3分の1ぐらい、最悪を想定してリィン・カーネーションのシールドエネルギーも同量と考えると少し厳しいだろうし、そもそもリィン・カーネーションにはビームライフル以外にシュヴァルツェア・レーゲン対策の武装がないから、俺がリタイヤした場合、かなりヤバイ

 

これは責任重大だな、まったく

 

 





お待たせしました


こんなでいかがでしょうか?


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。