私が製作した大会用ガンプラ ユキカゼ には色々と特殊な要素が組み込んである、ベースとなっているアカツキから引き継いだヤタノカガミ、大気圏内外問わずに戦える様にしたストライカーパックのホウオウ、そしてエグザスストライクから引き継いだGNドライヴ
そのGNドライブから精製されるGN粒子を制御する機能がユキカゼには搭載されている
ユキカゼにエグザスストライクの様に対鉄血MS対策の実体装備を搭載しなかったのはチーム戦と言うのもあるし、武装の重量増加と被弾面積を減らしたかったのもあってユキカゼには主にビーム装備を搭載している
とはいえ完全に対鉄血MS対策を捨てた訳では無く、鉄血MSの特徴であるナノラミネートアーマーの特性であるビーム攻撃への耐性の意味をよく考えて対策を用意してある、そうビーム
そしてナノラミネート加工を施されているのは装甲であり、関節や装甲の隙間にはビーム耐性は無いし、装甲が無事でも内部機関は熱によりダメージが入る事になる
「GNフィールド形成・・・バレル展開・・・高濃度圧縮粒子解放・・・スターライト、ブレーイカー!! 」
キリシマの銃身が上下にスライドして展開しユキカゼの周りに黄緑色の粒子の膜が形成され、キリシマの前に緑色の球が出来上がりヒャクライ改で球を撃つとビームの本流となり撃ち出され渓谷の岩を薙ぎ払い、焼き払って行く
そう、私の用意した対策はGN粒子融合を用いた一撃必殺を旨とした必殺技、やはり過剰砲撃はロマンがあるからね、堪らない
ロマンにはデメリットも当然ある、過熱したキリシマの砲身を冷却しなきゃならないのと、もう一度使用するには長い時間 再チャージしなければならない、反動制御で足を止める必要がある事だ
「・・・前回より威力が増してませんか? 」
「うん、粒子の圧縮時間も圧縮率も量も前回より多いからね、威力も上がるよ」
地形が変わった渓谷を見下ろしながらクロエの質問に答えるとクロエは信じられない といった表情をして
「やり過ぎですよ一夏・・・はぁ・・・あの姉あって この妹なのですね、変な所でソックリですね貴女達は・・・」
軽く頭が痛そうな表情をしてクロエは言い諦めた様な口振りで言葉を続ける
「撃破数2、あと1機ですが、八月一日さんが道すがら見つけて交戦中ですから、貴女は指定座標へ移動して下さい。まぁ恐らく八月一日さんだけで大丈夫でしょうけれど」
「了解」
私はクロエの指示を聞き薫君が交戦中であろう座標に向かい移動を始め数分移動した所で推進剤が爆発した様な光が見え、バトル終了のテロップが表示される
「やはり八月一日さん1人で充分でしたね、皆さまお疲れ様でした、次のバトルまで休息を取って下さい。私は少し所用で離れますので」
クロエの言葉を聞きつつ座席に座ったまま軽く伸びをしてからヘッドセットから端子を抜きユキカゼとステータスカードを明石に格納して筐体から出る
「お疲れ様 薫君、箒」
丁度出てきた2人に声を掛けると
「お疲れ様、一夏さん、大活躍だったね」
「お疲れ様一夏、私は待機していただけだからな、特には疲れていない。次は活躍の場が有れば良いが」
微笑みながら私に返答する薫君とは対照的に箒は根が真面目過ぎるのか、あまり浮かない表情をしていたので
「箒、次は大丈夫だよ、きっと。フードコートに行こう? あそこなら中継流れてるし」
そう言い2人と共にフードコートへ向かい自販機でお茶を購入して飲みながら空間投影で映る中継を眺める
やはり去年より参加者は増えている様で、4ブロックもの組分けがされている、更に言えば この地区だけで、だ
「次はどんなガンプラが出てくるかなぁ、楽しみだなぁ」
「そうだね、俺も楽しみだな」
と薫君は私のひとり言に同調し言う、他愛無い事かも知れないが私は幸せを感じ胸がいっぱいになったのだが、視界に見覚えは無い機体だが見覚えの有る動きをする中継が映ってしまい、頭の中に警鐘が鳴り響く感覚を覚える
「・・・単機で三機を相手にしているにも関わらず余裕の有る回避と容赦の無い攻撃と動きの癖・・・まぁ私達が休みだし姉さんも休みだからなぁ、可能性は有ったっちゃあったけどなぁ」
私の考えうる最悪の敵の存在を確認してしまい軽く気分が落ち込む、そんな私に気付いた薫君が
「どうしたの一夏さん? この人が何か問題? 」
と首を傾げて尋ねてきたので
「私が大会で絶対に対戦相手にしたくない人だよ、私は彼女に全戦全敗の記録を更新し続けてるんだ、機体を変え戦術を変えメンバーを増やしたり変えたりを繰り返したのに、ね? 」
「え? 一夏さんの知り合いなの? って言うか全戦全敗って・・・」
そう私の戦績は、実を言うと そこまで悪くない、敗北回数自体は少ないからだ
そして黒星の約9割が立派過ぎる姉に付けられたモノだったりする
うん、我 姉は手加減と言うのを知らない趣味・・・否、遊びに全力を出してしまう288ヶ月児なのである
お待たせしました