一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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集合するチーム、酔い猫

 

 

 

薫君の言葉に惚れ直した後、3人で会場へ戻り ふとジークさんに説教をされていたラウラの方を見ると、ラウラが2人に増えていたので三度見していると

 

 

「その表情から察するに、八月一日さんは貴女を受け入れてくれた様ですね? 」

 

相変わらず気配が薄いクロエが死角から現れ言う

 

「うん、受け入れてくれたよ」

 

軽く笑みクロエに言うが、ラウラが増えている事が気になって仕方ない

 

「ラウラとそっくりですが、片方はシュヴァルツェア・レーゲンのコア意識のマリーですよ? 」

 

私がラウラの事が気になっている事に気付いていたクロエが説明してくれる

 

「ソックリ過ぎるんじゃない?」

 

本来なら天文学的な確率だと思う、と言っても私はISコア意識の人格形成やらなんやらのプロセスを完全に把握している訳では無いから、あくまでも予想な訳だけど

 

「ラウラとマリーは、まぁいいでしょう。それより来月の打ち合わせを始めましょう」

 

「分かった、箒と薫君を連れてくるよ」

 

 

仮にも妹と その相棒を まぁいい で片付けたクロエに苦笑しつつ2人を呼びに行き、再集合し

 

「お待たせ、クロエ」

 

私の言葉にクロエは一度頷き

 

「改めて、初めまして八月一日さん、私はクロエと申します。お久しぶりですね、箒さん」

 

相変わらずお嬢様みたいな所作で挨拶をするクロエを横目で見ていると

 

 

「八月一日 薫です、よろしくクロエ・・・さん?」

 

「久しぶりだなクロエ、何度も言うが私の事は呼び捨てで構わないぞ?」

 

 

呼び方を決めあぐねている様子の薫君と普通に返事を返す箒

 

 

「アナタ方に集まって貰ったのは他でも有りません、来月半ばにあるガンプラバトル地方予選会へ参加するに当たっての打ち合わせの為です」

 

クロエは華麗にスルーを決め、話を切り出す。 本当は私から話をするべきなのかも知れないがクロエに任せても良いかも知れない

 

「あぁ、そういえば少し前に一夏さんに誘われてエントリーシートに名前を書いたっけ? 」

 

「・・・そういえば私も書いたな、てっきり補欠だと思っていたんだが」

 

 

そーいえば、みたいな明るめな表情をする薫君とは対照的に少し渋い表情の箒が言う

 

「え? いや箒? 私はキチンと説明したよね? 確かに補欠の枠はあるけど、選手枠お願いって」

 

そう、私は箒にキチンと説明してあったのだが、彼女の中で何か勘違いがあった様だ

 

「えー勘違いも有った様ですが、この場にいる4名で予選会へ参加する事になっています。私はオペレーターに任命されましたので、よろしくお願いします」

 

クロエが頃合いを見て話を続け軽く頭を下げる

 

「私はメカニック兼任でファイターをするから安心して? 実はもうチーム用のガンプラは完成してるんだ」

 

 

と私が言うと薫君は え? と言う表情をし、箒は諦めた様な表情をする

 

 

「箒さん、諦めましょう。こうなった一夏は止められません」

 

「・・・そうだな」

 

となんか失礼な会話をクロエと箒がしているが、聞こえ無かった事にしよう

 

 

「薫君の機体はムラサメの強化型を、箒にはレッドフレームの改修機を用意してあるから、あとで2人に渡すね? 」

 

 

私の言葉に2人が頷いたのを確認しクロエを見る

 

「本当ならば直ぐに慣らしと連携確認をしたい所ではありますが、残念ながら筐体がありませんからね、それはまたの機会にしましょう。顔合わせは終わりですね、では私は お兄様を止めて来ますので」

 

 

とクロエは軽く頭を下げてジークさんの方へ歩いて行く、その背中を見送りつつ視界の端に束さんと飲み比べを始めている姉さんが見えた気がするが見えなかった事にしていると

 

 

「にぁあ マスター、このジュース美味しいにゃ」

 

私の胸ほどまでの身長をした猫耳が生えた緑髪の幼女、私の相棒の明石が やや赤い顔で黄緑色の液体が入ったコップを持ち、私の鳩尾辺りに頭をグリグリ擦り付けながら言う

 

ん〜? 明石からアルコールの匂いがしないけど、見るからに酔いが入ってるよね、うん

 

とか思いつつ明石の頭を撫でながら薫君を見ると、え? 猫耳? みたいな表情をしていたので

 

「この子は明石、ほら専用機の明石だよ」

 

「あ、あぁコア意識の子か」

 

私の説明に薫君は納得した様な表情をして言い

 

「なんか・・・酔ってる、のかな? これ 」

 

ますます猫になってる明石を見て薫君が言う

 

「みたいだね? でも明石からは お酒の匂いはしないんだ、このコップからも」

 

 

スルリと明石からコップを回収して匂いを嗅いで見るが、黄緑色の液体は甘酸っぱいフルーツの匂いがするだけでアルコールの匂いは微塵も感じないので、一口飲み

 

「ん〜・・・キウイジュース、かな? 多分」

 

「キウイジュース、かぁ」

 

味見をした結果、アルコールの味も一切しない、まごう事ないキウイジュースと判明したが、何故 明石が酔っているか疑問が深まるばかりだ

 

 

「マスター、明石のジュース返すにゃ、明石のにゃ」

 

明石はキュウイジュースが余程気に入ったのか、手を伸ばして来たのでコップを返すと両手でコップを持ちキウイジュースを飲む

 

まぁ見ていて可愛いし、良いかな? うん

 

そんな訳で明石を猫可愛がりしながら薫君と雑談を続ける事にした

 

 

 






お待たせしました


本当は打ち合わせだけで埋める予定でしたが、無理だったんで明石を出しましたw


明石が酔ってる理由はキウイジュースです、キウイってマタタビの仲間なんですってw


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