薫君達を見送った後、私は次の支度を始める
実をいうと、私は事前に薫君達がアメリカ代表と模擬戦をする事を知っていたので私は私で明石で非限定空間用の装備を製作してあったりする
もちろん今回はシャルの分も用意してある
「いーちゃん、リニアカタパルトの準備が出来たよ」
「ありがとう束さん、運搬用の外殻ユニットもありがとう」
「うぅん、気にしないで? 束さんも、その手のロマンは大好物だからさ」
お願いしていた仕事を終えた束さんが、ニコニコと笑みを浮かべて現れ作業完了の報告を口にする
それを聞き少し無理を聞いて貰ったので、お礼を言うとサムズアップして束さんはニッと笑む
「マスター、飛鳥が
少し眠た気な明石の報告を聞き無言で頷く、私の予想が正しければ使いづらい八龍では飛鳥が届く頃には被弾してプロペラントタンクが爆散している事だろう
「・・・間に合って欲しいな」
間に合ってもシステムが上手く機能する保証は無い、それでも私は薫君の為に飛鳥を送ろう
私は成功を祈りながらリニアカタパルトの射出スイッチを押し、飛び立つハヤカゼを見送る
次の瞬間に訪れた衝撃波を受け俺は海中へと落とされ、八龍のプロペラントタンクが被弾して爆散した事を認識する
幸い元々防御型の打鉄だったからか、シールドエネルギーは半分程度残っている状態ではあるが、正直今の状態は非常に不味い
何故なら素の状態の打鉄改は非常に足が遅い、更に言えば対物シールドもブースターシールドに換装されているから防御力も本来より低い
「なら、諦めるか? マスター」
半透明の陽炎が現れ俺の思考を読み尋ねてくる、答えは決まっているノーだ。断じてノー、諦めるなんてあり得ない
「ふむ、それでこそ吾輩のマスター。では行こうではないかマスター、なに時期に良い物が届く筈だ」
陽炎は満足そうに頷きシャルのいる方向を指差して意味深な事を言うが、今は そんな事を気にしている場合じゃないので気合を入れて海中から飛び出して焔備で福音へ牽制射を行う
「良かった無事だったんだね」
「なんとかね、シールドエネルギーは残り半分くらい。ユニットを失ったから機動力はお察しで」
ギリギリ光弾を避けつつ牽制射をしなからシャルへ返事をしながら次の手を考えながらシャルを見ると明らかに追加装甲が無くなっていた
「シャル、追加装甲は? 」
「あぁ、さっきフルバーストした時にマイクロミサイルを撃ち切ったからパージしたんだ。だから爆装は残弾ゼロ」
「なるほど」
シャルの説明を聞き納得して返事をし、手を考える
正直言って戦況は良くない、現状の打鉄改では福音のスピードについていけないから
そして当たれば痛いだろう爆装を使い切ってしまったシャルの残りの武装はビームキャノンと2連装ビームライフル、バススロットにも銃火器があるとは思うけど、幾らシャルとはいえ国家代表相手に何処まで通用するか未知数だ
さて困ったな、と思っていると
「来たぞ、受け取るとよい、勝利を掴めマスター」
と陽炎がドヤ顔で言った瞬間、勝手に換装シークエンスシステムが起動しデータがロードされ、視界にビーコンが表示される
正直、何が何だか分からないけど陽炎が大丈夫だと言うなら大丈夫なんだろうと腹を括り
「シャル、これに賭けよう。どうせこのままだと勝てる見込みは薄い訳だし」
「・・・そうだね、分かったよ」
俺の表情を見たシャルも腹を括った様な表情になり強く頷き誘導に従い飛び始める
直ぐにウェポンコンテナにロケットブースターを付けた物が高速で現れ完全に速度が同期したら勝手に換装が始まりブースターシールドから対物シールドへ換装され、2本の対艦刀と2問のビーム砲、紅い翼を模したウィングスラスターが装備された
「・・・ありがとう一夏さん」
全領域対応ユニット飛鳥が接続された事で流れる情報を見て俺は呟く
俺は本当に恵まれている、なんたってこれほどまでに素晴らしい彼女がいるのだから
「行こう、シャル」
「うん、行こう薫」
シャルも俺と色違いの飛鳥を装備し加速して福音へ攻撃を開始する、飛鳥を装備する前からでは予想出来ないスピードで飛翔し福音を翻弄し始める
やはりリィンのポテンシャルは計り知れない
「八龍に比べて身が軽い上に推力が段違いだな」
まぁ多分重量的な奴で錯覚してるかも知れないけど、八龍に比べたら扱いやすい、間違い無く扱いやすい
「そうであろう? やはりマスターは分かる奴よな」
何故か物凄く嬉しそうな陽炎を疑問に思いつつ福音への攻撃の手を緩めずにいると、福音は明らかに挙動が変化する
あたかも手加減を辞めたかのように
そう、俺達は
その事に気が付いた時には遅かった、気付けば打鉄改のシールドエネルギーは残り15%程度、完全にレッドゾーンだ
その事を肩で息をしながら認識している訳だけど、やる事は何も変わらない
「マスター、ヴェンジェンスも必要値溜まった。この辺りが頃合いだろう」
「・・・そうだね、また俺には届かなかった。これを当てる、必ず」
「さぁこれが最後のチャンスだよ薫」
ヴェンジェンスを知っているシャルが福音を見据え言い飛鳥から出る光子で残像を残しながら福音へ突撃していく
「分かってるよシャル、俺は弱い。それを俺は知っている」
俺も飛鳥の出力を最大にして福音へ突撃し、ギリギリまで間合いを詰め叫ぶ
「これが俺に、俺達に今出せる出来る最善手の一撃!
打鉄改のシールドエネルギーが5%を切った瞬間に放ったヴェンジェンス・イズ・マインを福音は右手で受け止め、俺と福音は閃光に包まれた
やばい、このパターンは またアレのパターンかも、と思った瞬間 俺の意識は白く染まった
お待たせしました
ん〜無理矢理過ぎたなぁ、反省
飛鳥のイメージはデスティニーシルエットです、悪しからず