一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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地方予選 序

 

 

 

打ち合わせと慣らしをした、あの日から約2週間が経った今日この頃 私達は初夏の気配を感じながら複雑怪奇な構造をしている市民体育館へ来ている

 

 

受験の時にも来た場所だが、相変わらず迷路の様な内装で少し呆れてしまう

 

 

「本番だね? 地方予選で上位3チームに入れば本選に行けるし、貴重なガンプラも手に入るから頑張ろう」

 

と私はフードコートエリアで飲み物片手に言うと

 

 

「・・・まさか一夏、お前は その貴重なガンプラが欲しいが為に半ば無理矢理 私を連れてきた訳では無いよな? 」

 

 

今日はいつもより眼光が鋭い箒が私を睨む様に見て言う

 

 

「それも有るけど、箒とガンプラバトルしたかったのも本心だよ? 」

 

私はニコリと笑み言うと箒は溜息を吐き諦めた様な表情をし

 

「まぁいい、お前がわがままを言うのは珍しいからな、それに付き合うのも幼馴染(わたし)の務めだろう」

 

 

と、なんだか満更でも無い表情で言う

 

「ありがとう箒」

 

「構わん、お前と私の仲だろう? まぁ私より八月一日にわがままを言うんだな? その方がヤツも喜ぶだろう」

 

箒へお礼を言うと箒は珍しく揶揄う様な表情をして、そう言う

 

 

「そ、そうかな? 」

 

なんか恥ずかしくなってきたんだけど、と言うか箒にしては珍しいなホント

 

 

とか考えていると

 

「お待たせしました、無事エントリーが済みました・・・あら? 八月一日さんは? 」

 

相変わらず清楚なお嬢様の様なクロエが私達の元へ現れ尋ねてくる

 

「薫君なら お手洗いに寄ってくるって・・・あー」

 

クロエを除く私達3人は一緒に、この市民体育館へ来たのだが薫君は お手洗いに行くと言う事で集合場所を決めて一旦別れた訳だけど、別れてから時間が経ち過ぎている事に気付き、私は自分の失策を悔いる

 

「なるほど・・・これは迷いましたね? 多分」

 

クロエが肩を竦めて言う

 

「仕方あるまい、この市民体育館は複雑怪奇な構造だからな・・・下手に探しに行っても二次被害が起こる可能性が高いしな」

 

と箒が軽く頭が痛そうにしているのを見て、本当はいけないが裏技を使う事にした

 

 

「クロエ」

 

「仕方ないですね、分かりました。箒さん隣失礼します」

 

「あぁ」

 

私がクロエを呼ぶとクロエは、やれやれ と言った表情をして箒の隣に座り軽く深呼吸をする

 

「それでは暫く私は無防備になりますので箒さん、よろしくお願いしますね? 行きますよ一夏」

 

「あ、あぁ構わないが・・・」

 

状況が上手く飲み込めていない箒を横目に私は無言で頷きクロエとプライベートチャネルを繋げ視界の端にマップが表示されるのを確認し移動を始める

 

「コアネットワークを介して対象の現在位置を割り出し開始・・・終了、一夏 直進50メートル、右手の通路へ」

 

「了解」

 

私は出来る限り早足で人とぶつからない様に通路をクロエの指示通りに進む

 

 

本当は色々な手続きとかしないといけないんだけど、クロエの専用機 黒鍵は特別製だから色々とスルーして こうゆう事が出来る

 

 

まぁ明石も特別製といえば特別製だけど位置把握までは出来ない

 

それから数分で薫君の背中を発見し、声をかけようと思ったら見慣れた小柄のツインテールの親友(リン)黒髪メガネの悪友2号(カズマ)赤毛の可愛い妹分(ラン)が居て、なんか曲がり角の先を見ながらヒソヒソと話をしていたので歩み寄り

 

「何してるの?」

 

と鈴に小声で話し掛けると

 

「アレを見なさい一夏、弾が3年の先輩に逆ナンされてるのよ。アノ弾が! 」

 

 

鈴は特に私に驚く事もなく私へ状況説明をしてくるが、その内容は少し信じがたい内容だった

 

だって、弾が逆ナンされるなんて、ねぇ?

 

と言うか蘭が凄い形相でブツブツ何か高速詠唱してるんだけど大丈夫かな? 何気に蘭もブラコン気味な所あるし

 

まぁ弾は確実にシスコンだけど

 

 

そんな訳で鈴の言葉が少し信じがたかった私は曲がり角から少し顔を出して通路の先を見る

 

 

そこには見慣れた赤毛のバンダナをした悪友の姿と、のほほんさん と同じ栗毛色の髪を三つ編みにしてヘアバンドをしてメガネを掛けたよく知る先輩が居て、虚さんが弾に積極的に弾へ話掛けている様に見える風景が見える

 

「え? マジで? マジかぁ」

 

あの2人の様子を見る限り、雰囲気は悪くない様だから上手く行けば交際に発展するかも知れない

 

 

「弾にも春が来たかな? 」

 

「否定出来ないわね」

 

「悪友としては祝いたい所だな」

 

「お兄、お兄は何処の馬の骨か分からない女には渡さない・・・」

 

「あの人は確か生徒会の・・・」

 

 

若干1名怖い事を言っている様な気がするが、概ね弾の春の到来を喜ぶ言葉が聞こえる

 

あとで蘭とはお話しておこう、私の話なら聞いてくれる筈、多分

 

 

そんな訳で弾の春到来を祝っているとクロエから帰還指令が出されたので

 

「鈴、悪いけど私達行かなくちゃ、トーナメントで当たったら容赦しないから」

 

「手加減なんてしてごらんなさい?絶交よ絶交、全力で叩き潰してあげるわ」

 

 

私の言葉に鈴は挑発的な笑みを浮かべて言う、それに頷き私は薫君を連れてクロエ達のいるフードコートエリアへと戻る

 

 

よし、気持ちを切り替えて行こう。まずは1勝からだな

 

 





お待たせしました


地方予選回が始まりました、何話になるか決まって無いので、もしかしたら直ぐに終わるかもしれませんw



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