一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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地方予選 玖

 

 

 

「行きましょう、オータム」

 

「あぁ、今行く」

 

ナイトメアが発する残光を見ているとスコールに名前を呼ばれたなで返事をしてレーゲンセラヴィーの後を追いながら呟く

 

 

「マドカも信念を持てる様になったな」

 

「あら、貴女には珍しく感傷的ね」

 

アタシの呟きにスコールは少し可笑しそうに言う

 

「・・・さっきマドカを引き取るって決めた日の事を、ふと思い出してさ」

 

「そう・・・」

 

アタシの言葉にスコール は それだけ言う

 

アタシもスコールも元は裏世界で仕事をしていたロクデナシだ

 

人を殺す、何かを盗む、何かを運ぶ、そんな仕事をゴマンとしてきたし、たまたま仕事で知り合ったスコールと恋仲になったりもした

 

そんなロクデナシでも自身に課したルールが有る、それは子供を巻き込まない事だ、裏表関係なく

 

そして子供を道具にする奴等を仕事に関係なくてもぶっ殺すと決めていたし、実際にバレない様に始末してきた

 

アタシとオータムが事実婚状態になって数年が経った頃、世紀の大天才 篠ノ之束がアタシ達に依頼を持って『子供を道具にする奴等を駆逐したい』と、そう言いアタシは二つ返事で依頼を受ける

 

そしてアタシ達は、その日から篠ノ之束と契約して世界各地の組織を潰して回る事になる、篠ノ之束はアタシ達に湯水の如くあらゆるバックアップを提供してくれた

 

彼女が開発したISと渡り合えるマルチフォームスーツ、武器、情報、報酬、その全てを惜しみなくアタシ達へ提供し続け

 

今、アタシ達は表向きにはIS企業として経営されている会社の社員と言う隠れ蓑、表の身分を用意してくれた

 

だからアタシは篠ノ之束に感謝している、隠れ蓑だろうが表向きの身分がある事、なによりマドカをアタシ達が引き取る事を許し、マドカの戸籍を工作してくれた事を

 

「まだそんなに経ってないけれど、もう大昔の様に感じるわね」

 

スコールはクスっと笑み言う

 

「そうだな、マドカを引き取って3年ぐらいしか経ってないんだよな」

 

アタシもスコール につられてクスっと笑う

 

マドカと暮して約3年、本当に色々とあった

 

読み書きを教え、道徳を教えて、命の価値を教え、表の世界で生きる為の全てを教えた、最初こそ大人しい人形みたいだったが今ではクソ生意気な反抗期真っ只中の元気なガキになった

 

アタシとよく喧嘩になるが、アタシはそれで良いと思っている、本音でぶつかり合ってこそ家族だと思うから

 

「さて予想だと、そろそろ見えて来るはずだけれど」

 

「頼りにしてるからな、スコール 」

 

「えぇ、任せて頂戴?」

 

いつもの様にスコール に言うと軽い調子で返事が返ってくる

 

スコール の予測は外れる事が少ないが相手チームにはクロエが居る、油断はできない

 

「スコール 、見えたぞ10時上方」

 

「こちらでも確認したわ・・・軌跡が1つ、1人足りないわね?」

 

アタシの言葉にスコールは首を傾げて言い思考し始める

 

「まぁ良いでしょう、オータム、あの機体色は織斑一夏の筈、貴女の好きにして良いわ、私は最後の1人を探すわね? 」

 

「了解だスコール、そっちは任せた」

 

アタシはルガーランスを軽く横に斬り払う様に振り織斑一夏に向かい加速する

 

「前はやられたが、今回は本気の機体だ、負けねぇぞ? 」

 

暫く直進していると此方に気づいた様でビームが飛んできたので躱しつつ反撃で此方もルガーランスで応射するが当然避けられる

 

「ん? よく見りゃアカツキベースか? つーことは・・・ビーム跳ね返すか」

 

 

少し相性が良くないかも知れないと思いつつ、スコールのレーゲンセラヴィー よりはマシと考え直して更に近寄る

 

「GN粒子出してるっぽいな、なるほど」

 

前回の敗因を考慮して冷静に分析しながら射撃戦をしつつ接近し、一気に加速してルガーランスを振り下ろすとシールドで受け止められたので

 

「会いたかったぜ、織斑一夏ぁ! 」

 

「私は会いたくなかったよ」

 

私の言葉に織斑一夏は、そう返答してきた、その声は本当に会いたくなさそうに聞こえる

 

「そう言うなよ、楽しもうぜ? 」

 

ガンガン攻めながら言うと

 

「楽しむ事は否定しないけど、ね? 」

 

と織斑一夏は言い、アタシから距離を取り腰部ビーム砲を撃って来たので躱して

 

「行け、ファング!! 」

 

「行け、ドラグーン! 」

 

アタシがファングを射出した事に気付いた織斑一夏は、すぐさまドラグーンを射出し、ファングから撃たれるビームをドラグーンとビームライフル、ビーム砲で撃ち落とす

 

「おいおい、嘘だろ? どんな目と腕してんだ」

 

目の前で信じられない光景を見て少し引きながら呟き攻撃の手を緩めない様にする、そうしなければ負けるからだ

 

「あ、でも貴女達には少し感謝しているんだ、ほんの少しだけ。あの日、貴女達が乱入してきてくれたお陰で私は自分が抱いていた気持ちに気付く事が出来た。だから、それについては、ありがとう」

 

「そりゃどーも」

 

織斑一夏は穏やかな声で、そう言う

 

そうかコイツ、色々と1ヶ月前と違う、機体が変わったとか、そんな意味じゃなく、内面が変わっている

 

何かに怯える様な雰囲気を感じない、そうか、コイツにも生涯の相方が見つかったんだな

 

そうゆうのがある奴は強いし、強くなる

 

こりゃ、勝てる可能性が低くなったな

 






お待たせしました


オータムの回でした

私の所のオータムさんは、口は悪いが子供好きのお姉さんな設定です


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