一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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続 続 薫君視点


対話と説明と

 

 

 

 

一夏さんへ近い内に想いを告げる決意をし、この後は どうするべきか考える

 

 

一応 保健室に運ばれている手前、校医の先生に何も言わずに帰ってはいけないだろうから、校医の先生を待つのが最善なのか? とか考えていると

 

 

「漸くお目覚めか、マスター」

 

 

窓から射す夕日を背に、先程まで居なかった栗毛色の髪をツインテールにしたウサミミの生えた少女が立っていた

 

 

「ははは、面目ない」

 

俺は彼女に特別 驚くことはなく、彼女はそうゆう存在なのだと自然に認識し、苦笑しながら答える

 

 

「まぁ大事なくて良かったの」

 

彼女はウンウンと頷き言う

 

「打鉄改、君ならワンオフ・アビリティを使用した後の事を知っているよね? 教えてくれないか? 」

 

 

俺は彼女・・・打鉄改へ尋ねる

 

 

「そうだの、マスターはワンオフ・アビリティを使用した反動で気を失いながらもラウラ・ボーデヴィッヒと相打ちになり試合には勝利した、そして相方が行動不能状態の為、シャルル・デュノアは2戦目以降からは特例でマスターの代役を立てて試合を継続しておったぞ」

 

 

打鉄改は少し身振り手振りを交えて俺に説明してくれる

 

特例を設けてまで試合を継続させているのは少し予想外だったけど、それ程 俺達のIS起動データは貴重なんだなぁ とか考えていると

 

 

「さて・・・吾輩が態々(わざわざ)出てきた本題へ移らせて貰うぞ?マスター、本題というのは打鉄改のワンオフ・アビリティ『復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)』についてじゃ」

 

 

俺を真っ直ぐ見つめ彼女は真剣な表情で言うので俺は無言で静かに頷く

 

 

「復讐するは我にあり は端的に言うと受けたダメージを蓄積、倍加して攻撃転用するアビリティじゃ、ダメージ蓄積は常時発動型、アビリティ発動時は音声入力が必須で反動制御も必須になる、今のマスターには少々扱いが手に余るアビリティじゃが、耐え忍びひと繋ぎの勝機を掴み取ろうとするマスターにはピッタリのアビリティじゃな」

 

 

打鉄改は最後にニッコリと笑み、そう言う。俺は頷き今まで以上に防御を念頭に入れて鍛錬しようと決意する

 

 

さて、それはそれとして さっきから気になっている事があるので俺は彼女へ質問することにした

 

 

「打鉄改、君さ? 試合中の時とキャラって言うか声とか口調とか違くない? 」

 

 

俺の質問に打鉄改は腕組みし首を傾げて思考し、あぁ と手を打ち

 

 

「それは単に目覚めたばかりで人格形成の途中だったからじゃ、アレから時間はあったからの、おかげさまで形成終了しておる」

 

 

彼女はウンウンと頷き言い

 

「それでは改めて名乗ろう、吾輩の名は陽炎じゃ。打鉄改は機体名であってコア意識(わがはい)の名ではないので気を付けるのじゃぞ? 」

 

 

と彼女はフンスと胸を張り言う、確かに陽炎の言っている事は的を得ている

 

 

俺達人間は服を着るが、その服の名前が自分の名前では無い、そんな感覚だろう、多分

 

 

「よろしく陽炎、これからもよろしく」

 

 

「うむ、よろしく頼むぞマスター」

 

 

俺は陽炎へ右手を差し出すと彼女はガッシリと右手を掴み握手してくれる、その数秒後に保健室のドアが開いて陽炎はスゥゥと透ける様に消えてしまいドアの方を向くと一夏さんが立っていた

 

 

「薫君、目が覚めたんだね? 良かった」

 

一夏さんは本当に心配した表情で俺に歩み寄って来て俺の手をギュッと握って安心した様な表情をする

 

 

「心配かけて ごめん 一夏さん」

 

彼女の表情を見て、改めて守り抜くと自分に誓い、一夏さんに謝ると

 

 

「あまり無茶しちゃダメだよ? ぶっつけ本番でワンオフ・アビリティを使うのはリスクが高いんだからね? 」

 

一夏さんは眼を潤ませて そう言う、どうしよう凄い可愛いんだけど

 

「分かったよ、無茶は出来るだけしない様にする」

 

どうにか表情を繕い一夏さんへ答える、もしかしなくても今なら邪魔が入らないんじゃないか? と

 

近いうちに想いを告げるつもりだったし、それに思い立ったが吉日とも言うし?

 

 

そんな訳で俺は深呼吸して一夏さんを真っ直ぐ見据え

 

「一夏さん、伝えたい事があるんだ」

 

「・・・なにかな?」

 

 

俺の真剣な顔を見て一夏さんは俺の手を離して、真剣な表情をする

 

 

「俺、八月一日 薫は織斑 一夏さん、貴女の事が好きです。俺は他の専用機持ちより弱いし学力も平均で特筆した才能もない、でも、それでも貴女を想い守りたいと思うこの気持ちは誰にも負けるつもりはない、俺は必ず貴女を守り抜くと誓います、だから俺と付き合って貰えませんか? お願いします」

 

 

俺は真っ直ぐ一夏さんを見据えて告白をすると、一夏さんは口に手を当てて目を潤ませ少し震え

 

「はい、こんな私で良ければ よろしくお願いします」

 

一夏さんは涙を流して それを拭ってニコリと綺麗な笑みを浮かべて言う

 

 

いま、俺は一夏さんに了承を得たのか? と脳内の整理をしていると

 

 

「・・・もう良いか? 親友の恋が成就するのはめでたいが、もっと場所を考えて欲しかったな」

 

 

カーテンで仕切られたベッドの奥側からボーデヴィッヒさんが少し辛そうにしながら出てきて言う

 

「え? ちょっっボーデヴィッヒさん、居たの? え? 」

 

「はぁ・・・八月一日、少し考えれば分かる筈だぞ? 未使用のベッドはカーテン開いているしな」

 

と少し混乱している俺を呆れた様な表情で言い

 

「ともかく、一夏 おめでとう」

 

「ありがとうラウラ」

 

と2人はハグし合う、やっぱり仲が良いなぁ こうしてると姉妹に見えなくも無いかも・・・いや流石に無理があるか、黒髪と銀髪だし

 

 

と、まぁ少し想定外の事が起こったけど、俺は一夏さんと交際を始める事ができた

 

 

せめて一夏さんを守れる男になろう

 

 

 







お待たせしました


実は少し先にするパターンもありましたが、今だ!! と思い薫君に告白してもらいました

ちなみに元々の予定では一夏ちゃんが薫君に告白する予定でしたw



あと陽炎のイメージは、アズレンの陽炎です


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