一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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姉の威厳

 

 

アレから百式の素組みを完成させて簪とルームシェアするに当たってのルールの確認をして、用事が有ると言う簪が先に部屋を出て行くのを見送り、作業用のエプロンを畳んで勉強机の端に置いて洗面台で手を洗ってから部屋を後にして食堂に行く

 

多国籍な学園だけあって多種類の料理が用意されているバイキング方式でなかなか、お金を掛けているなぁと感じつつ適当に取って比較的 人が密集していない場所で食べる

 

しっかり噛んで食べ終え姉に携帯でメッセージを送ると部屋に戻っているとの事だったので、食器を片付けたら向かう旨を伝え食器を返却口に持って行くと制服姿の箒と遭遇した

 

「ん? 一夏か、奇遇だな」

 

「そうだね、箒」

 

幾ら同じ学園の寮に居ても同じ時間帯で食事に来て同じ様なタイミングで食器を返却するのは中々にタイミングが合っていると思いクスリと笑う

 

「今から時間あるか? 色々と積もる話も有るのだが・・・」

 

と控えめに箒が尋ねてきたので

 

「あー・・・ごめん、今から姉さんの部屋に行くつもりなんだ。多分 腐海にはなってないと思うけど・・・多分」

 

私が軽く目を伏せて言うと箒は察した様で

 

「そ、そうか・・・よし、私も手伝おう。2人より3人でやれば その分早く終わる筈だ」

 

と箒は言って歩み始める、私は箒を追って歩き出し

 

「それは悪いよ箒」

 

少し困りながら箒に言うと

 

「気にするな、幼馴染だろう? 」

 

なんか箒が本物の武士に見えてきてカッコイイと感じ

 

「ありがとう箒」

 

それから一旦部屋に戻りゴミ袋を回収して姉の部屋へ行き扉をノックすると、ジャージ姿の姉が現れ

 

「・・・なんで箒まで」

 

少し気まずそうな表情をして言う姉に

 

「たまたま食堂で会って、話をしたら助っ人してくれるって」

 

私の言葉を聞き姉は観念したのか首を回しながら部屋に引っ込んで行き、私と箒も部屋の中に入る

 

一応、姉の威厳の為に部屋の扉を閉めてゴミ袋を広げ

 

「予想より幾分かマシだね、始めよう! 」

 

ひとまず私は散らかっている書類を拾い纏めてから姉に渡し床にスペースを作り、落ちている缶ビールの空き缶を不燃物の袋にいれ、箒がクイックルワイパーで床掃除をして行く

 

それから予想したより時間は掛からず掃除が終わったので溜まった洗濯物を見て、ランドリー室と何回か往復する必要がありそうだな と思いつつ洗濯カゴから溢れた洗濯物から下着と色物、ブラウス等を仕分け始める

 

「ありがとう箒、おかげで1時間ぐらいで終わったよ」

 

クイックルワイパーのシートをゴミ袋に捨て袋を縛っている箒にお礼を言うと

 

「気にするな、此処ならば聞ける話を聞くついでだからな」

 

と箒は言い真面目な表情をする、そんな箒を見て姉とアイコンタクトし

 

「・・・近い内に箒には話すつもりだったし丁度良いかな? 」

 

ひとまず仕分けの手を止めて箒を真っ直ぐに見て言い

 

「箒が聞きたい事・・・なぜ私が男から女になっているかを話すね? 」

 

「あぁ」

 

これは必要な事だ、男だった頃(昔の私)を知っている箒には話さねばならない、その上で私が元男だと口外しない様に口止めして貰わないといけない

 

性転換を可能とさせる薬品の存在が明るみに出れば、私は実験動物の様な扱いをされ、最終的にホルマリン漬け・・・なんて事もあり得る

 

 

そんなの普通に嫌だし、普通の生活をしたい

 

とはいえ、箒へ説明すると言う事は私に何が起こったのかを話す と言う事、要は忌まわしき記憶を思い出さないといけない

 

正直に言えば思い出したくも無い記憶だが、忘れる事が出来ないのだからどうしようも無い

 

「・・・何年か前に姉さんがモンドグロッソ決勝を棄権したでしょ? アレ表向きには姉さんの専用機の故障が原因って発表だったけど、実際は私が誘拐されちゃってさ、専用機に乗って私を救いに来てくれたんだ」

 

私は強姦で純潔を失う寸前で姉が監禁先の倉庫の壁をブチ破って助けに来てくれた事に安堵を覚えた事を思い出し、それと同時に強姦され掛けた恐怖を思い出す

 

まさに見せしめ、と言わんばかりに下卑た目と表情で鎖により身動き出来ない私を無理矢理・・・

 

私は恐怖により呼吸が浅くなって身体が震えている事に気付くが、自分では どうしようもない

 

「・・・箒、一夏はな、私のモンドグロッソ2連覇阻止と言う下らない理由で誘拐された挙句に、よく分からん薬を投薬されて女に性転換させられて、見せしめの為に強姦され掛けたんだ」

 

と姉はフラッシュバックで震える私を落ち着かせる為に抱きしめ、箒へ説明をする

 

そして説明を聞いた箒は、怒りを堪えている表情をしている

 

「・・・私は千冬さんが、こんな時に嘘をつかないと信じています。なので全て事実なのでしょう? 」

 

箒の声は怒りに震えていて、まさに怒髪天といった様子だった

 

そして その怒りは投薬を防げなかった姉への怒りではなく、純粋に誘拐犯への怒りだと感じる

 

「嘘ならどれ程良かったか、今は大分良くなったが今みたいにフラッシュバックが起こる時もある。私が側に居てやりたいが、な? 立場上 そうもいかん。箒、悪いが一夏を支えてやってくれ」

 

「もちろん了承です千冬さん」

 

姉の胸に収まる私には姉の表情が見えないが、きっと優しい姉の顔をしているのだろう

 

それに安心して震えは治り

 

「ありがとう姉さん、迷惑かけてゴメンね箒」

 

姉に お礼を、箒に謝罪をすると姉は無言で私の頭を撫でる

 

 

「気にするな一夏、私こそ そんな事になっていたとは知らず、すまない」

 

そう箒は言い頭を下げたので

 

「箒は悪く無いよ知らなかった訳だし、知りようもなかったし」

 

それから姉を交えて3人で勤めて明るい話をする

 

箒が剣道の全国大会で優勝した話とか

 

私がガンプラのコンテストで入賞した事とか、ドイツで出会った少し変わったお姉さんと同い年の少女の話とか

 

とにかく色々な話をした

 

 

部屋に戻ったらIS学園の部活一覧を見よう、模型部が有れば覗いてみるのも悪く無いかも知れない

 

 

 

 

 






途中で目標文字数に到達するか不安でしたが、到達して良かった


と言うわけで、漸く 初日が終わりました

次回の話はプロフを載せる予定
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