一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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続 薫君 視点


タッグマッチ戦 試練 続

 

 

シャルのおかげで距離を取ったボーデヴィッヒさんと睨み合いになって数秒、再びチェインガンを展開して、左右にフェイントを入れながら彼女が突っ込んで来て、また大剣を対物シールドで受ける事になった

 

 

「ちっ・・・ダメか、まぁピッチを上げるとしよう。マリー」

 

ボーデヴィッヒさんはシャルへ右手を突き出しシャルへAICを掛けて動きを封じるのを感じてフォローに入ろうとするが、身体が微塵も動かない

 

「くっ・・・まさか・・・」

 

俺がどうにか動こうとしているのを少し愉快そうな表情をして見たボーデヴィッヒさんは

 

「一夏の事だ、レーゲンのコア意識(マリー)の事は気付いているのだろう? 察しの通り、我々は対象を別々に設定しAICが使用が可能だ」

 

 

そう言いニヤリと笑む

 

 

ボーデヴィッヒさんが負けられない様に、俺も負ける訳にはいかない

 

 

そう、俺は弱い。どう足掻いても専用機持ちの中じゃ最弱で実力は一般生徒と差なんて殆どない

 

出来る事をしてきても実力の差は短期間で埋まる筈もない、当たり前だ 俺が努力してきた時間の何倍、何十倍の時間を彼女達は努力してきたのだから

 

 

だったら最初から負ける事を受け入れるのか? 答えは否、俺は必ず負ける試合だろうと全力で挑み、勝ちにゆく

 

それがサポートをしてくれた人達へ報える唯一の方法だからだ

 

 

それに初めて好きになった人を守る力が欲しい、だから・・・

 

「俺は今度こそ負けられない」

 

「気概は良し、だが・・・AICで身動きは出来まい? 」

 

 

俺の言葉を聞きボーデヴィッヒさんは面白そうに笑いながら尋ねてくる

 

 

「それは・・・どうかな?」

 

「ちっ・・・やられた」

 

背面腰部のドラグーンを使ってボーデヴィッヒさんを撃ちAICの発動を妨害し、俺は彼女から距離を取りシャルを見て

 

「・・・シャルは拘束されたまま、か」

 

 

そう呟きボーデヴィッヒさんを真っ直ぐ見て、彼女に勝利する方法を考える

 

 

と、言っても俺単体じゃボーデヴィッヒさんに勝つのは万に一つの可能性しか無い、だが それで充分だ

 

その1万分の1を今、この時に引けばいいのだから

 

 

それに俺は1人じゃない、俺1人では勝てないならば

 

「俺1人じゃボーデヴィッヒさんに勝てない、だからチカラを貸してくれ打鉄改、頼む・・・ボーデヴィッヒさんに勝つ事で選べる未来がある・・・頼む」

 

 

俺はボーデヴィッヒさんを真っ直ぐ見据え打鉄改へ語り掛ける、打鉄改と出会ってからまだ2ヶ月ぐらい、対話も出来ていない

 

今日この時、一瞬でも打鉄改がチカラを貸してくれたなら、必ず1万分の1を引ける確信がある

 

 

「くくく・・・そんな容易くコア意識と対話出来たら苦労はせん、だが悪くない」

 

 

俺の言葉と様子を見てボーデヴィッヒさんは笑い、愉快そうに言う

 

 

頼む打鉄改、ほんの一瞬で構わない。ボーデヴィッヒさんへ一矢報いる為に、頼む

 

 

とボーデヴィッヒさんを見据えながら祈っているとヒャクライが勝手にバススロットへ格納されてゆき黒鉄色の西洋剣が右手(ききて)に収まる

 

 

その事に驚いていると

 

『君の意思、想い、覚悟、全て感じたよ。 愛する人を守るチカラを君に与えよう、盾であり剣のチカラを』

 

 

と声が聞こえて右肩に誰かが触れ、真っ直ぐにボーデヴィッヒさんを指差す腕が見える

 

 

『細かい話は後でゆっくりとするから手短にやる事を伝える、君がやる事は簡単だ。手に持つ剣をしっかり握り絞めて彼女へ振り下ろすだけ、ただそれだけ」

 

中性的なその声は、ただそれだけを言う

 

その言葉に俺は疑う余地も無く信じて黒剣の柄を両手でしっかりと握り絞め

 

「ボーデヴィッヒさん、これが多分最後の攻撃になる。小細工無しに正面から行くよ」

 

「良かろう、ならば私は それに答える他あるまい」

 

ボーデヴィッヒさんは そう言い大剣を両手で握り構える、俺は深呼吸をして黒剣を上段で構えボーデヴィッヒさんへ突貫する

 

『さぁ、振り下ろした瞬間に叫べ』

 

復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)!!! 」

 

 

俺の黒剣とボーデヴィッヒさんの大剣が交わった瞬間、俺は中性的な声・・・打鉄改の言葉に従いワンオフ・アビリティの名を叫んだ瞬間、目の前が真っ白な光に包まれ気が付いたら保健室のベッドの上だった

 

 

うん、正直なんで保健室で寝てるのか、全く分からない・・・と言うか何が起こったんだ?

 

身体を起こしベッドを降りて、ふと窓の方を見ると そこから見える景色は茜色に染まっていた

 

「え? 夕方? いや、マジで? 」

 

流石に目を疑い時計を見て時刻を確認してみたり目を擦ってみたりするが、夢でも幻でも無く現実である事を認識する

 

「・・・試合は、どうなったんだろう? 」

 

正直、願わくばボーデヴィッヒさんと相打ちになっていてくれればシャルは生き残ってるからチームとしては俺達の勝ちだろう、うん そうであって欲しい

 

 

まぁ相方が保健室に搬送されてるからシャルは2回戦に出られなかったかも知れない、そうだったらシャルには悪い事をしてしまったな

 

 

そんな事を考えながら反省をして、前を向き

 

「・・・想いを伝えよう」

 

一夏さんへ想いを伝えよう、必ず近い内に

 

 





お待たせしました


どうでしょう? 少し無理矢理過ぎましたかね?


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