一夏ちゃんは戦わない   作:銭湯妖精 島風

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薫君 視点




水面と蒼穹

 

 

 

「・・・ん? 」

 

呼ばれた気がして目を開くと、水面の上に制服を着て俺は立っていた

 

 

「マスター」

 

確かに聞こえた声の方を向くと陽炎が微笑み立っている、見た感じ機嫌は良さそうだ

 

「ご苦労だったなマスター、福音は強敵であったな」

 

「全くだよ・・・流石は国家代表、といった所かな? 序盤と中盤に手加減されていなかったら手も足も出なかったと思う」

 

陽炎の言葉に肩を竦め俺なりに感じた事を口にすると陽炎は愉快そうに笑みを浮かべ

 

「己の力量が劣る事実を受け入れ、それでも尚勝機を探し立ち向かう。やはりマスターは吾輩の見込んだ漢よ」

 

 

と陽炎は本当に嬉しそうに笑い、言う

 

なんでこんなに上機嫌なのかよく分からないけど、上機嫌なのは良い事だから気にしないでおこう

 

 

さて銀の福音と戦った感想を述べるとするなら、まず国家代表の名は伊達では無い、と言う所だろう

 

 

序盤・中盤と手加減されてはいたが、彼女は俺達を格下と侮る事もなく最初から油断なく先手を打ち俺達の動きに合わせて動きを変えていた、その判断力は流石としか言えない

 

 

それに情報によると銀の福音は試作機らしいから起動データの収集もしていた様だから、責められる場面でも敢えて責めて来ない場面め有った、と今考えるとあった様な気もする

 

 

こちらの装備面で感想を述べるなら、真っ先に出てくるのは八龍の扱い難さ、それにつきる。八龍はとにかく扱い辛かった

 

直線加速力は確かに増している、しかし重量故にシールドブースターが有るとはいえ旋回性能がお世辞にも良いとは言えず、搭載火器も弾速が遅めの物ばかり、何を目標に製作されていたのかが分からなかったし、何より推進剤満載のプロペラントタンク兼マルチブースター、つまり弱点になり得る物が剥き出しだったのも致命的と言わざる得ない

 

 

それに比べて空中換装で装備した飛鳥は八龍に比べて、とても扱いやすかった

 

 

被弾面積も八龍に比べて少ないし、俺のファイトスタイルとも相性が悪くないと感じた。まぁ難点があるとするなら推進剤の減りが八龍の比では無いぐらい早い事、だろうか?

 

追加で増槽を積んでいないから当たり前ではあるけど

 

 

単機による長時間戦闘を前提にしている八龍と短期決戦を前提としている飛鳥、と言う印象を受けた

 

今後使うであろう装備は飛鳥だろうから、飛鳥の使用時間拡大を一夏さんと話して検討してみよう、小型ならプロペラントタンクを乗せるのもアリだとは思うし

 

 

「む? そろそろお目覚めの時間の様だの? マスター」

 

「え? それって? 」

 

「じゃぁの、マスター。吾輩はマスターの味方だぞ? 」

 

と陽炎は俺の質問には一切答えずにヒラヒラと手を振り言う、そして急に視界が霞がかり暗転し、次の瞬間 雲が少ない青空と金髪を短めの三つ編みにした女性が目に映る

 

「お? 起きたか、お前なかなかやるじゃねーか」

 

打鉄改は解除されていてISスーツ状態の俺は何が何だか分からない状態で身体を起こすと女性は豪快な笑みを浮かべて俺の肩をバシバシ叩きながら言う

 

 

「いっ痛いですよ、誰ですか貴女。ここは? 」

 

「おー悪い悪い、私の名前はイーリス、イーリス・コーリング。アメリカ国家代表ってヤツだ、そしてここは簡単に言うと回収班の船の上だな」

 

 

俺の言葉に悪びれる事も無く笑いながら女性・・・イーリスさんは名乗り、質問に答えてくれる

 

「お前とナターシャ・・・銀の福音が相打ちになって海に落ちたから回収しに来てやったんだよ、ほれ そこでコーヒー飲んでんのがナターシャだ」

 

 

イーリスさんが指差した先を見ると手摺りに寄り掛かり優雅にコーヒーを飲んでいる金髪ロングヘアの女性がいた、銀の福音で見えたISスーツと同じ柄のISスーツを着ている様だから彼女がナターシャさんなのだろう

 

 

にしても公式でヴェンジェンスを使うの2回目だけど、また反動にやられてしまったみたいだ、次はもっと上手くやらないとなぁ

 

とか考えていると

 

「八月一日 薫君、だったかしら? 2対1だったとはいえ君は なかなか見どころがあったわ。アメリカに来ない? 」

 

といきなりナターシャさんが俺の方を向き言ってくるが、答えは決まっている

 

 

「お断りします、俺はやるべき事、やりたい事がありますから」

 

俺は真っ先にナターシャさんの目を見て言うと

 

「良い眼をしている、初代ブリュンヒルデと同じ、誓いを抱いた強い意志を持つ眼をしている。残念だけれど諦めるしかないわね、貴方の様なタイプの人間は99.9%折れないもの」

 

ナターシャさんは そう言い肩を竦める

 

「そもそもナターシャよー、コイツをアメリカに連れてくの無理だろ、コイツは初代の妹の恋人らしいぜ? いや、初代の妹も一緒ならワンチャン? 」

 

 

とかイーリスさんも何か言い始めて腕組んで唸り始めた、俺ってそんなに価値あると思えないんですけど? いや、マジで

 

 

それはそれとして、回収船って何処に向かってるんだろう? 方角が分からないから、どの方向か全く分からない

 

そういえばシャルは旅館に戻ったのかな? 俺もさっさと旅館へ戻って一夏さんに会いたいなぁ

 

 






お待たせしました


イーリスの一人称って何でしたっけ? 一応暫定で アタシにしてありますが、正解が分かる方がいらっしゃいましたら、教えてほしいです


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